LOGIN「クレアから逃れるためには、ライオット元皇子殿下のように国外追放相当の罪を犯すしかないんでしょうか。エレナ様のハートを盗むとか。」
俺はとりあえずエレナ様にバッキューンポーズを決めながら言ってみた。少しでもドキっとしてくれれば嬉しいのに、期待はできない。「私は皇帝の女だから、万が一でも私の心を盗んだら処刑されるわよ。」
まさかの死罪展開に俺の方がドキッとしてしまった。「エレナ様はライオット元皇子に恋をした松井えれなが許せませんか?」
俺は、レオが彼女に教えたくないと言った彼が入れ替わりができる人間だと言う真実を隠しながら気になったことを尋ねた。「私と松井えれながそっくりだと思ったんでしょ。私の姿で陛下を困らせたのだから許せないわよ。でも、もし私と彼女に繋がりがあるとしたら、ライオットへの恋なんてすぐ冷めるものよ。」
俺は彼女の言葉に驚いてしまった。彼女自身も、松井えれなが自分と同じ魂を持つ女だと思っていたと言うことだ。「それはライオット元皇子が陛下と違って天才じゃないからですか?」
彼女は自分のような天才しか話し相手にならないと思っている。俺は当初は彼女の視野が狭いと思っていたが、クレアと一緒にいることで話の通じない人間といる辛さを知った。「それ以上にライオットは失言が多いから彼じゃ無理。それに両思いを感じたとしても絶世の美女の私の姿だから愛されたかもという疑惑が払拭できないと無理。私と同じ魂なら、自分だけを愛する男じゃないと満足できないわ。」
エレナ様は失言に厳しいと言うことだ。実際、彼女は要職試験の時、5割面接で受からせるつもりが2割しか受からせていない。彼女の性格上、先に合格者を決めてから面接してそうだ。それなのに、面接中許せない失言があって合格者を減らしてしまっているのだろう。「確かに陛下はエレナ様だけしか愛せないでしょうね。」
俺は彼女の前で一番言いたくない言葉を気がつけば呟いていた。確かに、陛下は常に相手の立場に立って考えるから失言も少なそうだ。「そう、だからダンテみたいに見た目が良いな
松井えれなが無事にお姉様に体を返すと、国婚が盛大に行われ皇后エレナ・レオハードが誕生した。結婚から5ヶ月後に彼女が妊娠したことが告げられた。彼女から呼び出されて皇后宮に来ると、少し不安げな顔で彼女が初めて僕に兄役をやって欲しいと希望を伝えてきた。「エレナ、妊娠おめでとう。エレナはきっと良い親になるよ。」彼女はもう皇宮に住んでいるので、以前のように簡単には会えない。僕もアーデン侯爵になった。レオ・アーデンという名前も6年目だ。彼女がエレナ・レオハードになって少し寂しい。本来なら侯爵である僕は皇后である彼女に敬語を使うべきだが、2人の時は身分を忘れ家族として接して欲しいらしいのでそうしている。「私は良い親がどんな親か分かりません。私、みたいな子になっても嫌だなと思います。」彼女は不安な表情をしている。彼女は陛下の前では揺るぎのない心配をかけない無敵な女でいたいのだ。「お父様が最初僕をアカデミーに迎えにきた時に、自分の可愛いお姫様が僕を兄弟にしたいと言っているからついてきて欲しいと言ったんだ。僕はその言葉を聞いた時、これ程愛されている彼の娘エレナに会いたいと思ったんだよ。」この話は本当は秘密にしようと思っていた。彼女は兄上には親を洗脳したから僕を寄越すように言ったらしい。そしてお父様には僕に誰よりも僕を大切にするから未来の侯爵になるように説得するよう言ったという。でも、実際お父様は僕に自分の本当の気持ちを言った。「え、何それ、それでお兄様はよくついてきましたね。もう、お父様はどうしてそんな事いうのよ。」彼女がアーデン元侯爵のことをお父様と呼んでいて嬉しくなった。彼女はいつもどこかカッコつけていて、彼を侯爵と呼んでいたりする。「将来、僕も彼のような親になりたいと思ったし、エレナに出会ってこんな娘が欲しいと思ったよ。」僕は自分が親になって子がいる未来が全く想像できない。でも、今は僕が感じたことを彼女に話して彼女の不安が少しでもとり除ければと思った。「アランが私のこと女神様
「もしかして、俺の妻ですか?」俺は観念して彼女の望む答えを言った。クレアは俺を愛していない、改めて考えると俺のした結婚はなんと滑稽なのだ。お互い愛し合っていないのに、お互いの目的を達成するために結婚した。クレアは注目される貴族夫人になりたくて、俺は母上がこだわった結婚というものを芋以外の女としたかった。「ご名答。だから奥さんを大事にしなさい。まず、見返りなど求めず、無償の愛を与えられる人間にならないと。」彼女が諭すように言ってくる、先程の刺々しさがない。母親のような先生のような言い方をしていて彼女は俺のことを考えて言ってくれているのだとわかった。「わかりました。俺は俺のえれなに無償の愛を捧げます。見返りを決して求めないことを誓います。」俺は彼女に触れたくて手を伸ばしたが、おもいっきり手を振り払われてしまった。彼女の態度から察するに既婚の俺が彼女を慕うのが許せないのだろう。結婚したからには、妻に愛を捧げなければならないというのが彼女のルールなのだ。なんで、結婚なんてしてしまったのだろう。どうして人の性格を変えられるなんて驕ってしまったのだろう。「3日後にお前が心底愛せる相手に会えるから。」過去に戻って結婚前の俺に伝えれば、思いとどまって俺は独身のまま彼女と会えてたのに。せめて10分前に戻って自分の失言を取り返したかった。陛下を羨んでいってしまった言葉ではなく、俺の本当の気持ちを話せばよかった。母上がリース子爵とは100パーセント本音で向き合うと言った時、それだと上手くいかなくなるのではないかと心配した。でも、本音を話しておかないで上手くいかないと非常に後悔するということがわかった。本音をしっかり話していれば、賢い松井えれななら俺の気持ちを読み取ってくれたかもしれない。「気安く触らないで。ダンテ様が私に触れる度、あなたに対する私の好感度が下がっているのがわからないの?結局、初恋のエレナ・アーデンにできなかったセクハラをしまくってるだけじゃない。」彼女がキツく話してきた。エレ
「別の世界に生まれてきた人間でも、出会った時点で世界の境は関係ないと思いませんか?」俺は彼女の頬を包み込みながら訴えた。同じ世界に住んでいても愛する人と出会える確率は低い。俺と彼女は違う世界に住んでいるのに、俺は彼女が好きだ。この確率はとてつもなく低い、もはや世界の境界線など気にするに値しない。彼女は俺の手を外して、顔を背けて抵抗した。「それにしても、能力主義はエレナ様と同じですね。やはり魂が同じなのかな。俺のえれなが知性や能力にときめくとしたらエレナ様はやはり洗脳されてたということか。」俺はエレナ様発信の能力主義を思い出していた。現在の帝国は陛下が治めているけれど、能力主義になっているのはエレナ様の意向だ。エレナ様は他の令嬢とは比べ物にならない天才だが、能力にときめくなら相手は俺でも良い気がした。陛下の能力は判定不能なほどすごいが、彼女が求めているのは話が通じるの能力を持った人間だと思ったからだ。陛下が人間離れしていて、誰もが彼を慕っていてエレナ様も盲目的に彼を愛している。やはり彼は無自覚にしても洗脳できる人間なのかもしれない。「魂の病。」松井えれながそう呟くとよろめいたので慌てて支えた。彼女は自信満々なエレナ様と違い、常に自分の思想に疑問を思っている。彼女の自信のなさがそうさせるのかもしれないが、そんなところが愛おしい。「エレナ・アーデンが洗脳されていたってどういうことですか?」彼女が俺を見上げるように尋ねてきた。「彼女、皇帝陛下、一筋で尽くしてばかりなんです。皇帝陛下には汚いことは一切させないで、自分の手は汚すんです。優秀な人間なら俺だって良いじゃないですか、でも俺のことは利用するだけで愛人にもしてくれない。」陛下が洗脳できる可能性を考えるとエレナ様が悪事が大好きなのも洗脳されているのかもしれない。彼は良い子ちゃんぶりっ子なところがあるので、自分の手を汚したくないだろう。俺はエレナ様と非常に気が合うと思っていたし、能力的にも申し分ない自信があった。そんな俺が選ばれなか
「もう、本当にやめてください。私はそんな軽い女じゃないです。変に誘惑してこないでください。」私を誘惑しないでと言うことは、今私はあなたに誘惑されていますということと同義だ。やはり、彼女は明らかに俺にときめいている。「実は私特殊な人間なんです。私、知性や能力を感じるとときめいてしまうんです。あなた只者ではないですよね。帝国で何をしている方ですか?」彼女が突然自分の秘密を暴露してきた。これは母上の手記であった、自分の秘密を話すことで相手と距離を縮める技だ。しかも、結構恥ずかしい秘密をバラしてきて俺自身も急に緊張してきてしまった。俺と話していると嫌悪感をもちはじめる人間が多い中、ときめきまくっている彼女が可愛すぎる。そして、少しの会話で俺の能力を見抜くあたりエレナ様との共通点を感じる。「俺は帝国の宰相です。2年前まではエレナ様の補佐官をしてましたよ。俺のエレナは何をしている人ですか?」俺は彼女の髪を撫でながら話した。彼女は過去にこの黄金の艶髪を切ってしまったらしいが、そんなところも思い切りがあって可愛く思ってしまう。エレナ様が見下ろしながらほとんど目線を合わさずに話すのに対し、彼女は俺をじっと上目遣いで見つめてきて俺に興味があるのが分かる。聞かれたことには何でも答えてあげたい気持ちになる。そして俺に自分のことを聞かれたことを嬉しそうにしている。「私は私の世界で学生をしています。」俺の目を見据えて言ってくる彼女が可愛い。学生をしていると言うことは『ここにあったはずの幸せ』にあった女子ばかりいる学校だろうか。「もしかして、女子ばかりいるところですか?俺のえれなの世界に俺も行きたいな。」帝国のアカデミーは男ばかりで1日しか行ってないがつまらなかった。俺のえれなが学校にいたら喜んで毎日通う。たくさん彼女の話を聞いて、からかって照れる仕草が見たい。「ダンテ様、女好きなんですね。私はそういう方は嫌いです。私は確かに2人の男性で揺れていますが、1人を愛すると決めたらあなたみたいに揺らぎません。」
「私のガードが緩いですって?私は18年間貞操を守っている女ですよ。」18歳との発言は俺を驚かされた。陛下によると彼女は6年前も18歳だったはずだ。ひょっとしたら、こちらの世界と彼女の世界は時間の流れるスピードが違うのかもしれない。俺がガードが緩いと言ったから気にしたのか、自分は生娘だと宣言している。そんなことは俺は全く気にしないけれど、彼女が屋外で堂々と宣言したのだから彼女にとっては大事なことなのだ。「俺のえれなは18歳なんですね。同じ年です。わかりました、あなたの初めては私が貰って差し上げましょう。」俺は彼女の発言が可愛くて仕方なくて、彼女を抱き上げようと膝の下に手を入れたら突き飛ばされた。「私、好きな人がいるんでやめてください。ダンテ様も新婚なのに最低です。」彼女が怒りながら言ってくるが、好きな人という発言の時その瞳の動きから2人の人間を思い浮かべたのが分かった。そして突き飛ばしてくれたことに感謝した。俺は本能の赴くまま彼女に接してしまったが、皇帝の女エレナ様に手を出したら死罪というのを思い出したのだ。「好きな人、今2人思い浮かべましたね。俺は結婚する前に世界中の女をチェックをして妻と結婚することが最善だと選択しました。でも、後出しのようにあなたが現れただけです。正直、妻も可愛いのですがいかにも帝国貴族で面白みに欠けるんですよ。最近では人形のように見えてくる時さえあります。」とりあえず、彼女が妻クレアを気にしているので彼女にもう愛はないということを言うことにした。クレアを愛したのは4分30秒だけ。しかし、俺は彼女と結婚することにした。芋の呪いがかかっている以上、女に見える女は世界でエレナ様以外で彼女だけだからだ。俺はクレアのいかにも昔ながらの帝国貴族令嬢なところが苦手だ。からくり人形のように、俺に出世するように煽ってくるのも苦手。結婚したら何か変わるかもと思ったけれど、苦手な彼女の部分は結婚したらより強くなった。もう、彼女の顔さえも嫌いだ。「私は、初恋の人と本当は両思いになりたいです。でも
クレアとランチの約束をしているが、どうしても彼女と会う気になれなかった。陛下は落馬して意識を失ったエレナ様に付き添っている。彼とランチができれば、クレアとのランチがパスできるのにそれも不可能。エレナ様は大丈夫だろうか、彼女が意識を戻さないなんてことになったら怖い。彼女の乗馬スキルを思うと、落馬したことが信じられない。陛下とオタム湖にボート遊びにいくと楽しみにしていたのに、可哀想だ。馬車で行けば安全だったのに、それを避けると言うことは陛下が馬車が苦手だったりするのだろうか。俺は初恋の彼女にはやはり幸せになってほしいのだ。クレアが行政部に顔を出すのが分かっているので、皇宮を散歩することにした。そういえば、エスパル領地を治めていた伯爵が落馬で死亡しのを思い出した。彼には後継者もいないから、陛下はまた適当な領主を探すはずだ。廃人状態にありながら、能力の高いクリス・エスパルは希望すれば領地を治められると思うのだが彼はどう思っているのだろう。気がつけば、いにしえの図書館の前まで来ていた。俺はやはりクリス・エスパルがここの図書館で能力を搾取され、安く使われているのが気に食わない。俺がエスパルが楽しかったと言った時の彼の表情が忘れられない。彼はエスパルを愛しているのだ、少しでも心が回復したなら領地を治め力を発揮した方が良い。「私、エレナ・アーデンと申します。いにしえの図書館に向かっているのですがこちらで方向は宜しいでしょうか?」突然、斜め後ろから聞き慣れた声がして振り向くとエレナ様の姿をした全くの別人がいた。優雅な所作は完璧にエレナ様のものだけれど、俺を見つめる視線が全く違うし顔見知りの俺に挨拶しているのもおかしい。もう会えることを諦めていたのに、話を聞いた時からずっと彼に会いたかった。俺は見た目は爽やかな好青年に見えるらしいし、見知らぬ場所で迷ってしまって道を聞いたのだろう。「俺のエレナ、俺が図書館までご案内しますよ。」初めまして、松井えれな。この子は可愛すぎるから俺のエレナに確定だ







