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第104話

Author: 北野 艾
柊也はしばらく彼女をじっと見つめていた。やがて、氷のように冷たい声で言う。「買えないのか、それとも言いたくないのか。江崎詩織。俺の人脈を利用しておきながら、その態度はなんだ。それがお前のやり方か?」

その高圧的な物言いに、詩織の中で何かがぷつりと切れた。

柊也が、こんなに説教臭い男だったなんて。今まで気づかなかった。

なんて偉そうな物言い。昔の自分は、どうしてこんな男に耐えられたのだろう。

とにかく、今の私には我慢できない。

「私のやり方がどうであろうと、賀来社長には関係のないことでは?」

柊也の瞳の奥に、暗い光が宿った。彼は目を細め、怒りを押し殺した声で言う。「関係ないだと?誰がお前にそんな口をきく度胸を与えたんだ?」

「……宇田川京介か?」

「それとも、久坂智也か?」

彼は、名前を一つ挙げるたびに、一歩ずつ詩織ににじり寄る。

それとともに、彼の体から漂う、知っているようで知らない匂いが鼻をついた。

甘く、微かな、女性物の香水の香り。

この香りは……志帆の体から香っていたものだ。

詩織は顔をそむけ、数歩後ずさった。二人の間に距離を取る。彼の匂いが、完全に消え
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