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第106話

Autor: 北野 艾
詩織は、スタジオの現状を正直に見せるため、わざと密を中へ案内して回った。

この厳しい状況を知れば、考え直してくれるかもしれない。

なにしろ、ここで彼女に提示できる給与は、エイジアには遠く及ばないのだ。

だが、密は詩織についていくと固く決めていた。待遇など、全く気にする素振りも見せない。

それどころか、キラキラと目を輝かせ、勝手に未来予想図を描いてみせた。「詩織さんなら絶対成功しますって!私にはわかるんです、ダイヤの原石ですよ!だから今のうちにこの大船に乗っておかないと!将来はきっと、乗りたくても行列ですよ、これは!」

その言葉に、詩織は思わず吹き出してしまった。「わかった。じゃあ、月曜日からお願いね」

しかし、月曜日を待たずして、智也から朗報が舞い込んだ。

彼とチームが、ついにプロトタイプを完成させたというのだ!

この間ずっと張り詰めていた詩織の心が、ふっと軽くなるのを感じた。

「みんな、本当にお疲れ様……」

時計を見れば、時刻は夜の九時過ぎ。しかも週末だ。

そんな日にもかかわらず、チームの皆はスタジオに残って作業を続けてくれていた。

家に着いたばかりの詩織だっ
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