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第87話

Author: marimo
last update publish date: 2026-03-24 20:07:28

四人並んで、搭乗口へ向かう。

 スーツケースを引く音が、静かなラウンジの床に規則正しく響く。周囲の視線が自然と集まるのは、彼らが放つ空気のせいか、それとも“名前”のせいか。

 財閥御曹司四人組。

 世間が見れば、絵に描いたような勝者たち。

 生まれながらにして約束された地位と、揺るがぬ後ろ盾。

 何一つ不自由など知らない男たち。

 だが叶翔は知っている。

 この世界は、少しの綻びで崩れる。

 父の世代が経験した裏切りも、失墜も、再建も。

 盤石に見える財閥も、一歩踏み外せば音を立てて傾く。

「今回の国家プロジェクト、向こうはお前を試してくるぞ」

 颯真が低く言う。その横顔は、いつもの冷静さを保っている。

「わかってる」

 叶翔は短く答える。

「父親の看板で来たのか、自分で取りに来たのか」

 その言葉に、叶翔は一瞬だけ笑う。

「看板で来たら、こんな面倒な案件任されないだろ」

 玲司は甘くない。

 息子だからこそ、失敗は許されない。

 成功すれば当然、失敗すれば実力不足――それが九条のやり方だ。

 瑛士が立ち上がる。

「とりあえず、技術的には問題ない。フェアリングはこっちで完璧にやる。構
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