로그인
♢♢♢
きらびやかなSNSの世界。夫は私がこたつライターをしていることを知らない。一度、「在宅でライターをやろうと思うんだけど」と相談したことがあった。「子供小さいし家事もあるだろ。君にはできないよ。やめとけ」と一蹴された。ああ、この人って私が相談しちゃいけない人種だったのねと悟った瞬間だ。
ライターで経験積んで、扶養から出られるぐらいの収入掴んでやる。それまでは夫には黙ってライターを続けることにした。
夫に馬鹿にされるのは悔しい。一刻も早く扶養から出てギャフンと言わせてやる。この燃える情熱のおかげで、私は今、育児ノイローゼとは無縁だ。見よ、このリスクプランニング。ちっちゃい子のいる専業主婦としては最高じゃない?私、できる主婦なの。
『里崎《さとざき》ほのか様。インタビュー記事にご興味はありますか?』
あるある!楽しそう!こたつライターやってるよりも、そりゃ取材して書く方が楽しいに決まってる。さっきと言ってること違うって?人間ね、適応力が大事なんです。
『一歳の娘を同伴させて頂いてもよろしければ、インタビュー記事書かせて頂きたいです』
返信、オッケー。インタビュー記事なんてね、私達ライターには取り合い案件でしょう。来たら即レス。これが私達ライターの生きる道。
チャラにならないのに。むしろ、その“一回”のために、れいなちゃんの時間と呼吸を削ってるのに。横井先生の存在が、俺を黙らせる。れいなちゃんが“察してくれる大人”を選んだ事実が、俺の言い訳を殺す。俺はもう、泣いて縋って戻せない。戻ったとしても、れいなちゃんの中に残るのは安堵じゃなくて疲労だ。それが分かったから、あの日、俺は諦めた。……諦めた、っていうか。諦めたふりをしただけかもしれない。だって俺は今も、れいなちゃんの近くを通るとき、呼吸を浅くしてる。見つけてほしいから。気づいてほしいから。でも本当は、気づかれたら終わるから。矛盾してる。俺はずっと、こうやって矛盾の中にいる。指輪をしてるのに、れいなちゃんを忘れられない。次がいるのに、れいなちゃんに近づきたくなる。好きって言いながら、好きの形で傷つける。……成熟?笑える。成熟してたら、最初からこんなことしてない。れいなちゃん。横井先生の前でだけ、ちゃんと息してて。俺はもう、そこに入らない。入れない。入ったらまた、俺が壊す。そう分かってるのに、今も、れいなちゃんの名前を聞くだけで、俺の中のいちばん卑怯な部分が、静かに動き出す。放課後。俺は、もう終わりなのに、れいなちゃんを探してた。(やめろ)(マジでやめろ)(今日だけはやめろ)って思うのに、やめられない。ほんと、やばい。俺。見つけた。廊下の角。資料持って歩いてる。「れいなちゃん!」呼んだ。呼んじゃった。れいなちゃん、振り向いた。……顔が、先生の顔だった。「絢斗くん。どうしました?」“絢斗くん”だって……?“れいなちゃん”じゃない。そこで息が詰まった。「いや、別に…」言いながら、俺、近づいた。ほんとバカ。近づいたら何か戻ると思ってた。れいなちゃん、半歩下がった。その半歩が、胸に刺さる。「……なんで避けんの」俺、子どもみたいに言った。自分で言って自分が嫌になる。れいなちゃん、淡々と返す。「避けてないよ。距離を保ってるの」「なんで」「必要だから」必要。つまり俺が危ないってことだ。やば。自覚ある。でも、止まれない。俺、れいなちゃんの唇を見た。見た瞬間、頭が真っ白になった。(キスしたら)(キスしたら、れいなちゃん俺の方見る?)最悪の考え。でも出てくる。勝手に。俺の脳、ほんとどうかしてる。一歩、出そ
噂で回ってるのは、知っていた。「絢斗、今は二年の子と付き合ってる」って。“今は“って何だよ。みんな、本当は俺とれいなちゃんとのこと、知ってたのかよ。知っててみんな、黙っててくれたんだろうか。みんな、いいやつじゃんか。でも今は……。れいなちゃんと別れた今は、みんな、面白がって言う。今ならみんな、声に出せるからだろうか。俺は、平気な顔をする。恋愛なんて自由だろって顔をする。でも本当は、自由とかじゃない。れいなちゃんの代わりがほしいわけじゃない。れいなちゃんを忘れたいわけでもない。ただ、「誰かが俺のことを好きでいてくれる」って状態がないと、俺は立っていられない。空っぽになるから。……だから、指輪をする。指輪なんてさ、あれ、誓いじゃない。俺にとっては“予防線”だ。「俺はちゃんとしてる」って自分に言い聞かせるための小道具。周りに対しての“免罪符”みたいなもの。だけど、指輪をしてる俺が、れいなちゃんに近づく。それがどれだけ汚いことか、分かってる。分かってるのに、やる。だって、れいなちゃんが笑うと、俺の中の何かが“生き返る”から。れいなちゃんの声を聞くだけで、勝手に世界の色が戻るから。それが、もう癖になってる。中毒だ。自分から振ったとか、そういう話じゃない。れいなちゃんは“終わらせようとしてる”んだ。俺は“終わらせたくない”んだ。それだけ。なのに、れいなちゃんは疲弊していく。当然だよな。別れ話のたびに泣いて縋られて、情で揺らされて、やっと離れたと思ったら、また近づいてくる男がいる。しかもそいつは、指輪までしてる。ふざけんなって話だ。れいなちゃんが、横井先生と飲みに行ってるらしいと、目撃したやつがいた。……そこ、刺さる。めちゃくちゃ刺さる。横井先生は“聞かない”んだろ。深くは尋ねない。でも察する。それで、れいなちゃんにとっての逃げ場になる。大人の包容力、ってやつ。俺には、できない。俺は、聞かないふりをしながら、結局“答え”がほしくなる。俺は、包むふりをしながら、結局“自分の不安”を押しつける。だから、れいなちゃんは横井先生のところへ行く。……俺、負けたのか。いや、違う。勝ち負けじゃない。れいなちゃんがやっと呼吸できる場所を見つけただけだ。俺が奪ってた呼吸を、取り返してるだけだ。分かってる。分かって
こいつが欲しいのは、“彼女“というステータスと、性欲を処理する相手。俺に惚れてるわけではない。彼女は俺の見た目しか褒めないもんな。便利だった。れいなちゃんにもう近づくことすら許されない俺は、れいなちゃんで満たされていた性欲の紛らわせ方に困っていた。最初は、れいなちゃんが望んでいたであろう、受験勉強に集中して誤魔化していた。でもな。性欲って人間の3大生理欲なんだよ。そう簡単に、紛れるものではなかった。律樹に誘われて仕方なく参加した、有志ステージ。その練習で俺にやたらと近づいてきたのが、彼女だった。文化祭の後、告られた。断る理由は無かった。れいなちゃんを失った俺は、その彼女で何かを補給出来るかもしれないと思ったからだ。彼女は俺が思っていたよりも性欲が強かった。付き合って3日目に処女を差し出されたときは驚いた。食べたけど。この彼女は便利だった。俺がれいなちゃんを未練がましく見つめているのに気づいても、抱いてやれば大体機嫌が直る。キス落として胸揉むだけ。あとは俺の性欲次第。無料のソープ嬢。そんなの口に出したら殺されるな。彼女はそこそこいい身体をしている。でも、俺史上、最高の身体はやっぱりれいなちゃんだ。れいなちゃんの、身体が恋しい。便利で顔は可愛い、俺の彼女。今日も、俺は彼女の目の前で、れいなちゃんに視線も心も奪われていた。彼女の視線に気付き、微笑みを浮かべる。──ん?何か機嫌悪い?彼女、俺の指見た。リング見た。「それ、私とつけたやつだよね?」「うん」「それつけて、れいなちゃんって呼ぶの、無理」“無理”。その二文字って、めっちゃ強い。反論できない。「俺、別に…」「別にじゃない。顔がもう、れいな先生のとこ行ってる」ムカついた。何だよこいつ。彼女のくせに。黙って俺に抱かれて機嫌直してれば、それでいいんだよ。自分でもびっくりした。ムカつくとか思う資格ないのに。俺何様?「俺だってちゃんと…」ちゃんと何?言葉出てこない。ちゃんとしてるフリはしてる。でもちゃんとしてない。彼女、静かに言った。「別れよ」「え、待って」声が裏返った。だっさ。俺、だっさ。「待てない。私、れいな先生と競争したくない」競争って言葉、マジで痛い。れいなちゃんは競争とかじゃない。お前なんかとれいなちゃんは並べられない。勝負にならない。オハナシにならな
「全部ってなんだよ」「……俺、やばい。俺がやばい」言ったら、律樹が一回だけ息吐いた。「お前、今日ずっと顔死んでたもんな」その一言で、俺の中で何か崩れた。死んでたんだ、俺。周りから見ても分かるくらい。俺の世界から、れいなちゃんが消えた。それは死刑宣告と同じだ。れいなちゃんがいないだけで、息を吸うことすらままならない。俺、ずっとこのままなのか?俺は笑おうとして、失敗した。笑う筋肉が動かない。律樹が肩を軽くぶつけてきた。「帰ろ。寒いし」「……うん」歩き出した瞬間、また後ろ見そうになって、やめた。れいなちゃんの方、見たら終わる気がしたから。律樹が、歩きながらぼそっと言う。「まあ、無理な日は無理だろ。でもお前、明日にはちょっとマシな顔しろよ。檀先生にバレるぞ」“檀先生にバレるぞ”。その言葉が急に現実だった。俺はポケットのリングを握りしめた。握ったら痛い。痛いから、やめた。「……無理だわ」もう一回だけ言った。今度は相手に向けてじゃなくて、自分に向けて。律樹は返事しなかった。でも隣を歩いてくれた。それだけで、ちょっとだけ息ができた。リング、つけてると落ち着いた。彼女が「つけよ」って言ったやつ。俺、ちゃんとしてるって感じする。ちゃんと彼女がいる、ちゃんとした彼氏。でもな。廊下でれいなちゃんが見えた瞬間、全部どうでもよくなる。ほんと、やばい。心臓が先に走る。俺の身体、俺のじゃないみたいに勝手に動く。(見ない)(今日は見ない)(絶対、近づかない)って思ったのに、気づいたら歩く速さ上がってた。何してんの、俺。れいなちゃん、前から来た。ただ歩いてるだけ。なのに俺だけ世界がうるさくなる。(れいなちゃん)呼びたい。呼んだらダメ。でも呼びたい。意味わかんない。俺。「絢斗」後ろから呼ばれて、止まった。二年の彼女。顔は、可愛いと思う。身体も出るとこ出てた。処女を捨てたがっていたこの彼女は、付き合って早々に俺に身体を差し出した。据え膳食わぬは男の恥じゃん?俺だって健康な18歳の男。食べれるもんは、食べるんだよ。もうれいなちゃんの身体を味わうことは叶わないからな。──え?美味しかったよ?れいなちゃんの次にな。そうだ呼ばれてたんだ。最悪のタイミング。ほんと最悪。「どこ行くの?」「どこって…別に」「
「おめでとうございます。妊娠されてますよ」診察台のカーテン越しに聞こえる産婦人科のお医者さまの声。壁に設置されたモニター画面は、私の子宮の中に小さな袋を映していた。それは私のお腹に、また新たな命を授かったことを意味していた。今度こそ、100%嵐の子だ。瑠岳を産んで以来、嵐としかしていなかった。次回の予約をして、産婦人科の1階にある託児室に向かう。この産婦人科で瑠岳を取り上げてもらった。ふたり目のこの子も、この産院でお世話になるつもりだ。入院中はずっとこの託児室で瑠岳を預かってもらえる。一般的な保育園と同じ時間に開所して、同じ時間に閉所するそうだ。ありがたい。生理が来ていなかったこと。尿検査が陽性だったこと。もう既に悪阻のような症状があって、産婦人科医の太鼓判も出た。頭の中から、岳のことはすっ飛んでいた。ふたり目を妊娠したとわかった途端にこれだ。母親の本能というものだろうか。あれ以来、あのショッピングモールに近付いていない。岳に会う危険性があるからだ。我が家から反対方向に同じぐらいの距離にショッピングモールがあるから、必要な買い物や気晴らしはそちらですれば良い。悪阻と闘いながら、家事と瑠岳の育児の両立は大変だ。私の支えになっていたのは嵐と瑠岳と、SNSを通じて再会した地元の友達だ。その友達も時を同じくして妊娠していた。それもふたり目。同じ境遇の友と愚痴を言い合って励まし合っていた。それから数ヶ月の後。私は男の子、湊《みなと》を出産した。嵐にも私にも、どちらにも似ているもう既に相当なやんちゃ坊主だ。絶賛イヤイヤ期の瑠岳の世話と湊の世話。そして家事。日々時間に追われていく。岳からはあれから何度かLINEが来ていた。ブロックした。そもそもブロックしていなかったから、岳に希望を持たせてしまった。岳はまだやり直せる。あの若さで弁護士になっていた。モテないわけがない。だって私も惚れてしまったぐらいなのだから。湊を授かったおかげで、私は岳を解放する決心がついた。変わらないままだったら、きっと修羅場になっていただろう。岳は望まない結果だったと思うけど、私に関わる全員が、湊の存在に救われたんだと思う。岳、どうか、私のことなんて忘れてください。私はもう、岳に何もしてあげられない。どうか岳が私のことなんか早く忘れて、違う誰かと幸せになれますように。fin.
遺伝子が、俺たちを祝福している。『あなた達は、結ばれる運命なんだ』また超時空的な声が聞こえた。俺、今日は飲み過ぎたな。レッドブルは冷蔵庫に冷やしておこう。プリンだけ家で食べて、シャワー浴びてさっさと寝よう。真夜中は人間の思考は偏るという。理性が効かずに男女の事件が多々起きるのはそのせいだ。そうか。麻子さんの理性を失わせればいいのか。でもどうやって?何とかして、また麻子さんを抱いてみようか?俺無しではいられない身体に、彼女の身体を教育すればいい。しかしその最中、あの子はどうしようか。麻子さんのえろい声って結構大きいんだよな。折角寝かせていても起きてしまうかもしれないから、麻子さんの口は優しく塞ぐか。何で塞ぐかって?決まってる。俺の唇だ。身体の中心に血液が集まる。この硬さ、すぐに麻子さんに味わわせて彼女を骨抜きにしたいのに。今、俺の目の前に彼女はいない。不便だな。やっぱり麻子さんを家に呼び寄せよう。小さな娘は早いところ寝かしつけて、麻子さんをとろとろに抱いてしまえ。あの小さな子でも、何度か会えば俺の顔を覚えるだろう。ああ、楽しみだな。麻子さんの身体。あれからどの女を抱いても、あの高揚感は無かった。麻子さんの肌、柔らかさ、膣内《なか》の締めつけ。あの極上の身体は、俺専用でなければいけない。──来ない。何故だ。麻子さんから、連絡が来ない。おかしい。彼女は俺に会いたくてたまらなかったはずだ。何故言い切れるのかって?だって俺の子産んでるじゃん?旦那よりも俺と一緒にあの子を育てたかったはずだ。それが生き物の本能だろう?俺から麻子さんにLINE送ってみるか。麻子さんが俺をブロックしているわけが無い、何故かって?あの子は俺の子だからだ。ブロックなんてしたら俺と連絡取れなくなるからな。そんなの、麻子さんの身体の疼きも我慢できないだろう。『麻子さん。連絡ずっと待ってます。俺と一緒に子育てしましょう』LINEの文章を作った。あとは送るだけだが、少々重たいか?『麻子さん。俺はいつでも会えます。今の俺なら、麻子さんを守れます』おっ。守るっていいじゃないか。このセンで行くか。『麻子さんを全力で守ります。精神的にも経済的にも、俺に頼ってください』精神的にも経済的にもって、何か失礼?『麻子さんと子どもを、俺に守らせてください』ほぼプロポーズ