Share

第890話

Author: 歓乃
利明はどうやって道雄の家を出たのか、どうやって空港へ行き、A市行きの飛行機に乗ったのか、ほとんど覚えていない。

茂は一時的にA市に滞在しているため、利明は会って、道雄の話が本当なのか確かめたかった。

空港へ迎えに来た茂と剛が目にしたのは、いつもの自信に満ちた神谷家の御曹司ではなく、心身ともに疲れ果て、明らかに大きな衝撃を受けた顔をしている利明だった。

「車に乗れ。まずは帰って休んだ方がいい」茂も、そんな息子を見て平気でいられるはずがなかったが、ほかに方法がなかったのだ。28年前の真相を茂が自分の口でいくら語ったところで、利明は簡単には受け入れられなかっただろう。だから、自分で辿り、自分で確かめる必要があった。

利明は30歳になるまで、根っこのところではずっと親に従順な息子だった。

そうでなければ、今になって初めて反抗するようなことにもなっていない。

しかし、休めと言われても、利明が休めるはずがなかった。飛行機の中で目を閉じても、浮かんでくるのは柑奈から聞いた凛の幼少期と、道雄から聞かされた28年前の出来事ばかり。

それも、関係しているのは、自分を産み育てた母親と本当の妹。
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第936話

    その報せを受けた彰菜は、怒りのあまり倒れそうになった。春彼岸の先祖供養は、神谷家にとって重要な一族行事だ。療養中の茂が出られないのは仕方ないとしても、自分まで来るなと言われる筋合いはない。出席しなければ、「神谷家の嫁として認められていない」と受け取られるか、あるいは「大切な祭祀にも顔を出さない非常識な嫁」と見られるか。そのどちらかだ。彰菜は何を言われようと行くと決めた。さすがに神谷家の本邸まで行けば、皆の前で追い返すような真似はできないだろう。美雪も神谷家で育った身として、こういう日がどれだけ重いかを知り尽くしている。ここで姿を現さなければ、一族としての権利を捨てたと同義だ。将希は来させまいと、まず凛の名前を出した。「凛と顔を合わせることになるんだぞ。それでも来るのか?」「私は神谷家で育ったんです。春の彼岸にご先祖様を供養するだけ。凛さんに何かするつもりはありません」美雪は落ち着き払っていた。「向こうはお前に会いたくないだろう」「それは向こうの問題で、私には関係ありません」将希の声が冷えた。「余計な真似だけはするな。もし騒ぎを起こしたら、お前が何かを外へ話す前に、二度と口を開けないようにするからな」それを聞いて、美雪は許可が出たのだと理解した。「ご心配なく。私は欲しいものを手に入れたいだけなので、それ以上のことはしませんから」電話を切ったあと、美雪は親しい知人たちとの会話で、何気ないふうを装って「今年の春彼岸も例年どおり一族で先祖供養をするから忙しい」と口にした。それだけで十分だった。本当の娘が戻ってきても、美雪は変わらず神谷家に残り、大切な一族行事にも参加する。周囲がそう受け取れば、今までどおり付き合いは続くため、たとえ神谷家そのものから以前のような援助を受けられなくなったとしても、「神谷家とつながりのある美雪」に近づきたい人間は、自分から人脈や仕事を持ってくる。それでも十分、利用価値はあった。そして春彼岸の先祖供養の日が訪れた。雨こそ降らなかったものの、空は一面の曇り空だった。まだ結婚していない以上、神谷家の祭祀に参加する立場ではなかったため、海斗は凛と共に行くことはできなかった。神谷家の先祖供養の儀式は朝から夕方まで続き、とにかく長い。だから、ひたすら疲れる一日で、ようやく気を抜けるのは夕食前にな

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第935話

    父娘で情報を突き合わせてみると、妙な食い違いがあることがわかった。美雪がかなり早い段階でDNA鑑定をしていたこと自体は、双方の調査で一致している。だが、鑑定は一度ではなかった。最初はB市で行われ、結果は「血縁関係あり」。その後、A市でもう一度行われ、こちらは「血縁関係なし」。結果が正反対なら、考えられるのは検体が違ったということだ。「俺の検体は手に入らなかったはずだ」茂が説明する。「B市で最初に鑑定したとき、美雪が使ったのは彰菜のもので、1週間以上使っていた歯ブラシだった。ただ……G県で、美雪がどうやって君の検体を手に入れたのかがわからない」凛は当時のことを思い返した。「施設で、美雪とは会ってるけど、普通に考えれば、私のものだって簡単には手に入らないはず……」そこまで言って、ふと記憶が引っかかった。あの日、自分がトイレから出たあと、美雪もトイレへ向かっていた。まさかと思い、凛は携帯で少し調べてみた。そして、しばらく画面を見つめたまま黙り込む。あり得ない話ではなかった。凛は一瞬沈黙した。目的のためなら手段を選ばない美雪なら、その一線すら越えかねないのかもしれない。「たぶん、あのときだと思う」凛は携帯を伏せた。「あそこで私の検体を手に入れたみたい。最初の鑑定と同じ検体を片方に使って、もう片方だけ私と美雪で変えた。だから、そのあと自分自身についても鑑定したのね」茂の表情が強張った。「君たちが調べた二度目の鑑定時期……そのころ、美雪と彰菜はA市にいて、しかも同じところで暮らしてた」それを聞いて、凛にも話の全体像が見えた。美雪は、皆が思っていたよりずっと早く真相に近づいていたからこそ、自分だけが神谷家の娘でいられるように、誰にも知られないうちから動き始めていた。けれど、どれだけ先回りして策を巡らせても、思いどおりにはいかずに、思わぬところから真実が明るみに出てしまったのだ。「海斗の言うとおりみたい」凛がぽつりと言う。「美雪さんが一番失いたくないのは、やっぱり神谷家の娘っていう立場なんだ」茂は、これから何をするつもりなのかとは聞かなかった。ただ一言だけ告げる。「何をするにしても、まず自分の安全を優先しなさい」凛はそれには答えず、別のことを尋ねた。「ここを出たい?」自分がここまで来た以上、茂を連れて帰ろうと思

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第934話

    凛のためにそうしたのではない。自分自身のためにやったことだ。残りの人生くらい、神谷家に縛られず、穏やかに生きたかった。凛はお茶を一口飲み、大人しくそこに座っていた。茂は何度か迷った末、ようやく尋ねた。「君自身のことは……もう知ってるのか?」「少しだけ」凛は顔を上げて言った。「私が女の子だったから、彰菜さんは私を捨てた。あなたは私を捜したけど、捜させたくない人たちがいたから、見つけられなかった。それは、神谷会長とあなたの政敵だった人」「一人、抜けてる」茂の脳裏に、弟である秀明の顔が浮かんだ。あの夜、神谷家の仏間で聞いた言葉を思い出すだけで、今も胸の奥が冷える。「俺の弟の秀明も関わっていた」凛の身体がわずかに止まった。だが、驚いたわけではない。「ああ。なるほど」その一言で、いくつもの記憶がつながった。以前の学術シンポジウムで秀明と顔を合わせたとき、彼が見せたあの表情。凛が神谷家へ戻った日もそうだ。ほとんどの人間が表向きには歓迎し、28年前の「取り違え」を聞いて驚いていた。和江でさえ、凛の境遇を知って心を痛めていたのに、秀明だけは最初からどこか冷めていた。その理由が、ようやくわかった。それは、28年前のことに秀明自身も関わっていたからだった。「すまなかった」突然重い声が落ち、凛が視線を戻すと、茂の目は赤くなっていた。「君に起きたことは、全部俺につながってる。君を捨てた彰菜は俺の妻だ。君が女の子として生まれたことだって、俺から遺伝子を受け継いだものだ。君を捜す邪魔をしたのは、俺が生まれた神谷家と俺の弟。君を傷つけたのは俺の息子で、命まで狙ったのは俺が娘として育てた美雪だった」すべての人が、茂との関わりを持っている。凛は黙って自分の父親を見つめた。たった3日の間に、どうしてこれほど白髪が増えたのか、ようやくわかった気がした。これはただの白髪ではなく、茂が自分に科した罰であり、積み重なった後悔そのものなのだ。「昔からそうなの?」思わず口をついて出た。「何でも自分の責任にするの?」神谷家の名誉を守ることも、妻や子供を支えることも、娘を失った責任も、今こうなってしまった原因も……挙げ句の果てには、凛が女として生まれたことまで、自分の遺伝子のせいだと言う。凛は、茂という人間が少しわかった気がした。この人には昔

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第933話

    凛はゆっくりと腰を下ろし、茂の髪に目を向けた。黒い髪の間に白髪がずいぶん増えていて、まるで雪が降り積もったように見える。あれが、簡単に払い落とせたらどれだけいいだろうか。「お茶でも飲んで」茂は自分でお茶を注ぎ、凛の前に置いた。それから箒を探してくると、先ほど倒した鉢植えを脇へ寄せ、床に散らばった土を掃き始める。幼いころから身の回りのことを人に任せてきた茂は、掃除一つとっても慣れていない。箒の扱いはぎこちなかったが、何度も同じところを掃いているうちに、どうにかきれいになった。その間も、歩くたびに片脚を引きずっている。凛は黙ってその姿を見ていた。何を言えばいいのかわからず、目の前の湯にもなかなか手が伸びない。片づけを終えた茂も、向かいに座ったきり言葉が続かなかった。具合を聞かれて「大丈夫だ」とは答えたものの、凛がどうやってここを突き止めたのかはまだ聞けていなかった。結局、気になってもう一度尋ねる。「ここへ来るまでに、何かされなかったか?神谷家の人間に何か条件を出されたりは?」「何も」凛が首を振ると、茂は膝の上に置いた手を落ち着かなげに擦った。「そうか」凛はようやく湯呑みを手に取り、一口飲んでから付け加えた。「私たちが入口まで来て、そこで初めて神谷会長に報告がいったみたいだから」茂は一瞬、目を見開いた。それなら、凛たちは神谷家に聞いてここへ来たわけではなく、自分の居場所をわざわざ探してくれたのだ。そう思うと、さっきどうにか堪えたものが、また胸の奥から込み上げてきた。「お茶、もう少し飲むか?」なぜか落ち着かなくなる。「ここ、ほかに大したものがなくてな。ジュースもないし、お茶くらいしか出せないんだ」「もう大丈夫」「そうか」今度は、少し残念そうな声だった。茂は気まずさを紛らわせるように話を変えた。「それで、どうやってここを見つけたんだ?」「瑶子さんたちが探してくれたの。でも、面会しようとしたら、瑶子さんたちは静養が必要だって断られたみたい」本当は「家族以外は面会できない」と言われたのだが、凛はなぜかその部分だけ口にしなかった。自分でも理由はわからない。しかし、気づいた途端、かえって意識して避けたような気がして、妙に居心地が悪くなる。「瑶子と、隆さんが?」「うん」茂はしばらく黙ったあと、ふっと笑った。

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第932話

    海斗は半歩だけ前へ出た。凛を後ろに隠すほどではないが、何かあればすぐ庇える位置だった。「茂さんのお見舞いに来ました。竹内海斗です」その名を聞いた瞬間、ボディーガードの男の表情が強張った。それでも役目上、引き下がるわけにはいかない。「申し訳ありません。ご家族以外の面会はお断りしています。それに、療養中ですので、面会そのものを控えていただいておりますので」海斗は隣の凛へ目を向けた。「彼女は先月、神谷会長によって、わざわざ大勢の前で神谷家に迎え入れられました」凛も動じることなく、ボディーガードの男と目を合わせる。相手はすぐに態度を変えた。「確認してまいります」凛がここまで来たこと自体、二人にとって隠す必要はなかった。むしろ娘が父親を見舞いに来ているのに、神谷家が会わせなかったとなれば、説明に困るのは向こうだ。しかも隣には海斗がいる。この件が外へ漏れれば、神谷家にとって厄介なことになるのは目に見えていた。海斗はつくづく神谷家と相性が悪いと、将希は思っていた。28年間行方のわからなかった神谷家の娘を見つけ出したのも、結局はこの男なのだから。やがて連絡を終えたボディーガードの男が戻ってきた。電話の向こうで将希は、苛立ちを隠そうともせず言い放ったらしい。「凛は通せ。ただし竹内家の息子は駄目だ。二人はまだ結婚していない」海斗まで茂と顔を合わせれば、何を企むかわかったものではない。将希としては、凛一人を通すことにさえ不安があった。父娘の関係はもう修復できないと思っていたのに、B市へ戻ってきた凛が真っ先に訪ねてきたのは茂のところだった。先日の電話でわざわざ美雪の名前を出したのも、今思えば自分たちの注意をそちらへ向けるためだったのだろう。結局、中へ入ることを許されたのは凛だけだった。それを聞いた海斗は、ボディーガードの男をまっすぐ見た。「凛に何かあったら、許しませんので。怪我はもちろん、少しでも様子がおかしかったら、外で待機してるこちらの人間がすぐ動きます。それに、報道関係にも話が届くと思ってください」ボディーガードの男の顔が引きつった。凛は海斗の指を軽くつまみ、それから手を離した。「向こうの東屋で待ってて。まだ蚊もいない時期だから大丈夫だと思うから」海斗は凛の頭を優しくなでた。「気をつけて。何かあれ

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第931話

    茂は彰菜の前では電話に出ず、携帯を受け取るとバルコニーへ向かった。その姿を見た彰菜は、また胸を抉られるような痛みを覚えた。もう、自分には聞かせたくない話なのだろう。涙を拭い、茂を残して先に療養施設を出た。外へ出ると、美雪が道端で待っていた。彰菜を見つけるなり、彼女はいつものように素直な声で呼ぶ。「お母さん」彰菜は涙を拭った。「どうしてここに?」「お母さんのことが心配だったから。内野さんから、最近のお母さんはかなり辛そうだって聞いて……でも私、お父さんに家を出されちゃったから、戻るわけにもいかないでしょ?そんな時、ちょうどお母さんが外にいるようだったから、せめてそばにいようと思って」美雪はごく自然に彰菜の腕へ自分の腕を絡めた。「お父さんは大丈夫?病気なの?」娘にまで夫婦の事情を知られたくはなかった彰菜は、首を振る。「お父さんはちょっと足を痛めただけよ。ここの先生が評判いいから、念のため診てもらってるの」「そうだったんだ……じゃあ、私もお父さんに会える?顔を見たくないって思われてるのはわかってるから、こっそり様子を見るだけでもいいの」「今はやめておきなさい。もう少し待って」美雪は素直に頷いたものの、内心では違和感を覚えていた。将希のおかげで神谷家そのものから追い出されることは免れたが、今の美雪はあの家で暮らしていない。それだけで、以前なら自然と耳に入ってきた情報の多くが届かなくなっていたし、香織一人から聞ける話にも限界がある。「お母さん……最近、お父さんに私のことは話してないよね?」彰菜に話せるはずがなかった。茂がここまで神谷家と揉めるようになったきっかけは、すべて美雪にあると彰菜は思っている。まして、本当の娘である凛のことは、彰菜にとって触れることすら怖い存在になっていた。美雪は茂によって家を追い出されたのだ。神谷家を離れようとする夫をどうにか思いとどまらせ、壊れかけた夫婦関係を修復するだけで精いっぱいだった彰菜に、美雪の話を持ち出して、さらに茂の機嫌を損ねる勇気などない。今日だって、ほんの少し触れただけで、あれほど突き放すようなことを言われたのだ。夫には拒まれ、息子にも距離を置かれた。今そばにいてくれるのは、この養女だけ……そう思うと、彰菜は急にひどく寂しくなった。二人が立ち去って間もなく、

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第8話

    凛が家に帰ると、もう夜の8時だった。智也はソファに座り、暗い目つきで彼女を見つめていた。「なんでこんなに遅いんだ?」「あなたは、なんでこんなに早いの?」凛は不思議に思った。智也は毎日、柚葉を職場まで迎えに行っているはずなのに。智也は眉をひそめた。「俺が最近、帰りが遅いことを責めてるのか?」「まさか」凛がカバンを置くとすぐに、智也が仕事をやめる件について聞いてきた。「退職届は出したわ」彼女は自分に水を一杯注ぎ、ゆっくりと飲んだ。「引き継ぎとかの手続きに、1ヶ月はかかるの」「お前の仕事に、引き継ぎで1ヶ月もかかるような内容があるのか?」智也は凛の痩せた横顔を見ながら、何度も

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第7話

    「凛さん、何を見ていらっしゃるんですか?」「今、あっちから誰かに見られていた気がします」「え?」と理恵がそちらを見たが、人影はなかった。「もうエレベーターに乗ったみたいです」と凛は言った。「エレベーターって、あっちの?」理恵が指差すと、凛は頷いた。それを見た理恵は、緊張した面持ちでゴクリと喉を鳴らした。あそこは社長専用のエレベーターなのだ。理恵のオフィスのドアの前に来ると、凛はドアプレートに、「人事部ヴァイスプレジデント」と書かれているのを目にした。昇進したんだ。凛はにっこり笑って言った。「中村さん、御昇進おめでとうございます」「ありがとうございます」

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第6話

    「それで?彼に、私と離婚するように言ったの?」凛の問い返しは、柚葉の痛いところを正確に突いていた。この2週間、柚葉は何度もそれとなく話を振っていた。でも、智也は離婚するそぶりを見せない。それどころか、今まで通り、いえ、今まで以上に優しくしてくる。まるで自分が不倫相手みたいじゃない。愛されていない方が、邪魔者。よく言ったものだ。もともとは、凛の方が、自分と智也の間に割り込んできたのだ。大学の頃、智也はあんなに自分を愛してくれていた。それは誰の目にも明らかだったのに。それが、留学のことで喧嘩したのがきっかけで、智也がどこの馬の骨とも分からないような女と結婚するなんて、思って

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第5話

    「先生、どうしてか聞かないんですか?」凛は涙を拭うと、杏をソファに座らせ、お水を取りに行った。杏が言った。「智也から聞いたわ。子供のことで喧嘩して、昨夜は帰ってこなかったって。彼はまだ子供を欲しがらないの?」凛は首を振った。「今回は、私が欲しくないんです。彼は私に仕事を辞めて妊活に専念して、家で専業主婦をしろって言うんです」「私より考えが古いわね!」杏は腹が立って仕方がなかった。「あの男は出世して偉くなったから、あなたを見下してるの?よくもまあそんな態度がとれるわね。プロジェクトが発表されたら、どれだけの人があなたに会いたがると思ってるの。私の夫が手塩にかけた愛弟子を、使用

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status