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第930話

مؤلف: 歓乃
それは茂と彰菜が結婚して以来初めての大喧嘩で、最後は、彰菜が高熱を出し、茂の目の前で倒れたことで終わった。

あのころの茂は、何度も自分を責めた。彰菜を神谷家へ連れてきたのは自分なのに、最後まで守りきれなかった。一族という泥沼から遠ざけるどころか、結局は彼女を深く引きずり込んでしまったのだ、と。

彰菜の心が壊れてしまったことには、自分にも責任があるからこそ、あのときに妻を見捨てることなどできなかった。けれど30年以上が過ぎた今、その妻は自分の敵となっている。

そこまで思い返したところで、茂は彰菜から目を逸らした。

少なくとも今は、自分が彰菜を裏切ったのではない。彰菜のほうが、自分を裏切ったのだ。

茂が今の自分ではなく、昔の自分を見ていたのだと知ると、彰菜は無意識に頬へ手をやった。どれだけ手入れをしても、年齢には逆らえないため、皺は増え、肌も若いころとは違う。最近は、鏡を見ることすら避けていた。

しばらく自分の頬に触れていた彰菜の手が、ふと止まった。「茂。でも……あなただって年を取ったじゃない」

茂は何を言っているのかわからないという顔で、それでも静かに彰菜を見返した。

い
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