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第648話

Author: 鈴木真知子
「それに、ノラほどの天才だって、設計する時には他のデザイナーの作品を参考にしているはずです。ただ彼女はそれを巧みに換骨奪胎し、見事に自分のスタイルへと落とし込んでいるだけです!」

蒼真は何も言わなかった。新型車をじっと見つめたまま、微動だにしない。

研究開発部のプロジェクトチームが、次々と雫を庇い始めた。部長におもねるためでもあり、社長の不興を買いたくないためでもあった。

「社長、この車はチップから外観まで、林部長の心血が注がれた一台です。私たちがこの目で見ておりました!林部長が独自にデザインしたもので、ノラの作品の盗用などは断じてありません!」

蒼真はしばらく重い沈黙を保ってから、ぽつりと言葉をこぼした。「盗用と言ったわけではない。似ていると感じただけだ」

雫はぎゅっと唇を噛み締め、何も言わなかった。しかし心臓の激しい鼓動が耳の奥で鳴り止まない。

胸の中に、拭いきれない強い後ろめたさがある。

というのも、今回の新型車の外観デザインは、雫自身の作品ではないからだ。

とはいえ、盗用したのはノラからではない。

ある日、デザイン部の廃棄書類の山の中から、偶然捨てられていた一
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