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第670話

Auteur: 鈴木真知子
高橋は一瞬ハッとして動きを止めると、すぐさまデスクの上の資料を手に取って、素早くめくり始めた。

しばらくして、彼の口の端にひどく陰険な笑みが浮かんだ。一枚の個人資料をすっと抜き出すと、孝俊の目の前に置いた。

「社長。この人物が、私たちの計画に大いにお役に立てるかもしれません」

「ん?なんとなく見覚えがあるな」

孝俊は、その資料に貼付された、無表情でどこか陰鬱な顔つきの社員写真をじっと眺めた。

「確か、厄介なうつ病持ちの奴じゃないか?工場の製造ラインで突然倒れて、機械に指を落とした、あのどん臭い男か」

「よくお覚えでいらっしゃいますね。あんな底辺の目立たない人間のことまで記憶されているとは」高橋はすかさずおだてて持ち上げた。

孝俊はその写真に苛立たしげに拳を叩きつけた。

「俺の記憶力がいいんじゃない。あの男の図々しい妻が、退院後にわざわざ会社を訴えてきやがったから嫌でも覚えてるんだ。一生分の治療費を払えだの何だのと喚き散らしてな。

結局、労災認定されてこっちが大金をむしり取られる羽目になった!思い出すだけでも腹の虫が収まらん。あんな使えないクズ、とっくの昔にクビにしてお
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