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第450話

Autor: 玉酒
前回、深樹は「結愛が急病になって、映画を観に行けなかった」と言っていた。

だが今の結愛は、顔色も良く、どう見ても病人には思えない。

「……私の勘違いかもしれないね」美穂は何事もなかったかのように視線を逸らし、少し先にあるミルクティー専門店を指さした。「何か飲まない?」

結愛は慌てて頷いたが、足取りはどこか心許なく、何かを隠そうとしているかのようだった。

美穂は結愛の後ろについて歩き、どこかぎこちない少女の背中を見つめながら、眉間のしわをいっそう深くした。

甘ったるいミルクティーの香りがまだ鼻先に残っている。

美穂が温かいドリンクを二杯手に下げて店を出ると、結愛は街灯の下で、自分の影を蹴って遊んでいた。横顔は、光と影の境目で、どこか輪郭が曖昧に見える。

「タピオカミルクティー。砂糖少なめ」美穂がカップを差し出す。

結愛は礼を言って受け取ったが、温かいカップの側面に触れた瞬間、火傷したかのように指を引っ込めた。

「……ありがとうございます」俯いたまま、ストローで何度もフィルムを突くが、うまく刺さらない。

美穂は何も言わず、ただ静かに見守っていた。

――おかしい。

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