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第1164話

木真知子
本当に人を愛しているなら、その人の作ったスープの味も、料理の出来も、ぜんぶ気になる。

本当に好きな相手なら、トイレで便秘でうんうん唸っている姿ですら、なぜか可愛く見えてしまう。

桜子はすっかり料理に夢中で、いつの間にか隼人が背後に立っていることに、まったく気づいていなかった。

「……あっ」

小さく声を上げた次の瞬間、隼人の腕が彼女の腰をしっかりと抱き締めた。

逞しい胸板にすっぽり包まれ、全身が、男のフェロモンのような香りに包まれた。

「桜子、ちょっと離れただけで、もう無茶してるな。怪我してるのに、じっとしてられないのか」

その腕はしっかりと彼女の腰を固定し、溢れ出る独占欲が、痛いほど伝わってくる。

けれど桜子は、何も言わなかった。

右手をそっと伸ばし、彼の骨張った手の甲に触れて、とん、と軽く叩く。

――そのまま、好きなだけ抱かせておいてやった。

荒い息が、首筋に熱くかかる。くすぐったくて、少し苦しくて。

桜子は肩をすくめ、ふと微かな匂いに気づいて眉をひそめた。

「……ん?タバコ、吸った?」

「悪い。我慢できなかった」

隼人の声は低く掠れ、罪悪感を滲ませてい
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