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最上階!

last update Last Updated: 2026-01-23 20:59:29

 部屋の奥には大きな噴水が見えていた。

「この先に待ち構えているのかしら?」

「あぁ、気を引き締めて行くぞ」

 一歩一歩、噴水へと近づくマルクエンとラミッタ。

 眼前まで来ると、噴水から光が溢れ、宙を舞う。

 警戒して剣を引き抜くが、その光は一点に集中し始め一際眩しく光ったかと思うと、次の瞬間には目の前に長い金髪の美女が現れた。

「なっ!?」

 驚くマルクエンへ宙に浮かぶ美女は優しく微笑みかける。

「よくぞここまで辿り着きました。異世界からの勇者よ」

「あ、あなたは!?」

 マルクエンに問われると、美女はニコリと笑い返す。

「私はこの塔の女神。これより、あなた方に力を授けます」

「力をくれるってんなら、最初っから素直にここまで通してほしかったわね」

 ラミッタが悪態をつくと、女神は悲しそうな顔をする。

「それは出来ないのです。この塔は試練の塔です」

「なるほど、試練を突破しなくてはと言うことですか?」

 マルクエンが言うと、なんと女神は首を横に振って否定した。

「いいえ、それよりも大事なことがありました」

「そ、それは……!?」

 試練よりも大事な事と聞いて、マルクエンは何だろうと
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  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   いざ、ライオへ!

     翌日の朝、勇者マスカルとマルクエン、ラミッタは街中の人達に見送られながら馬車に乗った。「このまま街道を往き、ライオに寄り、王都アムールトを目指します」「やっと、ライオの街を拝むことが出来そうです」 マルクエンが笑いながら話す。「何故、ライオの街を経由するのですか?」 ラミッタは流石に勇者相手には敬語だ。「アムールトまではライオから3日掛かります。物資の補充と、休息のためですね。先程の街は駐在の軍隊も、冒険者も多かったので滞在しましたが」 そこまでマスカルが言うと、魔道士アレラが補足する。「我々を狙う魔人に襲われた場合、宿場町を危険に巻き込む可能性があるので、箱を壊す時以外は、極力野営をしています」「なるほど、勇者様も苦労が絶えませんね」 少し勇者を見直したラミッタ。「ライオで一泊し、物資を整え、そのままアムールトを目指します」 続けてアレラが言うので、マルクエンは頷く。「確かに、大きな街ならば安心ですね」 5人は馬車に揺られた。勇者パーティの剣士ゴーダは寡黙な男で、雑談にも乗ってこないまま、馬車を運転する。 ラミッタも目を閉じて荷台にもたれかかっていた。 道は舗装されていたので、思ったよりも揺れが少ない。 途中何回か休憩をはさみ、昼過ぎぐらいには無事ライオの街が見えてきた。 立派な壁が街をぐるりと囲み、高い建物がチラホラと頭を覗かせている。「おぉ、あれが……」 マルクエンはイーヌ王国の王都にも負けないような街に感心した。 街の入り口には衛兵が立っており、一人ひとりの身分確認こそしていなかったが、不審な輩に目を光らせている。 マスカルは馬車から降りて、衛兵に声をかけた。「見回りお疲れ様です。勇者マスカルです」 声を掛けられた兵士は、一瞬驚いた後、姿勢を正して敬礼する。「マスカル様!! お努めお疲れ様であります!!」「何か変わったことはありませんでしたか?」「はっ!! ここ数日、魔人の目撃等はありません」 その言葉を聞いてホッとするマスカル。「それはなによりです」 馬車を業者に預け、ホテルまで向かうマスカル達。荷物を預けてから話をした。「旅支度は我々が行いますので、ラミッタさんとマルクエンさんは個人的に必要なものを揃えておいて下さい」「わかりました」 マスカル達と別行動になるマルクエンとラミッタ。「

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   最上階!

     部屋の奥には大きな噴水が見えていた。「この先に待ち構えているのかしら?」「あぁ、気を引き締めて行くぞ」 一歩一歩、噴水へと近づくマルクエンとラミッタ。 眼前まで来ると、噴水から光が溢れ、宙を舞う。 警戒して剣を引き抜くが、その光は一点に集中し始め一際眩しく光ったかと思うと、次の瞬間には目の前に長い金髪の美女が現れた。「なっ!?」 驚くマルクエンへ宙に浮かぶ美女は優しく微笑みかける。「よくぞここまで辿り着きました。異世界からの勇者よ」「あ、あなたは!?」 マルクエンに問われると、美女はニコリと笑い返す。「私はこの塔の女神。これより、あなた方に力を授けます」「力をくれるってんなら、最初っから素直にここまで通してほしかったわね」 ラミッタが悪態をつくと、女神は悲しそうな顔をする。「それは出来ないのです。この塔は試練の塔です」「なるほど、試練を突破しなくてはと言うことですか?」 マルクエンが言うと、なんと女神は首を横に振って否定した。 「いいえ、それよりも大事なことがありました」「そ、それは……!?」 試練よりも大事な事と聞いて、マルクエンは何だろうと考える。「それは、何か二人の関係性がじれったいので、この際くっつけてやろうかと思いましてね」 女神の言葉に静寂が流れる。マルクエンは理解が追いつかなく、言葉の意味を考えていた。 ラミッタは顔を赤くしてプルプル震えながら女神に噛み付いて言う。「なっ、なにいってるのかしらこの女神はぁ!!!!」 声が裏返っていた。「くっつけるとは、つまり……」 マルクエンが思考の答えに辿り着きそうになるので、慌ててラミッタは妨害する。「違う、違うから、それはこの女神の勘違い!! ほら、さっさと力を寄越しなさい!!」「強情ですね……。しかし、今は世界の危機。あなた方の事はその内、解決できると信じて力を授けましょう」 女神が両腕を天に上げると、ラミッタは赤い光に、マルクエンは青い光に包まれた。「私が力を与えるまでもなく、マルクエンさんは既に覚醒の片鱗を見せていましたが、これで真に覚醒した力が使えます」「お、おぉ!?」 マルクエンは体が青白く光り、力が漲るのを感じている。「そして、ラミッタさん。あなたは魔力で空を飛べるようになりました」「空ぁ!?」 マルクエン

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   見惚れ

    「アンタとの思い出なんて、戦ったことぐらいしか無いわよ」「いや、別に私との思い出とは言ってないんだが……」 マルクエンに言われて、ラミッタは顔を赤くした。「いやっ、そのっ!!」「ははは」 笑うマルクエンにラミッタは怒る。「何よ!!!」「いや、なんでもない」「なんでもなくは無いでしょ!?」 そんな事を言い合い、しばらく静寂が訪れ、互いの体温を感じ取っていた。「あのさ」「ん? どうした」 ラミッタがポツリと話し、マルクエンが反応する。「アンタは、元の世界に戻りたいわけ?」「あぁ、そうだな。イーヌ王国が恋しいよ」「ふーん……」 ギュッと毛布を掴むラミッタ。「ラミッタはどうなんだ?」「私は……。別に、国に忠誠なんて無かったから。お金が稼げて、剣を振るえるから軍人やっていただけ」「そうか……」 またも、しばしの沈黙。「元の世界、戻ったらまた敵同士ね」 ラミッタの言葉にマルクエンは何も返せず、考えた。「そうなるな……」「戦争、まだ続いているのかしら?」「私もラミッタと戦った後、寝込んでそのまま意識が無くなったからな。わからない」「そう……」 ラミッタは突如ニヤリと笑い、マルクエンに言う。「次は負けないから!!」「ははは、そうか……」 マルクエンは力無く笑うことしか出来なかった。 吹雪はまだ続く。「何でさ、私達、戦っていたんだろうね」「どうした、急に……」 ラミッタはしおらしく、語り始める。「だってさ……」「私は国の為だった。ルーサを統合して国の繁栄。国土の防衛力の強化の為だ」「ルーサは自国を守る為だけど、私としてはどうでも良かった」 ゆっくりと、ラミッタは話し続ける。「結局はさ、国のお偉いさんが決めて、戦って死ぬのは私達兵士」「……、そうかもしれんな」 今度はマルクエンから語り始めた。「私は、国に忠誠を誓って戦ったが。ルーサから見たら侵略戦争だと思われても仕方が無かっただろう」「そんな事、国のお偉いさんに聞かれたら処罰よ、騎士様」 ラミッタに言われるも、マルクエンは話し続ける。「最大の宿敵だと思っていたお前とも、話し合えばこうして分かり合えたのかもしれないのにな」「あら、分かり合えたと思っていたの?」「違うのか!?」 驚いて恥ずかしがるマルクエンを見てラミッタは笑った。「よし、元

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   VS 偽物!

     マルクエンの剣が偽ラミッタの防御壁に食い込み始める。「ラミッタ!!!」 偽マルクエンが飛びかかるも、ラミッタが牽制を入れ、上手く近付けない。「はあああ!!!」 渾身の力を出して、マルクエンは魔法の防御壁を破壊し、偽ラミッタに一太刀浴びせようとした。 飛び退いて避ける偽ラミッタだったが、一瞬で距離を縮められ、横薙ぎの一撃を食らってしまう。 体が真っ二つになり、黒い煙になって消えた。「おのれえぇぇぇぇ!!! よくもラミッタを!!!!」 偽物のマルクエンが憤怒の表情をして重い一撃を放つ。ラミッタは剣が弾かれて、後ろに一瞬バランスを崩した。 そんなラミッタの肩をマルクエンが後ろから支える。「大丈夫か!?」「えぇ、平気よ」 場所を交代して前衛をマルクエンが務め、その後ろからラミッタが魔法の牽制を入れた。 青白く光るマルクエンは偽マルクエンを圧倒している。更に魔法が飛び交っているので、偽物はだいぶ分が悪かった。「っく!!」 魔法の雷と風をくらい、切り傷や火傷でボロボロの偽マルクエン。「そろそろ決着を着けるか」 マルクエンは重い一撃を偽物に浴びせ、縦に鎧ごと斬り捨てた。 黒い煙となって消える偽マルクエン。これでどうやら戦いは終わったようだった。「ふぅ……。とりあえず終わったか」 剣を仕舞い、安堵するマルクエン。奥にあった扉が左右に開き、階段が待っている。「それじゃ、行きましょうか」 スタスタと歩くラミッタ。先程まで偽物の自分がやらかした事を考えないようにしていた。 お互い会話もなく階段を登ると、次の扉が目の前に現れる。 マルクエンが押し開けると、現れたのは、室内とは到底思えないような景色だった。「何だこれは!?」 広がるのは、辺り一面の銀世界。雪原だ。「どうなってんのよこれ……」 扉の前でも寒さが身に染みる。この中を歩いていけと言うことなのだろうかと、マルクエンはため息を付いた。「私は、寒いのは苦手なのだがな……」「私だって嫌よ!!」 ラミッタは軽装備なので余計に寒いだろう。マルクエンは身を案じる。「その格好じゃ寒いだろうな。どうする? 引き返すか?」「これぐらい、魔法で断熱するわ。平気よ」 そう言って歩みを進めるラミッタ。マルクエンも後を付いていく。 薄っすらと見える道を30分ぐらい歩いただろうか、一向に

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   愛のパワー

     何段も階段を上り、やっと次の部屋へと辿り着くマルクエンとラミッタ。「それじゃ、開けるぞ」「えぇ」 覚悟を決め、マルクエンは重い扉を押し開ける。 部屋の中を見ると、スポットライトのように中央が光で照らし出された。 眩しさで目を細めた後に、視界に入った物を見てマルクエンは驚く。「なっ!? ラミッタ!? それに……」 そこに居たのはラミッタと、自分自身だった。「は!? 宿敵が二人!?」 ラミッタは隣のマルクエンと、スポットライトに照らされるマルクエンを交互に見る。 マルクエンは向こう側のラミッタをよく見た。顔の傷跡が右側ではなく左側にある。 スポットライトの元に居るラミッタとマルクエンが話し始めた。「宿敵、私達の偽物が現れたようね」「あぁ、そうだなラミッタ」 そう言って剣を抜く、何だか向こうの二人は互いの距離が近かった。「えぇ、私達の愛のパワーの前ではあんな偽物は敵じゃないわ」「ちょっと待てえええぇぇぇぇ!!!!」 偽ラミッタの言葉にラミッタは絶叫する。「何言ってんの!! ホント何言ってんの!?」 そんな事はお構いなしに、向こうの二人は盛り上がっていた。「ラミッタの姿をしている敵を斬るのは心苦しいが、愛の力で勝とう!!」「宿敵……」 見つめ合う二人、そんないい雰囲気にラミッタは特大の炎をブチ込んだ。「あーもう!! あーもう何よこれ!? 私の姿で好き放題変なことしてんじゃないわよ!!!」 飛び退いて避ける偽物達。「ふん、私達の仲はそんな炎で割く事は出来ないわ!!」「そうだ、私達の仲はこんな炎よりも熱い!!」「宿敵……」「ラミッタ……」 そんなやり取りを見てラミッタは怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしている。「やー!!! もういやー!!!」 ラミッタは絶叫しながら氷、雷、炎を撃ちまくっていた。「甘いわね!!」 偽ラミッタは防御壁を張り、その後ろで魔法を耐えている。「宿敵、さっさと倒すわよ!!」「っ!! あぁ!!」 ラミッタに言われ、マルクエンも剣を構えて突っ込む。 目の前に躍り出てきた偽マルクエンと剣がぶつかり合う。「っ!!」 マルクエンは驚いていた。自分とほぼ互角の力で鍔迫り合いを繰り広げられたからだ。「ただ見た目が同じ……、って訳ではなさそうだな」 後ろに引いてマルクエンは間合いを

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   無限ループは怖い

     何百歩と螺旋状の階段を登る二人。ラミッタは手を頭の後ろで組んで言う。「何よこれ、どれだけ登らせるつもりなのよ!!」「まぁ、そう言うな」 やっとのことで扉が現れ、マルクエンは重いそれを開く。 部屋の中を見た二人は驚いた。先程のエントランスそのままの部屋が目の前には広がっていたのだ。「これは……」「さっきの部屋じゃない」 動揺する二人だが、また更に階段が続いている。「この先をまた進めば良いのか?」 マルクエンがそう言った時に、ラミッタはポーチから傷薬を出して通路に置く。「何をしているんだラミッタ?」「おまじないよ」 またも階段を登る二人、そして扉が待ち構えていた。 それを開いてマルクエンは驚愕する。「この部屋!!」 ラミッタは冷静にスタスタと通路まで歩いた。「完全に同じ部屋ね」 ラミッタは床に置かれた傷薬を指さして言う。「これは……。どうなっているんだ!?」「知らないわよ」 ラミッタは片目を閉じてため息をつく。「試練はもう始まっているって所かしらね」「なるほどな」 部屋を見渡すマルクエン。ラミッタは魔力を感知しながら部屋の隅から隅まで怪しい場所がないか調べる。 十数分後、ラミッタがため息を吐いてマルクエンに近づく。「ダメね、魔力の妨害が激しくて、全然分からないわ」 そう言って壁にもたれかかると、なんと一部が崩れてラミッタは尻もちを付く。「いったぁ……、何よこれ……って!!」 ラミッタの尻には魔力が込められ、一気に射出される。「いやああああああ!!!」 宙を飛ぶラミッタ。そのまま向かい側の壁にぶつかりそうになる。 とっさに防御壁を張り、激突は免れた。その衝撃を与えた壁からは光が漏れる。「大丈夫か!? ラミッタ!!!」 マルクエンは落下するラミッタを受け止めようとするが、顔面でラミッタの尻を受けてしまう。「ぶぐほっ」「な、何してんのよ!! このド変態卑猥野郎!!!」 理不尽に殴られるマルクエン。地面に降り立ったラミッタは赤面していた。「っつ……。ったく、この塔の神様はいい趣味をしているみたいで」 そこでラミッタは異変に気付く。壁に小さなヒビが入っていることに。「なるほどね……。宿敵!! この壁に思いっきり体当たりしてみて」「体当たり? あぁ、やってみる!!」 何のことか分からな

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