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マッサ

last update Fecha de publicación: 2026-07-19 16:32:36

 マルクエン達が聖域を訪れる数日前の事だ。

「私の名はスフィン・スク。ルーサの将軍だ」

「将軍様か、そりゃあいい!」

 スフィンを助け、食事を食べさせている冒険者の男、マッサは膝を叩いて爆笑していた。

「貴様、信じていないな?」

「いや、信じるよ。信じるとも」

 言葉ではそう言っていたが、態度からはそんな気が微塵みじんも感じられない。

「私は確かに戦場に居た。そこで落馬し、意識を失って、気が付いたらここだ」

「なるほどな、不思議な話もあるもんだなー」

 豆のスープを食べながらマッサは適当に頷いていた。

「やはり、貴様信じていないだろう」

「まず、そのルーサってのは国なのかい?」

「あぁ、そうだ」

「悪いが、聞いたことないんだよねー」

 聞いたことが無いと言われ、スフィンは驚く。

 だが、目の前の男が残党狩りで嘘をついていないとも限らない。

「本当に知らん

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  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   VSスフィン

    「いやはや、何とも信じられん話だ」 賢者ミハルは目を閉じてうーんと唸る。「だが、この国の伝承にこんな物がある。『魔王現れる時、異なる世界から勇敢なる戦士が現れるだろう。その者は魔王を討ち滅ぼし、去っていく』というものだ」「あの話か」 マッサもその話は知っているらしい。「という事は、この国には魔王が?」「そう、一年前に現れましたぞ」 スフィンはミハルの回答を聞いて驚く。「つまりは、スフィンさんは異世界の戦士ってことか?」「可能性はあるだろう」 勝手に話が進んでいくが、スフィンは待って欲しかった。「いや、そんな事を言われても困る。私は国に帰って戦わなくてはならない!」「伝承通りならば、魔王を倒せば元の世界へと帰ることができるかもしれませんな」 ミハルの言葉にスフィンは目を見開いて立ち上がる。「そうですか、それでは早速……」「ちょっ、おいおい待ってくれよスフィンさん。魔王は今どこに居るかも分からないし、そもそも超つえーんだ!」 マッサが少し焦って止めようとするも、スフィンは扉を開けて出ていこうとしていた。「それでも、ここでじっとしている訳にはいかない」 扉を開け、外を見ると、一瞬思考が停止した。 目の前に居るのは間違いない。何度も戦場で見た。「マルクエン・クライス!?」「なっ、スフィン将軍!?」 その隣に居るのは。「スフィン……将軍……!?」 自ら叩き上げた兵士、ラミッタ・ピラだ。 だが、次の瞬間。スフィンはマルクエンに向かって電撃を放った。「おわっ!!」 マルクエンはそれを躱して距離を取る。「貴様、殺す!!」 何だ何だとマッサとミハルも外へ出てきた。「スフィンさんどうした!?」 マッサの言葉も届かず、スフィンは光で作った剣を持ち、マルクエンに突進する。「死ね!! 侵略者が!!!」 マルクエンは剣を構えて青いオーラを身に纏う。 剣と剣がぶつかり合うが、マルクエンは少しもよろめかない。 体重をかけてスフィンを弾き飛ばし、話をしようとするマルクエン。「スフィン将軍、聞いてくれ!! 私はあなたと争うつもりはない!!」「スフィン将軍!! 落ち着いて下さい!!」 ラミッタも声を掛けるが、更に怒りを加速させた。「ラミッタ!! 何をしている!! 貴様も戦え!!」 マッサが飛び出してスフィンを捕ま

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   マッサ

     マルクエン達が聖域を訪れる数日前の事だ。「私の名はスフィン・スク。ルーサの将軍だ」「将軍様か、そりゃあいい!」 スフィンを助け、食事を食べさせている冒険者の男、マッサは膝を叩いて爆笑していた。「貴様、信じていないな?」「いや、信じるよ。信じるとも」 言葉ではそう言っていたが、態度からはそんな気が微塵も感じられない。「私は確かに戦場に居た。そこで落馬し、意識を失って、気が付いたらここだ」「なるほどな、不思議な話もあるもんだなー」 豆のスープを食べながらマッサは適当に頷いていた。「やはり、貴様信じていないだろう」「まず、そのルーサってのは国なのかい?」「あぁ、そうだ」「悪いが、聞いたことないんだよねー」 聞いたことが無いと言われ、スフィンは驚く。 だが、目の前の男が残党狩りで嘘をついていないとも限らない。「本当に知らんのか?」「全くね、ここはコニヤンって国だけど、周りの国にも無いしなー」「その国こそ聞いたことが無い。疑問なのだが、聞いたこと無い国同士出身の私達が何故同じ言葉を話せるのだ?」「それは俺も分からないねー」 何とも要領を得ない男の話に、スフィンは少しイライラとしていた。 そんな時、スフィンは物音と、それに混じった殺気を感じ取る。「おや、お客さんみたいだね」「剣を、貸してくれるか?」「あぁ、予備が一本あるよ」 マッサが剣を差し出し、スフィンはそれを受け取った。 野生生物を模した魔物が二人に飛びかかる。 スフィンは蟻型の魔物を剣で斬り捨て、光の矢を多数呼び出し、射出した。 串刺しになる魔物達。マッサは熊型の魔物の腕を切り落としながらそれを見る。「はぇー、やっぱやるねぇ!」 スフィンは近付く魔物を剣で切り捨て、中距離以上の敵は魔法で殲滅した。 マッサも次々に魔

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   恋の予感

     コラーは戦いの時とぜんぜん違う顔をするマルクエンを見て、勇者のあるべき姿はこうなのかと思う。「ラミッタさまー。私ね!! お空飛んでみたい!!」「あら、いいわよ」 子供の頼みを快諾し、ラミッタは抱きかかえて空を飛んだ。「うわー!! すごーい!!!」「俺も飛びたい!!」「僕も!!」 すっかり子供たちの人気ものになるラミッタ。「マルクエン様、俺、本当は勇者になりたかったんです」 コラーは自分でもつい言ってしまった言葉に驚く。「あっ、そのっ、こんなに弱い俺じゃなれないって知っていますけどね!!」「戦いの強さだけが、人の強さではありませんよ」 真面目な顔をしてマルクエンは言った。「私は、元々騎士でしたが。国を守るために戦っていました」「守るため……、ですか?」「そう。コラーさんは村を、皆を守りたいと心から思っている。それはとても立派なことです」「えっと、その、ハハハ。何だか恥ずかしいですね……」 下を向いてコラーは照れ顔を隠す。「マルクエン様は、今は何を守るために戦っているのですか?」 そう問われ、考える。真っ先に思い付いてしまったのはラミッタの顔だったが。「えっと、今も国を守るため、元の世界へ帰るために戦っています」 ちょっとだけ嘘をついた。「コラー、ここに居たのか!!」 セロラがやって来てコラーの隣に座る。「肉焼いてきた、食え!! マルクエン様も!!」「お前、まさか、また勝手に狩りを!?」「気にするな!」「気にしろ!!」 マルクエンは二人の会話を聞いて笑っていた。「なるほど、あえて手負いの魔物を残す。か」 王都ではコニヤン軍の参謀長であるシガレーは報告を受けてそう呟く。「箱の破壊にばかりを考え、

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    「マルクエン様!! 私も戦う!!」 セロラが飛び出してクラムに斬りかかるが、簡単にいなされ蹴り飛ばされた。「雑魚は引っ込んでな!!」「私は雑魚じゃない!!」「セロラさん!! 後ろに居て下さい!!」 マルクエンはクラムと斬り合いながら言う。「でも!!」「危ないから!!」 マルクエンに強く言われ、悔しさを感じながらも大人しく従うセロラ。 地上ではマルクエンとクラムが剣をぶつけ合う。「ほう、ちょっとは楽しめそうなぐらいにはなったか」 クラムはニヤリと笑ってマルクエンに言った。 目にも止まらぬ速さで攻防を繰り広げていたマルクエンだったが、咄嗟に身を引く。 次の瞬間、クラムに向かって特大の火の玉が降り注いだ。 クラムは躱そうとするが、炎の直撃を食らい、傷を負った。「小賢しい、斬り合いの邪魔をするな!!!」 怒りを剥き出しにして上空のラミッタに怒鳴りつける。「卑怯とは言わないでしょうね? これは戦いよ、何でもアリでしょ」「ッチ、ミネス!! そいつの相手をちゃんとしておけ!!」「あー、ごめんごめん」 そう言ってミネスはラミッタに向けて魔法の短剣を投げつけた。 十数本の短剣がラミッタを追尾してまわる。 ラミッタは高速で飛び回り、地面に急降下した。 激突する寸前の所で水平に飛び、曲がり切れなかった短剣は地面に突き刺さる。「マーダージャグリング!!!」 次にミネスは雷を地上に何発も落とした。「ぐっ!!」 マルクエンは直撃は避けたが、地面から伝う電流で感電する。 対策を施している装備でこれ程までなら、直撃したら命は無いなと妙に冷静に考えていた。「ミネス!! そっちの女の相手をしろ!!」「えー、ボク命令されるの嫌いなんですけどー」 そんな事を言うミネスを無視し、ラミッタはマルクエンと対峙しているクラムに斬りかかる。 各個撃破をしようとするマルクエンとラミッタだったが、それを不快そうにミネスは見た。「命令も嫌だけど、無視はもっとムカつくかもー」 ミネスは氷の剣をマルクエン達に向かって飛ばす。 ラミッタは魔法反射で弾き、マルクエンは剣で粉々に砕いた。 その一瞬の隙を逃さず、クラムがマルクエンを袈裟斬りに斬ろうとする。 だが、それは罠だった。マルクエンは振り下ろされたそれを剣で受け止め、ラミッタの剣

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   痛み

     楽しい宴会から一変して村は悲惨な状況になった。 セロラはコラーの横に座って泣いている。「ごめん、コラー……」 意識を失ったままのコラーから返事は無い。 月明かりが差し込む中。コラーは目が覚めた。 全身がビリビリと痛み、うっと声を上げる。 足元に重みを感じて見てみると、セロラがもたれ掛かって眠っていた。「セロラ……」 一言そう呟き、セロラが無事だった事に安堵する。 その時、セロラの猫耳がピクリと動き、顔を上げてコラーを見た。「コラー! 起きたか!?」「あぁ……」 セロラは思わずコラーに抱きつこうとするが、ぐるぐる巻かれた赤く血の滲んだ包帯を見て自重する。「コラー。何で私を助けた?」「何でって……。気付いたらな、体が勝手にだよ」「そう……」 セロラは何と言えば良いのか、ずっと考えた。 そして、出した答えは。「コラー。ごめんね。助けてくれてありがとう」「良いんだ。でも、もう無茶はしてくれるなよ?」「うん……」 いつになく聞き分けの良いセロラを見てコラーはフッと笑う。 朝になり、集会所で目覚めるマルクエンとラミッタ。 ラミッタは徹夜で手当をしていたので、まだ眠気が抜けきらないでいた。「おはよう。お疲れラミッタ」「えぇ、大丈夫よ」 ふわーっとあくびを一つして集会場を見渡す。 犠牲者こそ居なかったが、怪我人は多数いる。 その中でも、一番重症のコラーの様子を見に行く。「あら、仲良さそうに寝ているわね」 コラーと寄り添って寝るセロラを見て二人は安堵した。 他の怪我人を看ている間に、目覚めるコラーとセロラ。「おはよう、気分はどうかしら?」「あっ、おはようございます!! 申し訳ありません。自分が不甲斐ないばかりに……」「いえ、誰かを守る姿勢は兵士として立派でした」 マルクエンに言われると、思わずコラーは照れた。「とりあえず、痛み止めを飲んで。そして薬塗って包帯の交換よ」 言われた通りにするコラー。傷口に包帯が張り付いていて、剥がす時が物凄く痛い。「コラー、大丈夫か?」 セロラが手を握っていてくれているので、恥ずかしい所を見せるまいと耐える。「さてと、どうしたものかしらね」 集会所の外、村の中心に置かれた箱を見てラミッタは言う。「箱を壊しても、これじゃいたちごっこだな」 マルクエンも思わずはぁっとた

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   マキガリスープ

    「勇者様、この度は何とお礼を申し上げて良いものか……」 この村の村長がマルクエン達のもとまでやって来て深々と頭を下げる。「いえ、皆さんがご無事であれば何よりです」「何も無い村ですが、せめて宴を楽しんでいって下さい」 村の中心では焚き火が組まれ、その上にとても大きな鍋が乗っていた。 獣人達はそこへ熊や鹿の肉、人参と大根、里芋といった根菜類を入れ、大豆の加工品である『ミソ』を溶かしてぐつぐつ煮込む。 食欲を唆るいい香りが漂い、皆は火を囲み、音楽を鳴らして踊っていた。「マルクエン様、ラミッタ様、どうぞ!」 コラーが鍋のスープを二人の元へ持ってくる。「この村名物のマキガリスープです」「マキガリスープ? ですか、美味しそうです」 器を受け取ったマルクエンはまじまじとそれを見つめた。「では早速、イタダキマス!」 ズズズッとスープを飲んでみる。肉の旨味とミソの風味が口に広がる。「むっ、美味しいです!」「それは良かった!」「本当、美味しいわね」 勇者達に村の味を気に入って貰えて、コラーはホッと胸をなでおろす。「マルクエン様ー、おいしいか? 気に入ったか? 村住むか?」 マタタビ酒を呑んで、ぐでんぐでんに酔ったセロラがマルクエンに言う。「いえ、美味しいですけど、我々にはまだ使命がありますので……」 マルクエンは苦笑いをしながらスープを食べ続ける。 セロラはまたスリスリとマルクエンに顔を擦り付けた。「セロラ!! もう、行くぞ!」 コラーが首根っこを掴んでどこかに連れて行く。 宴もたけなわになり、皆の気が抜けていた時だった。ラミッタがふと遠くの気配を感じ取る。「! 来るわ!!」「なっ!? 魔人か!?」 二人の言葉を聞いたコラーは「えっ」と小さく言った後、状況を理解したらしい。「た、大変だ。魔人ですか!? 兵士長に知らせてきます!!」「みんなを避難させて下さい!!」 だが、遅かった。もう既に上空には飛ぶ人影があった。「みんなでお祭り? ボクも混ぜてよ!」「お前は……。ミネスだったか?」 マルクエンは奇術師の格好をした魔人を見て言う。「名前覚えていてくれたんだ。嬉しいよ。好きになっちゃいそう」「何だお前、泥棒猫か!!」 セロラが敵意を剥き出しにして空を見上げる。 ラミッタは酔い覚ましの魔法を自

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   二人で

    「昔から身体強化は使っていたみたいだけど、あの青いオーラの奴は魔力の消費が特に激しそうね」 ラミッタの言葉にマルクエンは頷いて答える。「あぁ、物凄い疲れるぞ」「身体強化にしろ、光の刃にしろ、宿敵は魔力を100出せば良い所を、120ぐらいで使っているから疲れるのよ」「なるほどな……」 ラミッタの指摘を理解は出来たが、どうすれば良いのかわからない。「まぁ、これは数こなして慣れしかないけどね」「だが時間がないな……」「そうね……」 二人の間にしばし沈黙が流れる。 それを破ったのはラミッタだった。「今、出来ることを考えましょう」「そうだな。ラミッタと連携をしてヴィシソワさんを

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   共闘

    「お、お前、生きていたのか!?」 マルクエンは動揺して言った。同じ様に焦るラミッタも言葉を返す。「いや、まって、宿敵、なんでアンタがここに!?」 互いに混乱し、上手く言葉が出て来ない。代わりにシヘンがマルクエンに声を掛けた。「お知り合いなんですか?」「い、いえ、知り合いというか、知ってはいるのですが」「えー、何スか? もしかして痴話喧嘩とかー?」 ケイはにやにや笑いながら言った。マルクエンは顔を赤くして言葉を返す。「いや、決してそんなものでは」 そんなやり取りをしていると、村人が血相を変えて冒険者ギルドに入ってきた。「た、大変だ!! ゴブリンと魔物の群れが村に襲いかかって

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   再会

     女の名がわかった所で、笑顔を作りマルクエンは言う。「シヘンさんですか、よろしくお願いします」「い、いえ、その、マルクエンさんのお国の……」 シヘンは先程言われた国名を忘れてしまい、察したマルクエンがもう一度言う。「あぁ、イーヌ王国です」「そう! イーヌ王国……。ごめんなさい、聞いたことがありません」「そうですか……」 イーヌ王国は決して小さな国ではないので、名を知らぬという事は、よほど遠い地なのか、もしくは本当に死後の世界なのか。「あの、どうしてマルクエンさんは森に?」 シヘンに聞かれ、マルクエンはうーんと悩み言った。「えぇ、とても信じられない話なのですが、気付いたらこ

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   決闘

    「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 一人の女が赤面しながら男を指差し言う。 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』に決闘ではなく、結婚を。プロポーズを受けた。 騎士と魔剣士が剣を構え、対峙していた。互いの背には軍勢が半円状に並んでいる。 一人の名は『マルクエン・クライス』と言い王国騎士の男だ。前髪をかき上げた少し長めの金髪に重厚な白い鎧を身に纏っている。 もう一人は『ラミッタ・ピラ』魔剣士の女だ。肩より少し長めで切りそろえた茶髪に白と茶のヘアバンドをし、黒を基調とした軽装備で、左肩に赤い肩当て。 互いに別の国に仕

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