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last update publish date: 2025-10-25 18:10:09

「お、お前、生きていたのか!?」

 マルクエンは動揺して言った。同じ様に焦るラミッタも言葉を返す。

「いや、まって、宿敵、なんでアンタがここに!?」

 互いに混乱し、上手く言葉が出て来ない。代わりにシヘンがマルクエンに声を掛けた。

「お知り合いなんですか?」

「い、いえ、知り合いというか、知ってはいるのですが」

「えー、何スか? もしかして痴話喧嘩とかー?」

 ケイはにやにや笑いながら言った。マルクエンは顔を赤くして言葉を返す。

「いや、決してそんなものでは」

 そんなやり取りをしていると、村人が血相を変えて冒険者ギルドに入ってきた。

「た、大変だ!! ゴブリンと魔物の群れが村に襲いかかってきた!!」

 その言葉を聞くと、ラミッタは一気に凛とした顔になり、外へと飛び出す。

「ま、待てラミッタ!!」

 マルクエンもその後を追って村の外へと走っていく。

 一緒に付いてきたシヘンとケイはその光景を見て絶望した。

「な、なんスかこの数は!!」

 思わずケイはそう言う。百にも及ぶゴブリンと、その後ろにはカニや犬、カマキリの魔物が続いていた。

 村には衛兵が三人いるが、とても太刀打ちできないだろう。それどころか、村にいる冒険者達を合わせても無理だ。シヘンは杖を強く握ってポツリと言う。

「さっきのゴブリンは……、もしかして先遣隊だったのでしょうか」

「そうかもしれませんね」

 マルクエンが大剣を引き抜いてシヘンの言葉に答える。その正面ではラミッタが魔物の群れと対峙し、振り返らずに言った。

「宿敵!! 一時休戦よ!! アイツ等をやるわ!!」

「あぁ、分かった!!」

 その提案にマルクエンは同意し、二人は魔物の群れに走っていく。

「マルクエンさん!! いくらマルクエンさんが強くてもこの数は!!」

 シヘンは止めようとマルクエンの背中に叫ぶが、止まらない。

 敵に近づいたラミッタは炎の玉を左手から打ち出す。着弾すると、そこを中心に大きな爆発が起きた。吹き飛ぶゴブリン達。続いて雷の魔法で感電させ絶命させる。

「うおおおおお!!!」

 雄叫びを上げながらマルクエンはまるで小枝を振り回すかのように大剣を振るい、次々とゴブリンと魔物を切り裂いていく。

 冒険者も衛兵も、その圧倒的な力を眺めることしか出来なかった。

 ものの十分程度で村を襲撃した群れは壊滅してしまう。皆、言葉を失っていたが、ケイが最初に言葉を口に出す。

「マジか、マジっスか!?」

 白昼夢のような光景にそんな感想しか出てこなかった。

 だが、段々と状況を理解した者達から歓声が上がる。そんな注目の的であるラミッタはマルクエンに声を掛けた。

「どうやら、亡霊じゃないみたいね」

「お前こそ、本物みたいだな」

 二人は互いにニヤリと笑い顔を見合わせた。

「また一戦やり合いたいものだけど、宿敵。あなたはこの世界に来たばかりかしら?」

 この世界という言葉が気にかかったが、マルクエンは言葉を返す。

「あぁ、気付いたら森の中で寝ていた」

「私が色々説明してあげるわ」

 村へと歩みだすラミッタの後を、マルクエンは剣を仕舞って着いていく。

「ラミッタ殿、流石でした。本来であれば我々衛兵が戦わなければならないものを……、情けない」

「いえ、良いのですよ」

 衛兵に笑顔でラミッタは返事をする。

「それで、そちらの方は冒険者でしょうか?」

「いや、昔ちょっとありましてね」

 適当にはぐらかしてラミッタは冒険者ギルドに向かう。マルクエンの元にシヘンとケイもやって来た。

「マルクエンさん、やるっスねぇー!!」

 ケイに言われると、マルクエンは頭をかいた。

「そんな、大したことではありませんよ」

「マルクエンさん、お怪我は!?」

「シヘンさん。お気遣いありがとうございます。怪我はありませんよ」

 あんな大群相手で傷一つ無いことに、シヘンは驚いていた。冒険者ギルドに戻ると、中はざわつく。

「おい、さっきの男だ」

「何モンなんだアイツ……」

 マルクエンを見ると冒険者たちは口々に言っていた。そんな中、ラミッタとマルクエンの元に老人の男が歩いてくる。

「先程の戦いを見ていました。ラミッタさんは流石の活躍で。そして、そちらの男性は……?」

 老人でありながら鋭い眼光でマルクエンをちらりと見る。

「私は、マルクエン・クライスと申します。イーヌ王国で騎士を務めています」

「イーヌ王国……。あぁ、ラミッタさんが前におっしゃっていたお国ですか」

「宿敵、ギルドマスター殿も交えて話がしたいんだけど。我々が置かれた状況についてね」

 ラミッタが言うと、マルクエンは頷いた。今はそれしか選択肢が無いだろう。

「わかった」

 ギルドマスターに付いていくと、二人は奥の応接室へと案内された。

「どうぞ、おかけ下さい」

 マルクエンとラミッタはギルドマスターの対面にあるソファに隣同士で座る。マルクエンはラミッタの顔をちらりと流し見た。

 あの戦場でしか会わなかった彼女が隣で座っているというのは何とも奇妙な感覚だ。

 そして、そのラミッタが話し始める。

「さて、私は長い話が苦手だから単刀直入に言うわ宿敵。今いるこの世界は、私達がいた世界と別の世界なのよ」

 真面目に話す顔を見て、冗談ではないのだろうとマルクエンは思ったが、理解が追いつかない。

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最新章節

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   休戦協定

     空を飛ぶラミッタは着地し、話し続ける。「そして、勇者になった我々は魔物が現れる箱を壊すために各地を巡っています」「魔物が現れる箱?」 スフィンが聞き返すと、ラミッタは頷く。「少し、長い話になるかもしれませんが、こちらの世界に来て分かっていることをお話します」 ラミッタは、こちらの世界に来て起きた魔人との戦いを簡潔に説明する。「わかった。信じられない話だが」「異世界の勇者様もそんな事情があったなんてなー」 マッサも興味深げに隣で聞いていた。「それで、私はこの聖地の箱を壊しに来た所、スフィン将軍に出会ったのです」「そうか……」 スフィンは必死に状況を飲み込もうとしている。「ラミッタ。まず私はどうすべきだろうか」「やはり、この国に報告をするのが得策かと。もし、勇者として認められれば、行動もしやすいでしょうし……」「わかった。国へ戻るまで、イーヌの騎士。貴様とは休戦だ」「はい、わかりました」 マルクエンはそう返事をし、その場は丸く収まった。「さて、では早速その国と話がしたいのだが」「この街にも冒険者ギルドがあるんだ! そこで連絡石を使って報告してもらうよ」 マッサが言うと、スフィンの頭には疑問符が浮かぶ。「連絡石とは何だ?」「簡単に言うと、触ると遠くにあるもう片割れの石が光るっていう貴重で不思議な石でな。それで信号を送るんだ」「そんな不思議なものが……」「と言っても、距離はそこまで遠く出来ないから、王都に信号送るには何個も中継地点で繋いでもらう感じなんだけどねー」 マッサが説明すると、なるほどなとスフィンは納得した。「この街の箱について知りたいし、まずは冒険者ギルドかしらね」 話が纏まり、マルクエンとラミッタ。スフィンにマッサという珍妙なパーティは冒険者ギルドへ向かった。「ここが冒険者ギルドだ!」 建物は他の街よりもこじんまりとしているが、小さな街なので仕方がないのかとマルクエンは思う。「はーい、三名様ごあんなーい」 勢い良く扉を開けてマッサは中へと入る。「あら、マスター。お帰りが遅いので魔物にやられたかと思いました」「いやーん。冷たいこと言わないでー」 ギルドスタッフの女にマスターと言われるマッサを見て、マルクエンはまさかと思う。「その、マスターって事は?」「あぁ、俺はこの街、チターで冒険

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   気まずい食事会

     スフィンははっきりとマルクエンを敵だと言い切った。 ちょうどそこへ大量の料理が次々に運び込まれる。 気まずい食事会に誰も料理を取ろうとしない。「まぁまぁ、スフィンさんの事情は分かった! ともかく今は食べましょうや」 マッサはそんな事を言い、料理を取り分けスフィンの前へ置く。「騎士として……」 マルクエンが話し始めたので、皆がそちらを向いた。「騎士として、国のために戦うことが正しい事だと私は思っていました」 そこまで言うと、自信の無い表情を作り、続けて言う。「ですが、ルーサにとって、あの戦争は侵略だと思われても仕方が無いと、今は思います」 皆は黙ってマルクエンの話を聴いていた。「戦場で好敵手だと思っていたラミッタとも、こうして一緒に旅をする仲になることができ、私は正しさが何か。正直言って分からなくなってしまいました」「貴様、何が言いたいんだ?」 スフィンに尋ねられ、答える。「私は、元の世界へ帰り、戦争を終わらせたい。皆が分かり合える世界を作りたい」「そんな絵空事を」 ふんっとスフィンは吐き捨てるように言った。「それに、私はこの世界も好きになりました。だから、魔王からこの世界も救いたい」「私には関係無い話だ」「いやいや、スフィンさんも、別世界の勇者ってことなら、関係あるかもしれないよ?」 マッサが宥めると、ラミッタも話し始めた。「その方の言う通りです。もしも、我々がこの世界の伝承通りの存在だとしたら、元の世界へ帰る唯一の方法かもしれません」 ラミッタにも言われ、スフィンはため息を付く。「とりあえず、今は飯にしましょうや! 料理が冷めちまう」「……。そうだな」 スフィンは納得したのかしていないのか、定かではないが、料理を口に運び始めた。 食堂にはカチャカチャと食器を動かす音だけが響いている。 しばらくの沈黙を破ったのは、以外にもスフィンだった。「分からないことだらけだが、ラミッタ。いくつか聞きたい事がある」「はい、なんでしょうか?」「何故この世界の住人と言葉が通じ合うんだ?」 質問をされたラミッタは困った顔をしてしまう。「それは……。私にも分かりません。文字は違うようですが、意味が理解できるのです」「言葉とは文化によって生まれるものだろう? そこが謎なのだ」 スフィンの言うことは|尤《もっと

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   あびゃー!!!

    「えっ、本当に勇者様?」「俺が嘘を言う男に見える?」 マッサがニヤリと言うと、ネーアは慌てふためいた。「えっ、えっ、あ、あの、ようこそ当ホテルにお越し下さいました!! えーっとどうしよ、サイン色紙? じゃなかった、お部屋にご案内します!!」「それより飯を用意してちょうだいな、ねーちゃん」「わ、わかったわ!! 大至急用意させますので!!! マッサ、勇者様のお部屋どこか案内しといて!!!」「かしこまり! さぁさぁ勇者様こちらへどうぞ。スフィンさんはそこの椅子に座って待っていてちょうだいな」 二階の一室に案内されるマルクエンとラミッタ。「これは、どういう事なのかしらね」「元の世界で命を失った者はこの世界へ来るのだろうか……?」「でも、それだったらもっと人が居てもいいはずよ」「うーむ……」 悩む二人だったが、こうしていても埒が明かないだろう。 荷物を下ろしたマルクエンが、剣まで置いていこうとしているのを見てラミッタが咎める。「宿敵、スフィン将軍がまた襲いかかってくるかもしれないのに、武器を置いていくの?」「なんだ、心配してくれるのか?」「なっ!? べ、別に!!」 ハハハと笑った後にマルクエンは言う。「スフィン将軍なら、何となくだが心配は要らないと思う」「何でそう言い切れるのよ」「あの方は気高い軍人だ。卑怯な手は使わまい」 その頃、ロビーに戻ったマッサを見てスフィンは立ち上がる。「マッサ……だったな」「お、名前を覚えていてくれたの。嬉しいねぇー」「私を一発殴れ」「は?」 思いもしない言葉を聞いて流石のマッサも困惑した。「えーっと、そういう趣味が?」「ち、違う!! 貴様は民間人であり、それ以前に恩人でもある。なのに私は貴様に攻撃をしてしまった」「あぁ、あの電気は効いたぜ!」 興奮するスフィンを止めるために、拘束魔法を使おうとした時の事を言っているのだなとマッサは思い出す。「どこからでも良い、そうして貰わないと私の気が済まない」 そう言ってスフィンは目を瞑る。「そっか、俺は気にしていないんだけどなー」「私が気にしているんだ」「……、それじゃ遠慮なく」 マッサはスフィンに近付き、手を前に出す。 その手はガッチリとスフィンの胸を鷲掴みにしていた。「ひゃっ」 殴られると思っていたのに、胸を揉まれ、

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   VSスフィン

    「いやはや、何とも信じられん話だ」 賢者ミハルは目を閉じてうーんと唸る。「だが、この国の伝承にこんな物がある。『魔王現れる時、異なる世界から勇敢なる戦士が現れるだろう。その者は魔王を討ち滅ぼし、去っていく』というものだ」「あの話か」 マッサもその話は知っているらしい。「という事は、この国には魔王が?」「そう、一年前に現れましたぞ」 スフィンはミハルの回答を聞いて驚く。「つまりは、スフィンさんは異世界の戦士ってことか?」「可能性はあるだろう」 勝手に話が進んでいくが、スフィンは待って欲しかった。「いや、そんな事を言われても困る。私は国に帰って戦わなくてはならない!」「伝承通りならば、魔王を倒せば元の世界へと帰ることができるかもしれませんな」 ミハルの言葉にスフィンは目を見開いて立ち上がる。「そうですか、それでは早速……」「ちょっ、おいおい待ってくれよスフィンさん。魔王は今どこに居るかも分からないし、そもそも超つえーんだ!」 マッサが少し焦って止めようとするも、スフィンは扉を開けて出ていこうとしていた。「それでも、ここでじっとしている訳にはいかない」 扉を開け、外を見ると、一瞬思考が停止した。 目の前に居るのは間違いない。何度も戦場で見た。「マルクエン・クライス!?」「なっ、スフィン将軍!?」 その隣に居るのは。「スフィン……将軍……!?」 自ら叩き上げた兵士、ラミッタ・ピラだ。 だが、次の瞬間。スフィンはマルクエンに向かって電撃を放った。「おわっ!!」 マルクエンはそれを躱して距離を取る。「貴様、殺す!!」 何だ何だとマッサとミハルも外へ出てきた。「スフィンさんどうした!?」 マッサの言葉も届かず、スフィンは光で作った剣を持ち、マルクエンに突進する。「死ね!! 侵略者が!!!」 マルクエンは剣を構えて青いオーラを身に纏う。 剣と剣がぶつかり合うが、マルクエンは少しもよろめかない。 体重をかけてスフィンを弾き飛ばし、話をしようとするマルクエン。「スフィン将軍、聞いてくれ!! 私はあなたと争うつもりはない!!」「スフィン将軍!! 落ち着いて下さい!!」 ラミッタも声を掛けるが、更に怒りを加速させた。「ラミッタ!! 何をしている!! 貴様も戦え!!」 マッサが飛び出してスフィンを捕ま

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   マッサ

     マルクエン達が聖域を訪れる数日前の事だ。「私の名はスフィン・スク。ルーサの将軍だ」「将軍様か、そりゃあいい!」 スフィンを助け、食事を食べさせている冒険者の男、マッサは膝を叩いて爆笑していた。「貴様、信じていないな?」「いや、信じるよ。信じるとも」 言葉ではそう言っていたが、態度からはそんな気が微塵も感じられない。「私は確かに戦場に居た。そこで落馬し、意識を失って、気が付いたらここだ」「なるほどな、不思議な話もあるもんだなー」 豆のスープを食べながらマッサは適当に頷いていた。「やはり、貴様信じていないだろう」「まず、そのルーサってのは国なのかい?」「あぁ、そうだ」「悪いが、聞いたことないんだよねー」 聞いたことが無いと言われ、スフィンは驚く。 だが、目の前の男が残党狩りで嘘をついていないとも限らない。「本当に知らんのか?」「全くね、ここはコニヤンって国だけど、周りの国にも無いしなー」「その国こそ聞いたことが無い。疑問なのだが、聞いたこと無い国同士出身の私達が何故同じ言葉を話せるのだ?」「それは俺も分からないねー」 何とも要領を得ない男の話に、スフィンは少しイライラとしていた。 そんな時、スフィンは物音と、それに混じった殺気を感じ取る。「おや、お客さんみたいだね」「剣を、貸してくれるか?」「あぁ、予備が一本あるよ」 マッサが剣を差し出し、スフィンはそれを受け取った。 野生生物を模した魔物が二人に飛びかかる。 スフィンは蟻型の魔物を剣で斬り捨て、光の矢を多数呼び出し、射出した。 串刺しになる魔物達。マッサは熊型の魔物の腕を切り落としながらそれを見る。「はぇー、やっぱやるねぇ!」 スフィンは近付く魔物を剣で切り捨て、中距離以上の敵は魔法で殲滅した。 マッサも次々に魔

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