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Ep15:林間学校の真相(3日目の決着)

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-06-24 11:00:28

~3日目の朝と決意~

10月12日、林間学校3日目の朝、森の自然の家の空気は冷たく澄んでいた。

2日目の朝、大浴場でクラスメイトの田村悠斗(ゆうと)くんが全裸の状態で遺体として発見された事件は、星見キッズに深い衝撃を与えていた。

昨夜の調査で、麻酔と消毒液を使った巧妙なトリックが浮上し、医務室と換気口が次の手がかりとされた。

警察の協力のもと、シュウたちはこの日、真相を解き明かす決意を固めていた。

宿舎の部屋で朝日が差し込む中、シュウはノートを手に仲間たちと作戦を立てた。

「昨日、麻酔と消毒液がトリックの鍵だと分かった。今日は医務室を詳しく調べ、換気口の外を確認する。田村くんのためにも、犯人を絶対に見つけるよ」

「シュウ、怖いけど…一緒に頑張ろうね」

カナエが手を握り、緊張した笑顔を見せた。

「うん、星見キッズならできる。真相に近づこう」

リナがスケッチブックを手に頷いた。

「俺、力になる! 田村くんの仇を取るんだ」

ケンタが拳を握り、気合を入れた。

「データでサポートする。トリックを解くよ」

タクミがタブレットを手に準備した。

朝食後、警察の佐藤刑事から許可が出た。

シュウたちは田中先生と一緒に医務室に向かった。医務室は宿舎の端にあり、白いカーテンと消毒液の匂いが漂っていた。

棚には包帯や薬が並び、冷蔵庫には注射器と薬剤が保管されていた。医務室の証拠シュウが冷蔵庫を開けると、麻酔薬の瓶が一つ欠けているのに気づいた。

「この麻酔薬、少なくなってる。昨夜の注射器の破片と一致するかも」

「シュウ、ボトルに指紋が残ってたらどう?」ケンタが目を丸くした。

「うん、タクミ、指紋スキャンできる?」シュウが尋ねた。

タクミがタブレットのセンサーを使い、ボトルの表面をスキャンした。

「あった! 指紋データベースと照合中…。おお、松本翔くんの指紋だ!」

「松本翔…? あの背が高くて内向的な子?」カナエが驚いた声で言った。

「うん、昨夜のカメラ映像でも、黒い服を着た背の高い人影が映ってた。松本くんが怪しいね」シュウがノートに名前を書き込んだ。

次に、換気口の外を調べるため、宿舎の裏手へ移動した。リナがスケッチブックに換気口の位置を書きながら言った。

「昨日、換気口が少し開いてた。外から何かを見張ってたかも」

タクミがドローンを飛ばし、換気口周辺を撮影した。

「シュウ、換気口の下に足跡と注射器の空ケースがある! 犯人がここで準備した証拠だ」

「足跡…。サイズは松本くんと一致するかな?」シュウが足跡を測った。

佐藤刑事が足跡を調べ、頷いた。

「松本翔の靴のサイズと一致する。証拠が揃ってきたな」トリックの解明シュウはノートを広げ、トリックを整理し始めた。

「松本くんは麻酔薬を医務室から持ち出し、田村くんを大浴場で無力化した。注射器で麻酔を打って抵抗をなくし、絞めて殺した。その後、消毒液を入れて証拠を消した。換気口から監視して、タイミングを見計らったんだ」

「でも、なぜ田村くんを? 動機が分からないよ…」リナが不安そうに言った。

「それはまだ分からない。犯人の動機は別で調べるとして、トリック自体はこれで説明できる。麻酔で動けなくし、絞めて殺し、消毒液でDNAを隠した」シュウがホワイトボードに図を描いた。

「換気口から見張ったのは、誰かに見られるのを防ぐためだね。巧妙だ…」タクミがタブレットを操作しながら言った。

佐藤刑事が近づき、言った。

「君たちの推理、素晴らしい。麻酔と消毒液の証拠で、松本翔を疑う根拠は十分だ。早速連れてこよう」

~犯人への対峙~

松本翔は、ホールの隅で本を読んでいた。背が高く、眼鏡をかけた彼は、内向的な性格で普段は目立たない存在だった。

警察に連れられると、彼は震えながら立ち上がった。その長身が、昨夜のカメラ映像の人影と重なった。

シュウが静かに近づき、言った。

「松本くん、麻酔薬と注射器の証拠が出た。田村くんを殺したのは君だろ? 背が高いし、黒い服も一致してる」

松本は目を伏せ、黙り込んだ。

佐藤刑事が厳しい声で言った。

「松本翔、黙秘権はあるが、正直に話した方がいい。証拠は揃ってる」

松本はしばらく沈黙した後、小さな声で呟いた。

「…認める。僕がやった。でも、理由は…まだ言えない」

「理由は後で聞く。まず、事件の流れを話して」シュウが冷静に促した。

松本は震える声で語り始めた。

「2日目の夜、9時頃、大浴場に田村を誘った。医務室から麻酔を持っていって…注射で眠らせて、絞めた。消毒液も入れて、証拠を消した。換気口から外を見て、誰にも見られないようにした…。僕の背の高さで換気口から見やすかったんだ」

「なぜそんなことを?」カナエが涙目で尋ねた。

「それは…今は言えない。ごめん…」松本が顔を覆い、長い体を縮こまらせた。

佐藤刑事が手錠をかけ、言った。

「松本翔、殺人容疑で逮捕する。警察署で詳しく聞く。君たち、よくやった。残りは任せろ」松本は連行され、ホールに静寂が戻った。

シュウはノートを閉じ、仲間たちを見回した。

「トリックは解けた。麻酔で無力化し、絞めて殺し、消毒液で証拠を隠した。換気口で監視も完璧だった。でも、動機が分からない…」

~被害者との関係と新たな決意~

シュウは田村くんのことを思い出した。幼い頃の記憶が蘇った。

シュウと悠斗は近所に住む幼馴染で、一緒にサッカーをしたり、桜の木の下で遊んだりしていた。

2日目のキャンプファイヤーで、悠斗が笑顔で歌う姿が目に焼き付いていた。

「悠斗…なぜお前が…。動機が分からないと、納得できない」

「シュウ、幼馴染だったんだね…。辛いよね」リナがスケッチブックを握りしめた。

「うん。でも、動機が分からないままじゃ、悠斗の気持ちも分からない。松本くんの話を聞くしかない」シュウが目を潤ませた。

カナエが手を握って言った。

「シュウ、一緒に真相を突き止めよう。星見キッズならできるよ」

「ありがとう、カナエ。警察に協力を頼もう。動機が分かれば、悠斗も安らかに…」シュウが深呼吸した。

午後、川遊びの予定だったが、事件のため中止となり、振り返りの時間が設けられた。シュウたちはホールの隅で話をした。

タクミがタブレットでニュースをチェックし、言った。

「松本くんの逮捕が報じられた。警察が動機を調べるって」

「動機…。松本くん、背が高くて静かだったのに…」ケンタが首をかしげた。

「うん、表に出ない理由があるんだろう。3日目でトリックは解けたけど、物語はまだ終わらない」シュウがノートを手に持った。

~新たな一歩への約束~

帰路のバスの中で、シュウは窓の外の紅葉を見ながら考え込んだ。

林間学校は悲しい結末を迎えたが、星見キッズの絆はさらに強くなった。

カナエが隣で言った。

「シュウ、帰ったら文化祭の準備があるね。事件のことは忘れられないけど、新しい気持ちで頑張ろう」

「うん、文化祭か…。10月下旬だよね。クラスの出し物、考えないと」シュウがメガネを直した。

「俺、ゲームコーナーやりたい! サッカーの射的とかどう?」ケンタがボールを手に笑った。

「紅葉の絵を展示するのもいいね。林間学校の思い出を形に」リナがスケッチブックを開いた。

「技術面でサポートするよ。音響や照明、任せて」タクミがタブレットを操作した。

「文化祭で、みんなと楽しい時間を作ろう。悠斗の分も笑顔で過ごしたい」シュウが決意を込めて言った。

バスは町に近づき、校舎の桜の木が見えてきた。シュウはノートに「文化祭で新たな一歩を」と書き、星見キッズの次の挑戦を心に誓った。

(Ep15 完)

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