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第18話

Auteur: ポポ
光奈子の足は止まらなかった。

背後で宿舎のドアが閉ざされる。カチャリと乾いた施錠音が、彼女を千隼という過去から物理的に切り離した。

顔を合わせれば、多少は心が波立つと思っていた。

だが、最初の不意打ちを除けば、あとに残ったのは泥のような徒労感と、心が凍てついたような静けさだけだった。

翌朝、光奈子は早起きをして、千隼と鉢合わせしそうな時間を避けて食堂へ向かった。

しかし、午前のデータ整理を終え、資料室を出たところで、渡り廊下の突き当たりに彼の姿を見つけてしまった。

千隼は一睡もしていないようだった。彼女に気づくと弾かれたように背筋を伸ばした。

「……光奈子」

その声は、砂を噛んだように乾いてかすれていた。

光奈子は足を止め、数歩の距離を置いて彼を冷ややかに見据えた。

その沈黙に、千隼は用意していた言葉を喉に詰まらせる。

彼は一歩踏み出し、すがりつくように距離を縮めようとした。

「……間違っていた。俺は、お前がいて当たり前だと……それが最も合理的だと思い込んで、お前の感情を計算に入れていなかった」

千隼は必死に言葉を紡ぐ。彼にとって「謝罪」という行為はひどく不慣
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