Masukその日は、一日通して大きなトラブルもなく、穏やかに遅番業務を終えることができた。
夜勤者への引き継ぎも滞りなく済み、私が帰り支度をしていると。「お先」
氷室さんは右肩にひょいとリュックを背負い、椅子の背もたれに掛けていた上着を小脇に抱えて、デスクから離れていった。
「あ。……お疲れ様です」
休憩に入る時と同様、業務以外は塩対応継続――。
私はここでもがっかりして、肩を落とした。いや、でも、昨日までと比べたら、どう考えたって大きく一歩前進だ。
昨夜のアレで、彼が聞いてくれると言った願いは一つ。 渋々なのがわかりやすいけど、約束は守ってくれている。 一つ上手くいったからって、調子に乗ってあれもこれもと願う私は、確かに彼が言う通り欲張ってる……。「お先……失礼しまーす……」
夜勤の同僚に尻すぼみの挨拶をして、私もオフィスを後にした。
従業員用のセキュリティゲートを通過して空港ターミナルから出て、地下にある電車のホームに向かう。 業務時間中はあんなにウキウキ張り切っていられたのに、仕事から離れると、帰宅の足取りは重い。「はあ……」
電車の自動改札に定期券のICカードを翳して構内に入ると、無意識に溜め息が漏れた。
ホームに下るエスカレーターに乗って、私はがっくりとうなだれた。
エスカレーターから降りると同時に、ぼんやりと前に顔を向けて、「っ……」
思わず息をのみ、その場で足を止める。
「ん?」
すぐ近くの停車位置に立っていた氷室さんが、気配を察知した様子で首を傾げた。
そして、私とバチッと目が合うと、眼鏡のテンプルを指で摘まんで眉間に皺を寄せる。「追いつかれたか」
「追いつかれた、って。同じ方向なのに、途中まで一緒に……とは思わないですか」
反応を考えながら言い返す私に、ちらりと視線を流してくる。
「昨夜の今日だし、そっちの方が気まずいんじゃないかと思ったんだけど。そんな繊細じゃなかった?」
ひょいと肩を竦める様子に、私の胸がドキッと跳ねた。
まさか……業務以外では相変わらず素っ気ないのは、彼なりに私を気遣ってくれた……ということだろうか? 内心そわそわしながら、思い切って足を踏み出す。「氷室さんは、どうなんですか……?」
彼の隣に並んでいいか、それとも、別の停車位置まで進むべきか……。
頭の中で天秤を揺らして迷い、結局勇気を出して隣で足を止めた。 氷室さんは、軽く顎を引いて私を見下ろすと、「なんだ。あんた、今日はやけに纏わりつくね」
質問への答えはなく、さらりと毒を返してくる。
やっぱり、選択間違えた――。
遅ればせながら痛感して、私はグッと詰まった。「纏わりつくなんて。い、いいです。向こうに行きます。お疲れ様でした」
地味に傷ついて、彼の後ろに回って、ホームの先に歩いて行こうとして。
「八巻さん、明後日何番?」
思いがけず会話を仕掛けられて、反射的に立ち止まった。
「え?」
背を仰いで聞き返すと、氷室さんはまっすぐ前を向いたまま、「明後日」と繰り返す。
「ええと……氷室さんと一緒のはずです。早番……」
明日は、私も彼も公休だ。
そして、休日明けの明後日は早番勤務。と言うか、ほぼ同じシフトで組まれていることは今朝も言ったはずなのに、やっぱり全然心に留めてもらえていない。
がっかりしながらも、氷室さんの方から声をかけてくれたから、私は再び彼の横に戻った。「明後日、なにかあるんですか?」
涼しい横顔を見上げて、そっと問いかけてみる。
氷室さんは、私には視線を向けずに「ん」と言って、上着を抱えた方の手をスラックスのポケットに突っ込んだ。「夜。予定空けておいて」
「え……」
意志とは関係なく、私の胸がドキッと跳ねた。
早番勤務後の、長い夜。 これは、お誘い? ――どういう……?「夜、ですか。ええと……」
取ってつけたような言葉で間合いを取りながら、彼の意図を探って目を凝らす。
でも、ほとんど表情の変化のない横顔から、彼の心を読むなんて、私には到底無理だ。
「なんで、ですか?」
降参して、答えを求めて訊ねてしまう。
氷室さんが、わずかに首を捻って私に目を落とした。 レンズの向こうでやや伏せられた目元が、どうしてだか艶めいて見えて、私の心臓はドキドキと騒ぎ出す。「帰してやれないだろうから」
氷室さんはわずかに口角を上げて、しれっと答えた。
「!」
意味深を通り越して直情的な返事に、私の鼓動はひっくり返った音を立てた。
帰してやれない、って……。 胸元でバッグを抱える腕に、力を込めた。 その下で、私の心臓は、太鼓が乱れ打つような音を立てて高鳴っていく。無意識に、彼の言葉を奥深くまで深読みして、いやがおうでも昨夜の甘くふしだらな記憶がよぎった。
それは、私の頭の中で、くっきりと鮮明に色づいていく。「それって、どういう……」
返事を警戒しながら、しどろもどろになって意味を問い返した。
氷室さんが、今度こそちゃんと、私の方にまっすぐ向き直ってくれた。 そして。「どうって、言葉通り。明後日は、帰さない」
胸を張って、堂々と繰り返される言葉。
「っ……」
胸に浮かび上がった『予感』の輪郭が、私の中ではっきりと縁取られる。
理性のメーターが、大きく振り切ってショートした。私は三年ほど前から、羽田空港への通勤も便利な五反田で、一人暮らしをしている。
通勤時間を短縮したくて、少しでも会社の近くでと決めた街だけど、ごく普通のOLが一人暮らしをするには、家賃も物価も高めで結構厳しい。でも、運航管理部への異動が叶った今となっては、思い切って正解だった。
営業部の時は完全週休二日制、就業時間は九時から五時半で規則正しい勤務体制だったけど、今は四交替のシフト勤務。 遅番の時は、定時で上がっても、帰宅は午後十一時を過ぎる。 早番は午前五時半勤務開始と不規則だし、これで通勤に時間がかかると体力がもたない。駅から徒歩五分、十階建ての単身者専用マンションの五階。
三十平米のワンルームが、私の城だ。 決して広くはないし、万事快適とは言えないまでも、千葉にある実家から毎日通うことを考えれば、十分天国。自分の部屋に帰り着いた途端、一日の仕事……いや、昨夜から丸一日の疲れが、肩にドッと降りてきた。
真っ先にエアコンを点けると、ほとんど脱力気味に床にペタンと座り込んだ。 ベッドに寄りかかって、低い天井を仰ぐ。「……ふーっ」
頬を膨らませて、唇から吹くように息を吐く。
意味もなく辺りに目を走らせてから、抱え込んだ膝に額を預けた。――さっきのアレは、どういう意味で捉えればいいんだろう……。
『明後日は、帰さない』
駅のホームで氷室さんに言われた言葉。
気にしないようにしたいのに、自分自身が『考えるな』と強く念じているせいで、事あるごとに思考回路の真ん中にしゃしゃり出てくる。夜……どうしても、昨夜のことを連想してしまう。
滝汗を掻きそうなほど、恥ずかしくて堪らない出来事。 仕事に集中することで、オフィスではなんとか普通の顔をしていられたけど、氷室さんの隣の席で、内心ドキドキだった。氷室さんの方は、私とは真逆で、まったく平然としていた。
でも、まさか……そういうお誘いだろうか。思考が深まるにつれ、静かに確実に鼓動が騒ぎ出す。
それに伴って、全身が火照って熱くなる。 私は頭を起こして、無駄に手の平をひらひらさせて、頬に風を送った。昨夜のは、酔った勢いで私が仕掛けて、氷室さんは乗っただけ。
でも、私の深読みが間違ってなければ、正常な思考回路のもと、彼の方から『二度目』のお誘いということ。 さっき、駅のホームで匂わせた『気遣い』も、彼の方こそ繊細に、私を意識していたから、だったりして……。単なる勘違いで自惚れては、恥ずかしい。
だけど、あんな意味深に言われたら、どうしたって気になって、明後日の夜のことばかり考えてしまう。明日はシフト狭間の公休。
公休明けに早番で出勤したら、その夜、また、昨夜のように――。「〜〜っ!」
火を噴く勢いで、顔が茹る。
周りに人がいないせいで、妄想ばかりが逞しく膨らむ。一人ジタバタしそうになって、私は人の声を求めてテレビを点けた。
ちょうど、ニュース番組にチャンネルが合っていたようだ。 天気予報を読み上げる声が耳に入った。天気に大きく左右される仕事柄、私もすでに反応する癖がついている。
床から腰を浮かせ、四つん這いでテレビの前まで進んでいき……。『気象庁は、日本時間の午後八時、台風十三号が発生したことを発表しました』
画面に映し出された天気図で、グアム島沖の低気圧の上に、『台』の字を丸で囲ったマークが記されている。
「グアム島沖、台風になりそうな低気圧……」
昼間、氷室さんが言っていた、まさにそれだ。
『台風十三号は、予想よりやや北寄りに進路を変え、明後日夕刻には沖縄に上陸する可能性が高くなっています』
「え……」
私は、思わず身を乗り出して、天気図を凝視した。
翌々日、公休明け。
「台風十三号ですが、急速に発達していて、予報より速い速度で沖縄に接近しています。午後の那覇空港発着便は全便欠航を予定しておりますが、九州便にも影響が出る可能性があります。フォロー願います」
早番業務開始前のミーティングで、国内長距離線担当チームのリーダーの言葉に、私はゴクリと唾を飲んだ。
この三ヵ月、私は運がいいのか悪いのか、台風や大雨といった悪天候の中、業務に就いたことがない。 先輩たちから、荒天時がどれほど大変かは聞いているけれど、みんなが右往左往するOCOを、初めて見ることになるかもしれない――。とは言え、台風十三号は沖縄に上陸した後、中国大陸に向かって北上する見込みで、私たちが担当する短距離線のフライトは予定通りだ。
午前中のうちは、氷室さんも、いつもと変わらず淡々と仕事をこなしていた。ところが、正午を過ぎて、状況が一変した。
那覇空港周辺の天候が予想を遥かに上回る早さで悪化し、午前中に羽田を発った飛行機が、着陸できない事態に追い込まれたのだ。台風が沖縄を通過する、午後六時までの那覇発着便は全便欠航。 すでに離陸済みの那覇便を着陸させる代替空港確保のため、他の九州便、四国中国便を減便して、対応することになった。私たち早番の終業時間が近付いても、九州地方のフライトレーダーでは、他社便も含めて、多くの着陸待機便が確認できる。
デスクの横を通り過ぎていく、ディスパッチャーと運航支援者のキビキビとやり取りする声が、私の耳に届いた。「那覇16便の燃料どうですか? 福岡までダイバートできます?」
「う~ん……沖縄でドッグ入りの予定だったから、燃料余分に積んでないんだよね。福岡までは厳しいかな。16便は、鹿児島が空くのを待ってホールド。旋回待機続行させた方が安全だな」
燃料は、多く積めばいいというわけではない。
飛行機は着陸の衝撃に備えて、最大着陸重量が定められていて、着陸態勢に入る前に、機体重量を制限内に抑えなければならない。 燃料が余った状態で着陸できないため、無駄にならない量を計算して、フライトプランは作られている。つまり、目的地周辺を旋回している機体の搭載燃料は、それほど余裕がない状態。
その他の便を九州の別の空港に着陸させるため、国内長距離チームの皆が、声が嗄れるほどコックピットと無線交信を続けている。
氷室さんは、自分が担当する便のフライトプランを作りながら、
「八巻さん」
私に声をかけてきた。
「こっちはいいから、長距離チームのサポートに回って」
「え? でも」
私がサポートに入っても、かえって足手まといになりそう。
落ち着かない気分で、慌ただしい長距離チームの島と彼を交互に見遣った。「ダイバートした便を、この後どうするか。乗客の誘導も、元営業のあんたなら役に立つ。燃料積んで再フライトするようなら、その分のプランも作らなきゃいけない。情報収集の人手が必要になる」
氷室さんは、表情も変えずにそう言った。
無意識にゴクッと唾を飲んだ私に、ゆっくりと視線を向ける。「八巻さんでも、猫の手くらいにはなるんじゃない? 行っといで。俺も、こっちの業務が済んだら、行くから」
どこか棘を含んだ言い方だけど、カチンとしてる暇はない。
「……はいっ! 行ってきます」
私は気持ちを奮い立たせて、席から立ち上がった。
国内長距離線チームのサポートに回った私は、他の空港に着陸した便の乗客の代替経路手配と、再フライトに備えたフライトプラン作成に必要な情報収集を任された。
再フライトと言っても、乗客や機体の整備状況を、先のフライトプランから踏襲できるわけではない。
降機して、陸路で移動する乗客もいるから、ロードプランも含めて、すべて一から作り直し。 最新のデータが必要になる。 まさに台風が直撃している那覇の気象状況は、刻々と、目まぐるしく変化していて、三十分前の予報も当てにならない。ディスパッチャーが、コックピットと密な交信を行う中、私は九州各地の空港や、JR、私鉄、バス会社などと連絡を取り、輸送手段の調整を行った。
同時進行で情報収集に駆けずり回り、機長とのブリーフィングにも、オンラインで参加させてもらって……。荒天時のOCOは、一言で言うと凄絶。
とにかく大変で、目が回りそうだった。それでも、台風は留まることなく通り過ぎていく。
午後六時には、那覇空港上空の天候も回復して、代替空港にダイバートした便の再フライトにも目途がつき……。「八巻さん、フォローありがとう。助かったよ。あとは自チームで対処できるから」
長距離線チームのリーダーに言われ、午後八時、私は仕事から上がることができた。
午前五時半から、十四時間超――。 さすがに、疲労困憊だった。それでも、初めての荒天対応で足を引っ張ることなく、『助かった』と言ってもらえた高揚感が湧いてくる。
身体は疲れてるのに、妙な興奮が収まらない。私は、OCOの隅にある簡易的な休憩室に移動した。
コーヒーの紙コップを手に、ベンチタイプのシートに腰かける。 一口二口コーヒーを啜ってから、お腹の底から息を吐いた。 カップを支えるように持つ両手は、膝の上で小刻みに震えている。ディスパッチャーという仕事に、やっと正面から立ち向かえた、そんな気分でいた。
安心安全なフライトプランを作って、飛行機の着陸まで見守って終わりじゃない。 こういう非常事態にも、冷静な思考力と臨機応変な判断力を働かせて、機内の乗客乗員の命を預かるコックピットを、グラウンドからサポートする。 そこにこそ、地上のパイロットと呼ばれる、この仕事の本質がある。私はまだまだ成長が必要だ。
私の目の前に広がる道は、広く長くそして限りない。早く……早くみんなに追いつきたい。
突き進む決意を新たに、武者震いした時。「お疲れ」
休憩室に、氷室さんが入ってきた。
「っ……、お疲れ様です」
スッと姿勢のいい彼を目に留めて、私の背筋はいやがおうでもピンと伸びる。
スラックスのポケットに手を突っ込み、ドリップ式ドリンクの自動販売機に向き合う彼を、私はそっと窺った。氷室さんも、通常業務を終えてから、長距離線チームのサポートに入っていた。
指示通りに情報収集に当たるしかない私と違って、心強い戦力。いつも以上にスピーディーな対応を迫られ、緊張感漲る張り詰めた空気の中、ツーシフト通しでこなしたようなものなのに、彼の横顔に疲労感はない。
いつもと変わらず、涼し気だ。本当に、すごい、すごい人――。
私は、ちょっと悔しい気分で、手元に目を伏せ、きゅっと唇を噛んだ。「疲れた? 帰っていいよ」
しれっと声をかけられて、ハッとして顔を上げる。
『帰っていいよ』という言葉から、彼との『約束』が胸によぎった。「で、でも」
氷室さんは、抽出口からアイスコーヒーを取り出して一口飲んでから、「ん?」と聞き返してきた。「帰さない、って……」
無意識に身を乗り出した私に、訝し気に眉を動かす。
「ああ」
思い当たったのか、短く相槌を打った。
「日付が変わるまで、かかるかもって思ったけど。予想以上に早く収拾ついたから」
「……え?」
「台風十三号対応。もういいって言われなかった?」
紙コップの縁を人差し指と親指で摘まみ、どこか小気味よく首を傾げる。
「はい。でも……」
私は、反射的に声を挟んで……。
――そういうこと!? 一瞬にして、理解が繋がった。『明後日は、帰さない』
アレは、お誘いでもなんでもない。
最初から、沖縄に台風が直撃して、OCO総出で対応に追われることを見越していた。 私の手でも必要になる、それだけの意味だ。はっきり認識した途端、あまりの恥ずかしさに、私はカアッと頬を火照らせた。
――恥ずかしい。恥ずかしい。 そして、情けない……!!「っ……」
勢いよく顔を伏せ、カップを持つ両手に目を落とした。
さっきの武者震いとは違う羞恥の震えで、カップの中のコーヒーも揺れる。「…………」
氷室さんは自動販売機に軽く背を預け、無言でアイスコーヒーを飲んでいたけれど。
「もしかして、期待してた?」
素っ気なく問いかけられて、私の肩がビクッと動いた。
「……え?」
一拍分の間を置いて、恐る恐る顔を上げる。
チラリとこちらを見遣る視線に、心臓が大きく飛び跳ねた。「ち、ちが……違う。そんなこと、ありません!」
動揺のあまり何度も噛みながら、なんとか返事をする。
自分を落ち着かせようと、手にしたカップをグッと傾け……。「っ、熱っ」
慌てて、口から離した。
そんな私を、氷室さんは表情も変えずにジッと見ている。見透かされてる。
心の、奥の奥まで。なのに、核心を突いた問いかけをしてこないなんて、本当に意地悪。意地悪だ。
居た堪れない気分で、私はベンチシートから腰を上げた。半分残ったコーヒーを捨てて、口元に手の甲を当てると、
「お疲れ様でした。帰ります」
大きく面を伏せ、彼の前を通り過ぎようとした。
なのに。「っ!?」
手首を掴まれ、ギョッとして振り仰ぐ。
氷室さんは、私をまっすぐ見下ろしていた。 バチッと目が合った途端……。「期待してたんだろ? いいよ。ヤる?」
感情のわからない冷然とした瞳に私を映し、短く訊ねてくる。条件反射で、私の心臓が飛び上がった。
「な、なに……」
「『なんの期待?』って聞き返さずに、そんなことないって即答できるのは、俺が言ったことが正しいから。……だろ?」
氷室さんは、私の手を払うように放して、紙コップを口元まで摘まみ上げた。
レンズの向こうで長い睫毛を伏せ、アイスコーヒーを飲む。男らしい喉仏が上下する様を、私は呆然として見上げた。
とっさに返す言葉が見つからず、パクパクと口を動かす。私の視界のど真ん中で、氷室さんはアイスコーヒーを飲み干すと、クラッシュされた小さな氷を噛み砕き、口の中でボリボリと音を立てた。
返事を待って、こちらに向けられる流し目は、危険を感じるほど妖艶で、オフィスの片隅にある休憩室にはそぐわない。
私は慌てて、彼の視線という呪縛を解いた。「な……なんで私が、氷室さんとそんなこと、期待しなきゃならないんですか」
コーヒーで喉を潤したばかりなのに、すでにカラカラに渇いている。
声が張りつく不快感を堪えながら、なんとかそう言い返した。「さあ。違った?」
氷室さんは、空になった紙コップをダストボックスに捨てると、軽く腕組みをして私に向き合った。
「でもあんた、俺に望んでること、まだまだたくさんあるんじゃないの?」
ほんのわずかに眉尻を動かし、質問で返してくる。
思わずグッと詰まる私の反応を、どこか狡猾に細めた目で、一から十まで観察すると……。「っ!」
首筋に添って、喉元にかかった私の髪の毛先を、軽く曲げた人差し指の関節でくすぐった。
ともすれば、セクハラまがいな小さな仕草。 だけど、経緯はどうあれ一線を越えた私たちの間では、確かな『誘い』の合図になる。私たちの他に誰もいないのは見てわかるのに、彼は一度、休憩室の隅までサッと視線を走らせた。
そして、わざわざ腰を折って、背を屈め……。「一度につき一つ、聞いてやってもいい」
意地悪に、コソッと耳打ちしてくる。
ドクッと……私の心臓が、大きく沸き立った。 それを皮切りに、バクバクと猛烈に拍動する。『なにをバカなことを言ってるの』
そう言って、憤慨して見せなければ。
立派なディスパッチャーに育ててもらうという、本来当然の約束を勝ち得たのだから、これ以上彼に望むことなどなにもない。『お疲れ様でした。お先に失礼します』と言って、この間のことも今の危険なやり取りも、笑って流してしまわなければ。
今、自分がどうすべきかは決まってるのに、私の身体は金縛りにあったみたいに動かない。
横顔を睨めつけるような視線から逃れられず、背中に変な汗が伝うのを感じた。返事ができず、黙っていたのはどのくらいの間だったか。
視界の端で、氷室さんが面白くなさそうに顔を歪めて、サッと背を起こす様が映った。「そ。なら、話は終わり」
休憩室に、重く濃密な空気を漂わせておいて、しれっと私に背を向ける。
私一人をこの危うい空気の中に置き去りにして、多分もう、氷室さんはこれ以上、仕事以外で私に関わろうとはしない。――ズルい。
彼の言う通り『期待」して、ずっと静かに鼓動を高鳴らせていたことを、今認めなければ、『終わり』だなんて。 そんな交換条件を出されたら、認めるしかない。氷室さんは、私がずっと目標としてきた人で、彼への憧れは純粋なものだった。
だけど、私はこの三ヵ月、彼のそばで憧れを、想いを強めてきた。 今は、誤魔化しようがなく、恋心へと昇華している。 悔しいけど、それが紛れもない事実だ。私が、氷室さんに望むこと。 あるわよ。 たくさんあるに決まってる……!容赦なく煽られた恋心が、私の中で大きく爆ぜた。
弾かれたように振り返ると、氷室さんはドアに手をかけたところで……。「ま、って!!」
呼びかけるのと同時に床を蹴り、私は彼の背中に飛びついた。
ほんの一瞬、ピクッと反応する気配はあったものの、それ以外はほぼノーリアクションで、氷室さんは私を肩越しに見下ろしてくる。「ある。氷室さんに、望むこと」
私は、彼の背に額をぶつけて俯き、声を絞った。
でも、たくさんの彼への望みが、私の中で一気に押し寄せ、今どれをぶつけていいか混乱しそうになり――。「氷室君って呼びたい。同期らしく、普通に話したい……!」
とっさに浮かんだのは、そんな願いだった。
声が嗄れるかと思う声量で発したつもりだったけど、情けなく掠れて響かない。 でも、もちろん、氷室さんの耳には届いていて。「……交渉、成立」
焦れるくらい事務的に呟き、私の目の前でくるっと回れ右をした。
彼の胸元と真正面からお見合いした格好の私は、ほとんど反射的に顔を上げ……。「っ……」
すぐそこまで迫ってきていた彼に、怯む間もなく唇を奪われた。
OCOで初めて過ごした八月は、まるで駆け抜けるように過ぎていった。九月に入り、夏休みも終わって、旅行、航空業界のオンシーズンも一段楽。ピーク時に比べてフライト数も落ち着いて、穣は通常比かなりゆったり……私は相変わらずバタバタと仕事をしている。「八巻さん。小松60便のフライトプラン、フェイストークで受け渡して」「はい」「三十分後、機長とオンラインブリーフィングやるから、準備よろしく」「了解ですっ」気象データを集める間にも、矢継ぎ早に指示が入る。フライト数は減ったのに、私はハイシーズンと変わらない忙しさ……目が回りそうだ。――でも。フライトプランを機長に受け渡すために、社内アプリのフェイストークにフライトプランを移しながら、隣の彼の横顔を窺った。私がこんなにバタバタなのも、それに反して穣がゆったりなのも、私に仕事を任せてくれているからだ。八月最終週の胴体着陸事故前までは、仕事を振ってくれるだけで、『任せてもらえている』という実感には至らなかった。でも今は、左腕くらいには信頼してもらえていると、自負している。彼女だから、じゃない。むしろ穣は意識して、仕事中、努めて事務的に接しようとしている。おかげで、以前以上に塩対応に拍車がかかった……ようにも見えるけれど。私に、異議はない。だって穣は、一歩空港を出るとメガトン級に甘いから。――と言うか、エロい。今はモニターに注がれていて、私を映さない真剣な目も、持て余すようにペンを回す長い指も、燃料重量を自分に刻むみたいに唱える唇も。あと数時間して仕事が終わったら、今夜また私に、あんなこともこんなことも――。「……八巻さん。視線が熱い」「っ」溜め息交じりに言われて、私はハッと我に返った。穣が左手で頬杖をついて、右手の指でペンを回しながら、私を斜めからの角度で見ている。「フライト減って、少しくらい手が空いても、仕事中に妄想する余裕、あんたにはないだろ」「うっ。すみません」私は条件反射で、シャキッと背筋を伸ばした。煩悩を払おうと、両手でパンと頬を打って……。「……なんで、妄想ってバレた……?」思わず首を捻る横で、穣は顔を伏せ、笑いを噛み殺していた。「いや、わかるだろ。そんな食い気味の熱視線。炙られるかと思った」「!」目を細めて揶揄されて、私はカアッと頬を茹らせた。「ご、
JAK73便の乗客乗員四百十一名に怪我はなく、全員無事だった。胴体着陸なんて大事故が、目と鼻の先で起きたのに、夏休みシーズンで普段より混雑していた空港ターミナルでも、目立った混乱は見られなかったそうだ。タッチアンドゴーを繰り返さず、一発で着陸を成功させたおかげで、ターミナル内にいた旅客の多くが、そんな事態に陥っていたことに気付かなかったためだ。結果として、久遠さんの判断がすべてにおいて功を奏し、巡航中の機内だけでなく、空港全体の秩序を守った。英雄と崇められてもいい。とは言え、胴体着陸ともなると、航空事故に分類され、重大インシデントに認定される。着陸前から、社内で事故調査委員会が発足していた。明日には、国土交通省による、事故調査チームが調査に入る。それに先立って、社内での聴取が行われることになった。着陸を終えて間もない久遠さんと副操縦士を、社内の調査委員がターミナルで出迎えた。73便の機体整備を担当した航空整備士、胴体着陸を許可した管制官の立花さんとその上司、そして、担当ディスパッチャーの穣と運航支援者の私も招集された。委員も含めて十五人ほどでの聴取は、本社の役員会議室で行われた。私はこの時初めて、ディスパッチャーにも恐れられる、『鬼機長』の久遠さんと対面した。フライトプランの件で、穣と一触即発のやり取りをした記憶も新しい。四本ラインの制服姿が凛々しい、美しい鬼……いや、エリート機長は、ちょっと怖そうだけど、真面目で真摯な印象を受けた。ほんのちょっと……穣に通じるところがある。重苦しい空気の中行われた聴取では、離陸前の機体整備状況に問題はなく、事故の原因も、バードストライクによるエンジントラブルと結論付けられた。その後争点になったのは、穣も反対した、フライトマニュアルに反した一発での胴体着陸という、機長の判断だった。久遠さんは、カンパニーラジオ越しに穣にしたのと同じ説明を繰り返し、立花さんも『久遠機長の操縦技術は確かですから、その判断を信頼し、全面的に支持しました』と答えた。調査委員から意見を問われた穣は、燃料に十分な余裕があったことから、フライトマニュアルに沿って、タッチアンドゴーを試みるのが第一選択だったはず、と答えた。だけど……。「以上が、一ディスパッチャーとしての意見です。私個人的な意見を申し上げますと……今後、自分が
お昼過ぎに瞳からLINEをもらい、あの後の大まかなアウトラインは報告した。でも、散々迷惑をかけてしまったし、ちゃんと謝罪とお礼をしておかなければ……。『今度、時間合わせて会えないかな』それには、『OK!』と、指サインのスタンプが返ってきた。お互いシフト勤務の上、瞳は毎日東京に帰ってくるわけではない。彼女とは、それから一週間後の八月下旬に、空港の職員食堂で会う約束をした。公休明け、私は新任運航支援者フォローアップ研修のために、五日間本社勤務で、氷室君……穣と勤務は別々だった。間に公休を挟んで迎えた、瞳との約束当日。一週間ぶりにOCOに出勤すると、穣の方が公休で不在だった。結局、瞳との約束までに、彼と話すことはおろか、顔を見ることもできなかった――。LINEで伝えた以上のことは、なにも報告できない。お盆のハイシーズンが過ぎ、私たちの業務もだいぶ落ち着いていた。でも、世間はまだまだ夏休みで、業界的にはオンシーズン。お昼のピークを過ぎても、食堂に出入りする職員は多い。私はミートソーススパゲティをのせたトレーを持って、キョロキョロと辺りを見回しながら、奥まで進み……。「藍里、こっち!」大きな柱の影になるテーブルに、CAの制服をビシッとカッコよく着こなした瞳がいた。座ったまま身を捩って振り返り、手を上げて合図してくれる。彼女はフライト合間のブレイク中で、三十分だけ時間を取ってくれていた。「あ」私はやや急ぎ足で、彼女の方に急いだ。その向かいの席に、作業服姿の短髪の男性がいるのを見留めて、少し手前で足を止める。「お疲れ様、八巻さん」私に向けてくれる、素朴で屈託のない笑顔。同期の航空整備士、佐伯君。瞳の彼だ。「えっと……お疲れ様」私はテーブルの側まで歩いて行って、同じ労いを彼に返した。佐伯君も昼食休憩のようだけど、食事は終わっているようだ。彼の前のトレーには、綺麗に空になったプレートがのっている。「ごめんね。充とは、偶然会っちゃって」瞳が、私に向かって両手を合わせる。「ううん。ええと……私、今日は遠慮しようか?」佐伯君は私もよく知る同期だけど、せっかく恋人同士で休憩中なのに、割って入るのは気が引けた。若干腰を引かせて気遣うと、瞳が「なに言ってんの」と頬を膨らませる。「変な気遣わなくていいから、座って」
――ふわふわする。頭も、身体も。微かな振動を受け、ゆらゆら揺れる。「う、ん……」私は、夢と現の狭間で、呻いた。「……むろ、く」ぼんやりと口にした名前。それが、夢の中だったか、現実で口を突いて出た寝言かも判断できない。自分の身体の感覚も思考も、酷くぼんやりして、曖昧で心許ない。だけど、ただ一つ。胸に当たる硬い感触が、とても温かく心地よかったから、今自分がどんな状況にあったとしても、不安はなかった。「くん、の、バカ……」重い意識の中、なにも恐れることなく、心のままに唇が動く。「意地悪。鬼。冷酷非道。人でなし……」ポッと浮かび上がる罵詈雑言を、意味を考えることもせず、つらつらと口にする。「思わせぶりな、スケコマシ。遊び人。女の敵。……さいてー」最後はむにゃむにゃと言って、口を噤み……。……そんな男でも、私は――。「……好き……」――だから、私も。あの人みたいに、『穣」って呼びた……。……――。「寝言のわりに、随分とこき下ろしてくれるな。今度はどんな夢見てるんだ?」突然、刺々しい低い声に、ふわふわした意識を切り裂かれた。鼻をギュッと摘ままれる感触。――息苦しい。一拍分の間の後、鼻呼吸ができないのを自覚して、「ん、むっ!?」私は、ぷはっと口を開けた。浜辺に打ち上げられた魚みたいに、口をパクパクさせて酸素を取り込む。目蓋の裏が白く明るいのに気付き、バチッと目を開けた。途端に降り注ぐ、黄金色の明かり。私は「うっ」と呻いて、目を眩ませた。何度か瞬きをして明かりに慣れると、真上から降ってくる影にも意識が向いた。うっすら白い膜がかかった視界で、必死に焦点を合わせ――。「……。……氷室、君っ!?」不機嫌そうに眉を寄せる、作り物みたいに整った顔を認識して、私は弾かれたように飛び起きた。途端に襲ってくる頭痛と眩暈に、「う」と額に手を当てる。「やっと気がついたか」溜め息が聞こえる方向に、ぐるんと顔を向けた。氷室君はノーネクタイで、白いシャツの第二ボタンまで開き、シャープな鎖骨ラインをチラチラさせている。眼鏡をかけていなかったから、頬骨あたりの泣き黒子が目に入り、条件反射でドキッとして……。「えっ!? こ、ここここ、ここどこ!?」私は、ひっくり返った声をあげ、忙しなく辺りを見回した。私の部屋ではない。ホテ
休憩を終えてデスクに戻ると、午後十時の終業時間までノンストップで仕事だ。このハイシーズンは、とにかくフライト数が多い。午後七時になっても、フライトスケジュールはびっしり。滑走路からは、他社便も含めて、ほぼ分刻みで離陸していく。「八巻さん。午後九時台の関空、伊丹全便、ロードプラン急がせて」カンパニーラジオのインカムを装着した氷室君が、マイクをオフにしながら私に指図した。「すぐ、コントローラーに連絡します」「それから、さっき離陸した広島12便。ランディングで強風の影響受けるかもしれない。気象データ確認して」私が最初の命令を実行しようと、電話の受話器を持ち上げる間にも、間髪入れずに次の指示が入る。「はい。広島、広島……」短縮番号をプッシュして、左の肩と耳で受話器を挟み、右手でマウスを動かす。耳に、『はい、ステーションコントロール部です』と、受話器越しの応答が届いた。「お疲れ様です。運航管理部、八巻です。すみません、午後九時台の広島全便のロードプラン、急いで……」パソコンモニターに展開した、広島の天気図に目を凝らしながら、ほとんど無意識に口を動かすと。「違う。関空、伊丹」隣からビシッと声を挟まれ、マウスを動かす私の手は、条件反射で止まった。「……え?」受話器を右手で支えて、隣のデスクに顔を向ける。「広島は気象データ。ロードプランは大阪」氷室君はこちらをちらりとも見ず、フライトプランを作成しながら、やや棘のこもった声で、一語ずつ区切って繰り返した。私は、言われたことを頭の中で噛み砕いてから、ハッと我に返る。「す、すみませんっ! 急いでほしいのは、九時台の大阪……関空、伊丹便です」冷や汗を掻きながら、電話の向こうのロードコントローラーに訂正した。一年のうちで、一二を争うハイシーズン――。OCOで初めて迎えるお盆シーズンは、目が回るほどの忙しさ……もとい、私は本当に目を回していた。氷室君のフォローで、なんとか無事、関空、伊丹便のロードプランを急かして電話を切ると、半分デスクに突っ伏しながら「ふーっ」と息を吐いた。「氷室君。ロードプラン、あと十分って……」報告しながら、顔だけ彼の方に向ける。だけど、返事はなく。「こちら東京OCO。JAK60便コックピット、応答願います」氷室君は表情一つ変えずに、巡航中のコックピットと交信
泣いた。辺りを気にすることなく、まるで子供の頃のように、わんわん声をあげて。顔を突っ伏した枕がグショグショになるほど、涙を流して。喉が嗄れて、泣き声も出なくなるほど。涙が枯渇して、全身の水分が失われ、干上がるかと思うほど。思いっきり泣いて、力尽きて泣きやんだ。ゴロンと寝返りを打って、ベッドに仰向けになる。天井を仰ぎ、お腹の底からはーっと息を吐いた。最後の嗚咽の余韻のように、ひくっと喉が鳴る。もう、しゃくり上げる力も残っていなかった。目の上に両腕を翳し、閉じた目蓋に力を込める。「言うな、ってなんなの。真剣なのに、言わせてもくれないなんて、酷い男……」実際に声になっていたか、それともそういう形に唇が動いただけかはわからない。だけど、意識してはっきりと彼を詰れたおかげで、少しだけ気分が晴れる。そうよ。あんな酷い男、仕事以外で尊敬する部分なんて、なに一つない。いくらずっと憧れていたディスパッチャーだからって、一度寝ただけで変な情が湧いて好きになるなんて、いい年してどうかしてた。いや、それだって錯覚だったかも。氷室君と、二度目の夜。あの時の私は、身体は疲れてるのに、頭は冴えて気持ちが高揚していた。心と身体、脳みそがバランスを欠いて、明らかに尋常じゃなかった。私は、彼の意味深な言い回しを、誘われたと勘違いして期待した……なんて方向に、意地悪に誘導されただけだ。いっそ、心を巧妙に操作された、と言い切ってもいい。今日だって、頭の中で脳神経が一本切れたような、興奮状態だった。氷室君は、恋愛に本気になるのは嫌だと言った。私は適当な遊び相手でしかなかっただろうし、『好き』なんて口走らなくてよかった。――止めてもらえて、よかった。「っ……」冷静になって導き出した結論は、絶対正しいと思うのに、彼を詰る私の心は張り裂けそうだった。彼を悪者にして、自分を肯定しようとすればするほど胸が痛み、なんの慰めにもならない。だって今なら、私もよくわかる。私が運航管理部に異動したのは、すでに立花さんが、氷室君に復縁を求めていた頃だろう。自分の都合で氷室君を振っておいて、今もまた、自己中心的に彼を欲しがって。氷室君は、気持ちでは強く突っ撥ねていても、あまりに彼女を理解し難いせいで、思考回路を占領される。そんな自分は、彼女に囚われているかのようで







