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第 608 話

Author: 江上開花
その涙を拭い去ると、将臣は顎を掴んでいた手の力を少し緩め、愛おしそうに亜夕美の頬を撫で始めた。口調も先ほどとは打って変わり、不気味なほど優しくなった。「筋肉弛緩剤を打ったから、大人しくしてて。島に着いたら、三人家族で幸せに暮らそう」

「過去に何があろうと、すべて水に流す。それでいいだろう?お前は昔のように俺を愛してくれればいい。俺も何倍にもして償うから」

そう言って唇を重ねようとした将臣の口の端に、亜夕美は全力で噛みついた。

亜夕美の喉の奥から低い獣のような怒声が響いた。「失せろ!!」

その瞳の底には激しく燃え盛る怒りの業火が渦巻き、鋭い視線となって将臣を射抜いた。

将臣はよろめきながら数歩後
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