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第33話

Author: みそ煮
last update publish date: 2026-03-10 09:02:07

「……」

香織が忠嗣に連れられて家を出て行ったあと、亮太はしばらく放心状態になっていた。彼は香織を愛してはいなかったが、彼女との離婚までは考えていなかった。

九条家との繋がりを持つのは彼にとってもメリットが大きかったからだ。しかも、すでに亮太のDVが週刊誌に取り上げられてしまったあとだった。

このタイミングでの離婚となれば、原因は間違いなく彼にあると周囲はそう思うだろう。この先のことを考えて、気が重くなった。

気落ちした様子の彼に、日菜乃が声をかけた。

「社長、そんなに落ち込まないでください。私だけはずっと社長の傍にいますから」

「日菜乃……」

「世界中の人間が社長を嫌おうとも、私だけは社長の味方ですから!」

日菜乃は笑顔で彼を抱きしめた。

「……」

彼女の腕の中で、彼は微笑んだ。いつだって彼の味方となってくれるのは彼女だけだった。やはり自分には彼女が必要だ。亮太は強くそう思った。

「このような形で奥様と離婚してしまったことは私も残念に思います……」

「……すでに全て過ぎたことだ。過去を悔いたところでどうにもならない」

亮太は落ち込んだ様子の日菜乃を宥めるようにポンポンと背中を叩いた
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