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第32話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-03-09 12:21:23

美由紀を連れて九条家へと戻った香織は、久々に帰ってきた我が家に感嘆の声を漏らした。

「わぁ、懐かしいわね!」

「羽川邸くらい大きいです……さすがは九条家……」

幼い頃から過ごしてきたこの邸宅にようやく帰ってくることができた。もう亮太と日菜乃のことで辛い思いをしなくていいのだと思うと、香織は涙が出そうになった。

(離婚が成立するまで泣いてはダメよ……)

しかし、父親を味方に付けれたのは大きい。父・忠嗣は香織よりもずっと頭の切れる人だったからだ。そんな彼が離婚を後押ししてくれるのなら、いくら亮太とはいえ拒否することはできないはずだ。

中へ入ると、ある人物が香織を出迎えた。

「香織さん、帰っていたんですね。おかえりなさい」

「……………有真さん」

九条有真(くじょうゆま)。香織の父・忠嗣の再婚相手だ。

香織は前世含めて彼女とはあまり話したことが無かった。彼女は父よりも一回り以上年下で、香織とのほうが年が近かった。

二人が再婚したのは香織が十五歳の頃で、それから亮太と結婚するまでほとんど関わりを持とうとしなかった。

『お父さんは騙されているのよ!あの女はお父さんの財産が目当てなんだわ!』

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