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第5話

مؤلف: みそ煮
last update تاريخ النشر: 2026-02-10 16:31:27

「香織!久しぶりね!私の愛する娘!」

「お母さん、人前でこのようなことをするのはやめてください」

「あら、どうして?感動的な親子の再会なんだから、少しくらいいいじゃない」

「ここは人目が多すぎます。通りすがりの人たちがお母さんを見ていますよ」

「あら、注目を集めていたみたい。何だか恥ずかしいわね」

芹沢からパーティーの招待を受けた翌日、香織は久しぶりに母親である九条美佐子(くじょうみさこ)に会っていた。

香織は母親とは絶縁状態だった。血は繋がっているものの、母親らしいことをされたことはこれまでに一度もなかった。

美佐子は昔から男遊びが激しい人で、父と結婚したあとも多くの男と浮名を流していた。

香織が十歳の頃に父に不倫がバレ、二人は離婚。美佐子はその後不倫相手と再婚したが、数年後には離婚した。

離婚した今でも九条姓を名乗っているのは、父に――いや、九条グループの社長夫人という座に未練があるからだろう。

娘である香織から見ても、母親はどうしようもない人間だった。

今回だって本当は顔を見たくもなかったが、誘いを断り続けると羽川家にまで押しかけてくるのだからしかたがなかった。

「お父様は元気にしているのかしら?」

「さぁ、結婚してからは会ってないからわからないわ」

香織は冷たく答えた。

美佐子は香織を自らの手で育てていないくせに、彼女が羽川家の御曹司と結婚した途端手のひらを返すようにすり寄ってきたのだ。

「お母さん、お父さんにまだ未練があるんですか?お父さんだってもうとっくに再婚していますよ」

「知っているわ。二十歳も年下の女と再婚したという話は有名だものね。きっとあの人の遺産が目当てに違いないわ」

父の財産が目当てというのなら、美佐子も同じだろう。

自分を棚に上げ、他人を批判する母にはうんざりだ。

「ところで、亮太くんとの結婚生活はうまくいっているのかしら?」

「……それをお母さんが知る必要がありますか」

「あら、母親が娘の心配をするのは当然のことでしょう?」

普通の母親なら当然のことだといえるものの、美佐子は違う。

彼女は誰から見ても普通の母親ではなかった。

「……亮太は他に愛する人がいるみたいです」

「あら、亮太くんったら。遊んでいるのね。私にもそういう時期があったわ、懐かしい」

「私、亮太と離婚しようと思っているんです」

「……何ですって?」

離婚の話を出した途端、美佐子の顔が険しくなった。

「不倫くらいで離婚するだなんて、正気とは思えないわ」

美佐子は冷たい目で香織を見下ろした。

「相手は羽川グループのトップよ?そりゃあ美しい女の一人や二人寄ってくるでしょうよ。夫の不倫くらい目を瞑りなさい」

「亮太は不倫相手との間に子供まで作っているんですよ、離婚以外はありえません」

香織がきっぱり言うと、美佐子は面白そうに笑った。

――「あら、いいじゃない。面倒な子供なんか産まなくても。子育ては愛人の方に任せて、あなたは夫の財産で遊んでいればそれで幸せでしょう?」

「なッ……!」

結婚して子供を産み、母親になった人とは思えない言葉だった。

香織は前世で亮太と結婚する前、彼と心から愛し合い、子を産むことに強い憧れを抱いていた。亮太が日菜乃との間に子を作っていたことを知ったとき、どれだけ悲しかったか。

気付けば、香織は母親に声を荒らげていた。

「お母さんは私のことを何もわかっていない!あなたは子供なんて産むべき人じゃなかった!」

「な、母親に向かって何て口の利き方をするのよ!」

母親から背を向けて立ち去ろうとする香織に、彼女が後ろから叫んだ。

「あなたは本当に父親にそっくりだわ!あの人もそうだった!不倫ごときで離婚だのなんだの騒いで!」

香織は振り向かなかった。

「私はただあの男のお金で遊んでいられればそれでよかったのよ!子供なんて産みたくもなかった!可愛げのない娘なんか、産まなければよかった!」

「……」

彼女は目から涙がこぼれそうになるのを押さえながら、自身の母親の元から立ち去って行った。

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