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第1046話

かおる
男は眉をわずかに上げた。

「ずいぶん、出来すぎた偶然だな」

だが優芽利は、なおも信じようとしなかった。

「そんなの、あなたが仕組んだんでしょ!」

男は彼女が納得しないのを見ると、秘書に合図を送った。

「信じなくてもいい。

あとで、俺とあの男の会話を、そのまま彼女に見せてやれ」

「承知しました」

そう言い残し、男は優芽利を置いて階下へと降りていった。

男の秘書は指示通り、配信を開始した。

しばらくして、優芽利の目の前に映し出された画面には、確かに怜央が最も信頼している側近の姿があった。

優芽利の心は、少しずつ冷えていく。

――怜央は来なかった。

明日香を助けに行ったのだ。

スマホから、仮面の男の歪んだ声が響く。

「聞くところによると、拉致されたのは司馬さんが先だそうだな。

実の妹を助けに来ず、司馬怜央は雲井明日香を優先した、というわけか?」

優芽利は、思わず拳を強く握りしめた。

怜央の秘書が言う。

「要求があるなら言え」

男は淡々と答えた。

「要求は一つだ。

司馬怜央に会うこと。

こうしよう。

君から司馬怜央に電話しろ。

今日中に来なけれ
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