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第19話

Auteur: 氷花
もうこれ以上は無理だった。

はっきりさせなければいけない。瑠璃を自分の元へ連れ戻すか、さもなくば……二人とも終わらせてやる。

そのチャンスは、ある週末の夕暮れに訪れた。

雅之が急な仕事で隣町へ飛んだため、瑠璃は一人で潮咲市の郊外へ向かった。そこには夕日が美しいことで知られる、岩場が広がっているのだ。

蓮が車を飛ばして現場に駆けつけると、夕日が海面を悲しいほど赤く染め上げていた。

彼は遠くから、平らな岩の上でスケッチをする瑠璃の姿を見つけた。風に髪が揺れ、その横顔はまるでおとぎ話のように美しく、自然の中に溶け込んでいるかのようだった。

その光景は胸が張り裂けるほど美しく、それゆえ、蓮の狂気を強めてしまった。

足音を殺し、まるで幽霊のように忍び寄る。

背後の気配に気づいた瑠璃が、筆を止めて振り返った。

蓮だとわかると、彼女は一瞬だけ警戒と嫌悪の色を浮かべた。しかし、すぐに深海のように穏やかな無表情へ戻り、少し距離を取って冷ややかに言った。「九条さん、何か用ですか?」

「九条さん」その呼び方が、彼の心に棘のように突き刺さったが、それでも、蓮は一歩ずつ瑠璃に歩み寄った。苦悩
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