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第十話 王者の褒賞と昏き命

Autor: 影山御影
last update Fecha de publicación: 2026-07-22 17:07:56
――太子殿下、襲撃。

 その衝撃的な噂は、夜が明ける頃にはすでに王宮内を文字通り震撼させていた。当然、朱璃(しゅり)の住まう延明宮(えんめいきゅう)も例外ではない。

​「朱璃様! 昨日、本当は何があったのですか!? 狩りが途中で中止になるなんて前代未聞です。」

「そうですよ朱璃様! 巷では太子殿下が暗殺されかけたなんて恐ろしい噂まで飛び交っていて……!」

​ 翌朝、自室で身支度を整えていた朱璃は、春蘭(シュンラン)と小鈴(シャオリン)の二人から、文字通り詰め寄られていた。いつになく必死な形相の二人に、朱璃は困ったように微笑みながらも、兜の奥の「高 漣(ガオ・レン)」としての顔を崩さないよう、努めて冷静に言葉を返した。

​「大丈夫よ、二人とも。色々あったけれど、太子殿下はかすり傷一つ負わずにご無事だから。私はただ、近衛として当然の務めを果たしただけ。」

「当然の務めって……朱璃様、また何か無茶をしたんじゃないですよね?」

​ 少鈴が心配そうに疑わしげな目を向けるが、朱璃は

「さあ、どうかしら。」

と、はぐらかすようにお茶を濁した。表向きはまだ、一介の見習い近衛がたまたま
影山御影

ここまでお読みいただきありがとうございます! 太子や瑛凱殿下のキャラも好きですが個人的には雲雀が好きですが皆さんはどのキャラがお好きですか? 今後も応援して頂けると嬉しいです!

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    ――太子殿下、襲撃。  その衝撃的な噂は、夜が明ける頃にはすでに王宮内を文字通り震撼させていた。当然、朱璃(しゅり)の住まう延明宮(えんめいきゅう)も例外ではない。 ​「朱璃様! 昨日、本当は何があったのですか!? 狩りが途中で中止になるなんて前代未聞です。」 「そうですよ朱璃様! 巷では太子殿下が暗殺されかけたなんて恐ろしい噂まで飛び交っていて……!」 ​ 翌朝、自室で身支度を整えていた朱璃は、春蘭(シュンラン)と小鈴(シャオリン)の二人から、文字通り詰め寄られていた。いつになく必死な形相の二人に、朱璃は困ったように微笑みながらも、兜の奥の「高 漣(ガオ・レン)」としての顔を崩さないよう、努めて冷静に言葉を返した。 ​「大丈夫よ、二人とも。色々あったけれど、太子殿下はかすり傷一つ負わずにご無事だから。私はただ、近衛として当然の務めを果たしただけ。」 「当然の務めって……朱璃様、また何か無茶をしたんじゃないですよね?」 ​ 少鈴が心配そうに疑わしげな目を向けるが、朱璃は 「さあ、どうかしら。」 と、はぐらかすようにお茶を濁した。表向きはまだ、一介の見習い近衛がたまたまその場に居合わせたことになっている。しかし、その「たまたま」がどれほどの神業であったかを知る者たちの間では、すでに別の嵐が巻き起こっていた。 ​    * ​ 同時刻、太子・劉 瑛良(エイラ)の住まう『清耀宮(せいようきゅう)』の一室。  次期皇帝の宮にふさわしい清廉で美しい佇まいとは裏腹に、そこには昨晩の襲撃についての事後処理に追われる、緊迫した空気が漂っていた。白鑾衛(はくらんえい)の趙 延峰(チャオ・エンフォン)隊長を伴った太子・瑛良の元へ、のっそりと、しかし強烈な覇気を纏った男が乗り込んできた。 ​ 第二皇子・劉 瑛凱(エイガイ)である。その背後には、いつもと変わらぬ涼しい顔をした梁 雲雀(ユンケ)が影のように従っていた。 ​「なんだアニキ、無事で何よりだ。――で、どうだった? 俺が直々に送り込んだ『お気に入り』は。ちゃんと役に立っただろ?」 ​ 瑛凱は部屋の椅子にどかりと腰掛け、兄の無傷な姿を見て不敵に笑った。  その言葉に、太子・瑛良は驚いたように目を丸くし、それから全てが合点がいったように苦笑を漏らした。 ​「……なるほど、そういうことか。趙隊長が『驍駿宮

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  • 後宮の鳥籠、朱き翼を隠して   第六話 仮面の下の覇気

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  • 後宮の鳥籠、朱き翼を隠して   第一話 姫の帳、自由の楔

    夕暮れの庭に、乾いた音が響いた。 木剣と木剣がぶつかり合い、火花の代わりに鋭い衝撃が空気を震わせる。「甘い」 低い声と共に、主人公の握る木剣が弾かれた。 手のひらが痺れる。 だが主人公――朱璃(しゅり)は、すぐに体勢を立て直した。乱れた呼吸を整えながら、再び父へ踏み込む。 夕日に照らされた長い黒髪が背中で揺れた。 本当なら、切ってしまいたい。 もっと短く。  弟のように。 そんな考えを振り払うように、朱璃は木剣を振るう。 しかし父の一撃は重い。 受け止めた瞬間、腕が軋み、木剣が地へ落ちた。 乾いた音が庭へ響く。「……参りました」 膝をつきながらそう言うと、父は

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