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激変した日常

last update Veröffentlichungsdatum: 10.08.2026 10:54:05

デートの時間が終わってしまう。たった数時間、塁と一緒に過ごしただけなのに、俺は名残惜しさを感じていた。塁とのデートは、緊張した。途中、俺の正体がバレそうになり焦りもした。だけど、楽しかった。俺は寂しさを顔に出さないように、気丈に振る舞った。

「智也さん、後でこれを読んでおいてください。振込先が書いてあるので」

「分かりました」

俺は塁の言葉で、一気に現実に引き戻された。だが、俺にはその事が有難かった。なぜなら、俺と塁は所詮、お金で繋がった関係にすぎないから。塁に決して本気になってはいけない。俺は塁にとってその他大勢の客の一人だ。それ以上でも以下でもない。

「智也さん、いつでも呼んでください」

「はい。今日はありがとうございました。お陰で、楽しい誕生日が過ごせました。プレゼントも大切にします」

「俺も楽しかったです。ありがとう。では、また」

塁はそう言うと、一度も振り返ることなく夜の街へ消えていった。俺は塁の後ろ姿を、見えなくなるまで眺めていた。

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塁とのデートを終えてから数日後、俺の日常は激変した。塁の帰り際の言葉は、営業トークだと分かって
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  • 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話   塁の闇

    俺と塁は駅のベンチに並んで座った。塁を引き止めたものの、俺に何かできる訳ではない。自分の無力さを痛感した。「次のお客さんまでどれくらいですか?」「あと一時間」この言葉を発した塁の表情は、見ていられないくらい苦しそうだった。塁を苦しめているものを取り除きたい。だが、それが何かも俺には分からなかった。「そんなに苦しそうな顔をしている塁さんを帰したくない」「俺、どんな顔してる?」「すごく辛そうで、壊れそうに見えます」「んはっ、智也さん。俺、こう見えて結構強いんですよ。そんなにヤワじゃない」塁は笑ったけれど、その笑顔すら痛々しかった。俺はそんな塁をどうしても見ていられなかった。「塁さん、俺の前では無理して笑わないで」俺は座っている塁を優しく抱き締めた。すると、驚いた様子で塁が顔を上げた。「ごめんなさい。契約違反ですよね」「ううん、違う」塁は答えた。俺は塁の頬にそっと触れた。これ以上はだめだ。本当に後戻り出来なくなる。そう思うのに、塁を目の前にすると俺の想いは止まらなかった。俺は塁の唇に触れるか、触れないかの所まで近づいた。「これは契約違反?」「ううん」塁の吐息を至近距離で感じた。あと少しの距離が俺たちを阻む。だが、この距離が俺を現実に引き戻してくれる。「俺からしたらセーフ」「え……?」すると、塁は俺の頬にそっと触れた。塁が俺だけを見つめていた。次の瞬間、塁は俺の唇にそっとキスをした。「俺、今からお客さんを抱きに行くんだ」俺は、塁にかける言葉が見つからなかった。何を言っても違う気がして、俺は何も言えなかった。「俺は智也さんにキスできるような人間じゃないのに……智也さんは俺と関わるべきじゃない。今日のデート楽しかったです。ありがとう。延長料金は頂かないので、俺たちこれで終わりにしましょう」「俺は……」何か言わなければ、塁が行ってしまう。もう二度と塁に会えないかもしれない。俺はもっと塁を知りたい。これで終わりなんてそんなの嫌だ。俺は拳を握り、俺に背を向けて歩いている塁に向かって叫んだ。「待って!塁さん!」俺は塁の元へ走った。そして、塁を後ろから抱き締めた。「どこにも行かせません」「智也さん、もう時間なんだ」「塁さんを行かせたくないんです。俺が塁さんの時間を全部買えたら良かったのに」今の俺にはその力がない事が悔しかった。

  • 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話   客失格

    花火が終わった。それを見計らうかのように、煌びやかだったイルミネーションも消えていった。遊園地にいた人たちの波に紛れながら、俺と塁も駅へと向かった。俺は人混みをかき分け、塁の服の袖を掴んだ。すると、塁は俺に手を差し出した。「はぐれないように」「ありがとう」塁の手に触れた俺は、嬉しさよりも寂しさが募った。あと少しで塁との契約時間が終了する。塁と過ごす夢のような時間が終わってしまう。俺は無意識に塁の手を握る力を強めていた。「智也さん、今日はすごく楽しかった。まだ一緒に居たいくらい」「え……?」「あ、ごめん。気にしないで。駅まで送るね」俺は塁の言葉に驚きを隠せなかった。塁も俺と同じ気持ちなのだろうか?それとも、それすらも営業トークなのだろうか?俺には塁の真意が分からなかった。駅まで俺と塁は、無言で歩いた。話したいことは沢山あるのに、上手く言葉が出てこない。塁に繋がれた手が切なかった。「塁さん、送ってくれてありがとう」今の時刻は、21時55分。つまり、あと5分で俺は夢から醒める。「どういたしまして。楽しかったよ」「俺も楽しかったです」「それから今日の智也さん、格好良かった。見惚れるくらい」塁に褒められた俺は、恥ずかしさのあまり彼から目線を逸らした。「ねぇ?智也さん」「ん?」「ううん、なんでもない。また会えることを楽しみにしてるよ」塁の笑顔が痛々しかった。だけど、俺に出来ることは何もない。あくまで俺は、塁の客に過ぎない。これ以上、踏み込むことが出来ないこの距離がもどかしかった。その時、ちょうど電車が来た。次はいつ塁に会えるだろう。アルバイトに励んだとしても、最低一ヶ月は会えない。次の約束が出来ない自分が情けなかった。「また連絡します。おやすみなさい」「智也さんも元気で。おやすみ」本当にこのままでいいのか?きっと、塁は何かを抱えてる。それに気づきながらも塁を放っておいていいのか?俺は自問自答した。そして、決めた。「延長で。塁さんを一人にできません」「ちょっと、智也さん!」俺は塁の腕を掴んだ。俺の行動に、塁は心底、驚いた表情を浮かべた。俺も衝動的に何をしてるんだか。今すぐ、塁の腕を離さなければ、後戻り出来なくなるというのに。人は時に、頭と心が別物のように思える。頭では塁に近づくなと叫ぶのに、俺の心が言うことを聞かない。「ごめん

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    塁との2回目のデートの日。俺は、先日、購入した服に袖を通した。今回は髪型も整えた。俺は、着飾った自分を鏡で見た。今の俺ならば、塁の隣を歩いてもいいだろうか?今日のタイムリミットは3時間。塁に楽しんでもらうために、俺は何度もデートプランを練り直した。そうこうしているうちに、出発時刻になった。俺は急いでバス停まで向かった。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄俺は、塁との待ち合わせ場所に30分も早く着いてしまった。塁を待つ間、何もすることがない俺の緊張は増していくばかりだ。「智也さん!待たせてごめん」「ううん、俺が早く着いただけだから」「俺も智也さんに会いたくて早く来たんだけどな」塁の言い方はずるい。レンタル彼氏としての発言だと分かっているが、嬉しいと思ってしまった。こうやって、客は塁に堕ちるのだろう。だからこそ俺は、塁の完璧な客になるのだ。「智也さん。ところで、今日はどこ行くの?」「二人で行きたいところがあって。着いてきてくれますか?」俺は前を向いて目的地まで歩き出した。すると、俺の手を塁がさり気なく握った。俺は塁の横顔を覗きみた。「今日はデートだからね」「うん/」塁は俺に微笑みかけた。この笑顔を見て、堕ちない人はいるのだろうか。気を抜くと、すぐにでも塁の沼に引きづり込まれてしまいそうだ。「塁さん、着きました」「ここって……」「行こ!塁さん」俺は塁の手を握り、入場ゲートをくぐった。「遊園地なんて何年ぶりだろ?」「俺も久しぶり。しかも、夜の遊園地もいいでょ?」「うん。すごくいい。智也さん、連れてきてくれてありがとう」「どういたしまして。今からちょうど2時間で閉園だから、それまで思いっきり楽しみましょう」「そうだね」それから、俺たちは時間の許す限り、アトラクションを楽しんだ。ピーク時を過ぎた時間帯だったため、ほぼ並ばずに乗り物に乗ることができた。「それにしても、塁さん、絶叫強すぎ」「そうかな?あれ、もう一回乗りたい!行くよ!」「ちょっと、塁さん待って」俺はヘトヘトになりながら、塁のあとを着いていった。俺の方を振り返る塁の表情は、少年のようにあどけなかった。俺は腕時計を見た。今の時刻は、20時45分。今日の魔法はあと15分で解ける。「塁さん、今日は付き合ってくれてありがとう」「こちらこそ、ありがとう。とっても楽

  • 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話   ルール

    今日も俺は大学の講義の後、深夜までアルバイトに励んだ。自宅に帰宅する頃には、時刻は深夜3時を過ぎていた。さすがに、連日の寝不足で疲労感が半端ない。俺は帰宅早々、ベッドに倒れ込んだ。だが、今日は待ちに待った給料日だ。やっと、塁とのデートを予約出来る。俺は眠気眼を擦りながら、レンタル彼氏のサイトを開いた。レンタル彼氏を利用する際のルールを俺なりに決めた。相手は、塁だけ。 時間は毎回3時間以内。それ以上長く塁と一緒に居ると、俺の中で疑似恋愛が成立しなくなる恐れがある。塁は決して本気になってはいけない相手だ。俺は塁に会うために完璧な客になるのだ。検索すると、今週の日曜日の19時から塁の予約が空いていた。そこで俺は、19時~22時に予約を入れた。指名料が1000円で、それにプラスして3時間のデート料金が15000円かかる。更に、塁とのデートの基本料金は16000円。それに加えて、デート費用と交通費が追加される。どんなにアルバイトを頑張ったとしても、大学生の俺では、月1回が限度だ。本当はもっと塁に会いたい。でも、それくらいがいいのかもしれない。塁は決して、俺には手の届かない人なのだから。デートの予約を終えた俺は、眠気が限界を超えていた。明日の講義は3限目からだ。いつもより、少しだけゆっくり眠れる。自由を望んだのは俺だけれど、無性に一人が寂しい夜もある。そんな夜は、塁に会いたくなる。だけど、会う為にはお金が要る。俺と塁は友達ではない。せめて、夢の中では塁と友達になりたい。夢でもいいから塁に会いたい。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ピピピピピピ……俺のスマートフォンのアラームが午前9時を告げた。俺は眠気眼を擦りながら、ゆっくりと起き上がった。トゥルルルルルル……すると、寝起きの頭には歓迎しない着信が俺のスマートフォンを鳴らした。画面には〝父〟と表示されていた。俺は意を決して、通話ボタンを押した。「もしもし」「どういうつもりだ?お前の誕生日の祝いにも顔を出さず、男と遊んでいるとは何事だ」父の言葉に俺は動揺した。父が塁のことを知っている?何故だ?俺が話さなければ、父が知る術は無いはずなのに。 「やはり、お前を一人にするべきで

  • 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話   激変した日常

    デートの時間が終わってしまう。たった数時間、塁と一緒に過ごしただけなのに、俺は名残惜しさを感じていた。塁とのデートは、緊張した。途中、俺の正体がバレそうになり焦りもした。だけど、楽しかった。俺は寂しさを顔に出さないように、気丈に振る舞った。「智也さん、後でこれを読んでおいてください。振込先が書いてあるので」「分かりました」俺は塁の言葉で、一気に現実に引き戻された。だが、俺にはその事が有難かった。なぜなら、俺と塁は所詮、お金で繋がった関係にすぎないから。塁に決して本気になってはいけない。俺は塁にとってその他大勢の客の一人だ。それ以上でも以下でもない。「智也さん、いつでも呼んでください」「はい。今日はありがとうございました。お陰で、楽しい誕生日が過ごせました。プレゼントも大切にします」「俺も楽しかったです。ありがとう。では、また」塁はそう言うと、一度も振り返ることなく夜の街へ消えていった。俺は塁の後ろ姿を、見えなくなるまで眺めていた。______________________塁とのデートを終えてから数日後、俺の日常は激変した。塁の帰り際の言葉は、営業トークだと分かっているが、俺は塁に見合う男になりたいと思うようになっていた。元々、俺はオシャレに疎いわけではない。だが、オシャレには金がかかる。だからつい後回しになってしまっていた。そこで俺は、かつてない程、アルバイトのシフトを増やし、真面目に働いた。俺はアルバイト代を握りしめ、ネットで検索した人気の美容院へ行った。若者が多く、賑わう店内は俺にとって落ち着かない空間だった。実家にいた頃、俺には専属の美容師が居た。美容院嫌いの俺は、自宅に美容師を呼んで、髪をカットしてもらっていた。「初めまして。今日はよろしくお願いします」「よろしくお願いします」俺を担当してくれる美容師は、人あたりの良さそうな女性だった。「どのような髪型が希望ですか?」「あの……前髪を切って欲しくて。あとはお任せします」「承知しました」塁が俺の目が綺麗だと言ってくれた。そんな理由で髪を切ろうと思う俺もどうかしてるが。塁の言葉は、俺を動かす原動力となっていた。「どうでしょうか?」「うん、いい感じ」前髪を切ったことで、視界が良好になった。全体的に髪が短くなったので、見た目もサッパリした。俺は新しい髪型に満足した。 ̄ ̄

  • 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話   誕生日ケーキ

    「智也さん、着いたよ」「ここは……」塁が連れてきたホテルは、湊コーポレーションが所有するホテルだった。つまり、このホテルのオーナーは俺の父親だ。「もしかして、予約してくれたお店って……」「そう。ここの一階にあるレストランだよ。智也さん、今日、誕生日でしょ。だから、特別な場所でお祝いしたくて」「ありがとう、凄く嬉しい」塁の心遣いが嬉しいのは本当だ。しかし、レストランの支配人は、俺の顔を知っている。父親に連れられ、俺は何度もここのレストランを訪れていた。「智也さん、行こう」「うん」よく考えたら、今日、支配人がレストランに居るとは限らない。目立たない客になれば、気づかれることもないだろう。俺は覚悟を決めた。「ここはどれも料理が絶品なんだ。今日はコース料理を予約したから」「ありがとう」俺はメニュー表を眺めた。なるべく顔を上げないようにし、レストランのスタッフに顔を見られないようにした。「智也さん、どうかした?」「こういう所慣れてなくて、緊張して……」「なんだ、そういうこと。肩の力抜いて?」「うん」その時、ウェイターが俺達のテーブルに料理を運んできた。「お待たせいたしました」俺は久しぶりのコース料理を眺めた。最後に家族と食事をしたは、俺の大学入学祝いの食事会だった。その日の夜、俺は家を出たいと父親に話した。仕事人間の父と、父に従順な母。家族団欒とは名ばかりの息苦しい時間。あの日の料理の味は覚えてもいない。しかし、感謝することといえば父親が俺にマナーを叩き込んでくれたことだ。お陰で、今日、塁の前で恥をかかずに済む。「智也さん、美味しい?」「とっても」「智也さん、甘いものは好き?」「好きだけど」「良かった」料理も終盤に差し掛かった頃、塁がホールに居るウェイターに手を上げた。塁に気づいたウェイターが俺たちのテーブルにやってきた。「そろそろお願いします」「かしこまりました。少々お待ちください」何の話だろうか?俺は食後のコーヒーを飲みながら、塁の様子を眺めていた。しばらくすると、支配人が立派な誕生日ケーキを俺たちのテーブルに運んできた。「智也様、ごぶさ……」「あ!誕生日ケーキ頼んでくれたんだ。ありがとう。凄く嬉しい」俺は支配人に目配せした。優秀な彼ならば察してくれるはずだ。今、塁に俺の正体がバレる訳にはいかない。俺はあり

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