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第5話

Auteur: コーラ
「飼い犬?」

「産婦人科?」

「おばさん?」

客たちのざわめきが、潮のように押し寄せてくる。

ステージの中央に立ち尽くす涼介は、全身を震わせながら、まるで服を剥ぎ取られたピエロのようだった。

彼が勢いよく飛びかかり、私のスマホを取り上げようとした。

「黙れ! それは嫌がらせの電話だ! 詐欺なんだよ!」

まだ見苦しく言い逃れをしようとしている。

だが、私はとうに準備を済ませていた。

私は体を横にかわして彼の襲いかかりを避け、バッグからUSBを取り出すと、隣にいた司会者に手渡した。

「すみません、これを再生してもらえますか?」

司会者は面白がる性格で、手早くパソコンに手を伸ばした。

メインスクリーンの映像が、再び切り替わる。

そこに映し出されたのは、もはや着信画面ではなかった。

画面を埋め尽くしたのは、数々のスクリーンショットだ。

天乃のSNSの投稿画面。

【3番目のパパからもらった時計】

【3番目のパパがガレージで私の靴紐を結んでくれてる】

【3番目のパパが彼女のことを「まるで人形みたい」と言った】

さらには、あの有名な『恋愛テクニック集』の投稿。

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    私はファイルを開いた。中には涼介と小林家の令嬢が並んで写った写真が何枚も入っていた。どれも、皮肉なくらい絵になる二人だった。「吉野さん、あなたは才能の高い人よ。けれど、榊家に受け入れられるのは、誰にでもできることじゃない。来週の婚約披露宴を最後まで演じきって、小林家に彼との縁談を完全に諦めさせてちょうだい。事が済んだら、生活に困らないほどの金は渡す。後は心配いらない。その後はここを去り、二度と姿を見せないこと」この展開、まるで昼ドラに出てくる、現金をばらまく悪役の義母みたいだ。だが、私は腹を立てることはなかった。ファイルを閉じ、涼子の目を真っ直ぐに見据える。「お金はいりません」涼子は意外そうに片方の眉を上げた。「足りないとでも?」「いいえ」私はバッグからタブレットを取り出し、一枚の設計図を表示させた。「これは、榊グループのヨーロッパ支部の新ランドマークのデザイン初稿です。このプロジェクトで皆さんが頭を悩ませているのは知っています。以前の案はどれも却下されたと聞きました。私は、このプロジェクトのチーフデザイナーの職位をいただきます」涼子は一瞬、固まった。彼女はタブレットを受け取ると、それまでの無関心な眼差しを鋭く変え、最後には驚嘆の色を浮かべた。「……これを、あなたが?」「はい。涼介のために、これまで、自分の力を抑え、七年間おとなしく振る舞ってまいりました。けれど、自分の専門を捨てたことは一度もありません。私が欲しいのは施しではなく、チャンスなんです」涼子はタブレットを置くと、初めて私を対等な人間として正面から見つめた。彼女の視線には、ほんの少しの挑発と、ささやかな感嘆が混じっていた。「いいわ、取引成立ね。ところで、披露宴ではどう動くつもり?」私は口角を上げ、意味深な笑みを浮かべた。……婚約披露宴の日がやってきた。涼介は、市内で最も豪華なホテルの宴会場を丸ごと押さえた。客はひしめき合い、華やかな装いの人々で会場は彩られていた。白いスーツに身を包んだ涼介は、立ち居振る舞いも優雅で、まるで童話から抜け出してきた王子のようだった。彼は私の手を取り、愛おしげな眼差しで客の一人ひとりに紹介して回る。「俺の婚約者、遥です。俺が人生で最も愛

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