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3.ヤクザさん(?)の正体⑤

ผู้เขียน: 鷹槻れん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-18 23:00:09

「あの、そういえば私、梅本先生からお預かりした手袋をお返ししたくて。あれからも毎日同じ時間にうなちゃんと散歩してたんですけど、あれっきりお会い出来なくなっちゃいましたよね? あれって……もしかして」

 ――私と出会いたくなくて避けていらっしゃいましたか?

 なんでかな? その言葉は肯定されるのが怖くて続けられなかった。

 だって、それまではずっと変わらずその時間帯に梅本先生(と思しきランナー)と毎日のように出会っていたの。なのに、あの一件以降、ぱったりと会えなくなってしまったんだもん。

 私がそう思っても、不思議じゃない……よね?

 でも――。

「ああ、実はあのあと俺、足、捻挫しちまって走るの自体、休んでたんだよ。そうこうしてたら新学期の準備でバタバタしちまって……。ランニングする時間がズレちまった」 

「そう、だったんですね。……良かったぁぁぁ!」

 思わず気が抜けたようにつぶやいたら、きょとんとされてしまう。

「あのさ、もしかして、桃瀬先生のこと避けてたとか思って、結構気にしてたり……?」

「……はい。だって私、梅本先生に変なこと言っちゃいましたし……」

 しゅんとして思いを吐露したら、ブハッと笑われてしまった。

「へぇー。変なこと言ったって自覚はあったんだ。ちょっとホッとした」

「えー。なんですか、その言い方! 酷いですよぅ!」

「いや、だってそうだろ? 初対面の男捕まえていきなり〝片手袋を落とす闇バイトの方ですか?〟だぞ? 『何だそれ?』ってなるだろ、普通」

 う……。言われてみれば確かに――。でも、でも!

「そういう都市伝説があるんですよぅ!」

 ムキになって抗議する私に、なんでだろう? 梅本先生がふっと真顔になった。

「なぁ、もしかして桃瀬先生って……そういうの、好きな人?」

「えっ? あ、……はい。……多分」

「ってことは……ホラーとかも結構いける口?」

 都市伝説とホラーは必ずしもイコールではないけれど、まぁ、中にはオカルトめいたものが多いのも確か。

「に、苦手……ではないと、思います」

 しどろもどろになりながら頷いたら、「それはいいこと聞いたな♪」とやけに嬉しそうにニヤリとされて、私は混乱してしまう。

 だってだって。怖いお顔の人のしたり顔、凶悪過ぎるんですもの!

「あ、あの、梅本……先生?」

 それで恐る恐る呼び掛けたら、梅本先生が目をキラキラさせた。

「俺さ、結構ホラー映画とかホラー漫画とか好きなんだよね。けど、周りにそういうの大丈夫な人間がいなくてさ。趣味の話をできる相手がいなかったんだよね」

 確かに私も、都市伝説の話で盛り上がれるのはネットの掲示板上の顔も知らないお仲間さんだけ……。何となく梅本先生の気持ちが分かる気がした。

「えっと……お気持ち、分かります」

 それでしみじみと同意したら、「そっか。やっぱ俺たち同士だよな!?」って……どういう意味ですか!?

 梅本先生の前のめりな様子に、その強面な雰囲気も相まって目を白黒させたら、「今度、俺のおすすめの漫画とか持ってくるから、感想聞かせて?」って本気ですか?

 代わりに、桃瀬先生の都市伝説談義を今みたいに子供らを帰した後、聞きにくるからウィンウィンだとニヤリとされて、私は「えぇぇぇ!?」と叫んだ。

 途端、梅本先生から揶揄うみたいに「桃瀬先生、図書室ではお静かに」と笑われて、用は済んだとばかりにヒラヒラと手を振って去られてしまう。

 残された私は冷静になってポツリとつぶやいた。

「手袋をお返しする話、しそびれちゃったじゃん!」

 きっと誰か第三者がこの場で二人の会話を聞いていたならば、『いや、そこかよ!?』とツッコミを入れていたことだろう。

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