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2 最後に言わせてほしい

작가: けいこ
last update 최신 업데이트: 2025-03-18 12:55:31

しばらくして、蒼真さんが七海先生のお別れ会をしようと提案してくれた。

やはり、七海先生のことは本当だったんだ。

同じ大学の先輩である七海先生のために、みんなでバーベキューをと考え、病院からそれほど遠くない都会の中でグランピングができる場所を予約してくれた。

そんなところがあるのことも知らなかったけれど、すごく興味があった。自然の中のキャンプにも行ったことがなく、実際に実現するのは無理そうだから。

キャンプの雰囲気が味わえるならそれで十分素敵だと思った。

私達の仕事では全員が1度に集まることはできない。七海先生と白川先生がお休みの日に、他のメンバーが入れ代わり立ち代わり入ってこれるよう考えてくれていた。

***

数日して、その日がやってきた。

偶然にも私も休みになり、今日は1日中ずっとお手伝いをしようと思った。

それにしても都会の真ん中にこんなオシャレなキャンプ場があるなんて……

何も準備せずにキャンプができるよう全てが揃っていてとても便利だ。

かなり広くて明るいグランピングの中は本当に豪華で、テーブルや椅子、寝ころべるようなソファもあった。

殺風景ではなく、可愛らしい小物をたくさん使った飾りも素敵で、そこにいるだけで楽しい気分になれた。

特に女性の看護師達はみんなテンションが上がっていた。

バーベキューもすぐ横でできるようになっていて、材料もお任せで、至れり尽くせりの環境だった。

お肉や海鮮、新鮮な野菜もたくさんあり、すごく美味しそうだ。

プロの料理人がいてバーベキューの焼き方を教えてくれたり、それ以外の料理もその場で作ってくれるのには驚いた。

今日はこんなに素敵な集まりなのに会費は1000円だけで、場所代や料理、七海先生に送るプレゼントまで、残りは全て蒼真さんが負担していた。

かなりの出費だと思う。

だけど、蒼真さんは、それ以上お金を受け取ろうとはしなかった。
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    僕はその結果に心からホッとしながらも、正直、自分を情けなく思った。自分にとって何よりも大切な人がこんなになるまで頑張っていたのに……無理していることに気づいてあげることができなかった。結果、桜子に不安を与えてしまい、痛い思いをさせてしまった。医師として、そして、彼氏として本当に申し訳ないことをしたと心底反省した。医師だから、体も心も強いわけではない。もがきながら、苦しみながら、逃げ出したい気持ちもある中で、みんな必死に患者さんのために頑張っている。僕も今回の事を教訓にして、桜子の体調も気にしながら、お互い励ましあって、支え合って生きていきたいと思った。もう二度と桜子を不安にさせないと、心に誓った。「ごめんね。本当に心配かけて。何だかみんなに心配をかけてしまって……恥ずかしい。これからは、一生懸命、妊婦さんや婦人科の病気を抱えている人のために頑張っていくね。あ、でも、自分の体にも気をつけていきます」「……うん。そうだね。僕もたくさんの人の命を守りたい。その気持ちを永遠に持ち続けて、そして、桜子のこと、必ず……幸せにしたい」「蒼太さん……?」「本当はもっとロマンチックな形で言いたかったけど、今どうしても君に伝えたいから」「えっ?」「桜子。僕たち結婚して、夫婦にならないか?」「……蒼太……さん?」「お互いに支え合って、いつまでもずっと一緒にいよう。絶対幸せにするから、僕についてきてほしい」「……嬉しい。蒼太さん、私、とっても嬉しいよ」「ほんと?」「うん、私を選んでくれて本当に本当にありがとう」「こちらこそ……。うわっ、すごくドキドキした」あまりの緊張に思わず心臓を抑えた。「私もドキドキしたよ。ありがとう、ほんとに嬉しい」「うん、僕も嬉しい。良かった……」病院の片隅、僕たちは永遠の愛を誓った。泣きながら笑うなんて変だけど……でも、こんなに幸せでいられることに感謝しかなかった。***それからしばらくして、両親と僕たちは川の近くにあるキャンプ場にやってきた。流れる水がとても綺麗で、心地よい風が吹いている。最高のキャンプ日和だ。早速、近くにテントを張ってバーベキューの準備をする。父も母も、桜子の元気な姿を見て、とても嬉しそうだった。「何だか蒼太の子供の頃を思い出すわね。川辺で遊んでいる姿がとても可愛かったわよね。ほ

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    優秀な外科医である父の背中を見て育った僕は、昨年研修医を経て、無事に父と同じ外科医となった。まだまだ未熟だけれど、志は熱い。これからたくさんのことを学んで、多くの患者さんを救いたいと心に誓っている。大学病院の外科での仕事は大変だけれど、それを支えてくれる父や母、そして、僕の彼女の「相川 桜子」、みんなのおかげでモチベーション高く頑張れている。桜子は同じ大学で医学を学んだ同士であり、現在は産婦人科医として頑張っている。父や母の知り合いの七海先生の話はよく聞いていたが、僕も、産婦人科医はとても大変で尊い仕事だと認識している。桜子とは新米の医者同士、励ましあったり、知識を共有したりして、お互い尊敬しあっていてとても良い関係だ。そう、彼女は、僕の最高のパートナー。来年あたり結婚して、仲の良い楽しい家庭を作りたいと思っている。もちろん、授かることができれば、かわいい赤ちゃんも欲しい。僕の両親もそのことをとても喜んでくれていて、優しくて品があって、努力家の桜子のことをすでに娘みたいに可愛がってくれている。***そんなある日のこと。桜子はいつものように実家から大学病院に向かった。電車を降りて病院まで歩いている途中の事だった。桜子が急に腹痛を訴えて倒れ込み、たまたま近くにいた人が救急車を呼んでくれ、僕たちが勤める大学病院に運ばれた。知らせを聞いて、僕は慌てて桜子の元に飛んでいった。桜子はお腹を押さえ、冷や汗をかいてベッドに横たわっていた。「桜子!大丈夫か?」「あっ、ごめんね。仕事中なのに」「何言ってるんだ。そんなこと気にするな。それより大丈夫なのか?」「……うん、急にお腹を刺すような痛みがして……」僕は目の前にいる桜子を見て、胸が張り裂けそうなくらい不安になった。一体何が起こったのかと心配で心配でたまらない。なのに、今の自分には何もしてあげることができず、医師として情けなくて悲しくて、無力さを痛感した。「蒼太先生。桜子先生は今から検査に入ります。すみませんが、しばらく待っていて下さいね」「わかりました。先生、どうかよろしくお願いします」 「大丈夫ですよ。しっかり検査させていただきます。終わったらまた連絡しますね」「お世話になります。ありがとうございます」僕はそう言って、担当の先生に頭を下げ、不安な気持ちを抱えたまま外科に戻った

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2【after story】 歩夢の幸せ

    伯母さんに結婚をせかされてから数日後、僕は、いつものように松下総合病院で仕事をしていた。「歩夢さん。あの……私、もうすぐ退院ですよね」「そうですね。よく頑張りましたね」「あの……退院する前に話しておきたいことがあって……」しばらく入院していた田川 紗英さんに、突然話しかけられてびっくりした。「……どうかしましたか?田川さん」「……入院中、仲良くしてくれてありがとうございました。すごく不安で仕方なかったけど、歩夢さんのおかげでリラックスして手術も受けれたし、術後もいっぱい励ましてもらったから今日まで頑張れました」僕より2つ年下の彼女。気づけば、田川さんは僕のことを名前で呼んでくれていた。「ありがとうございます。そう言ってもらえたら嬉しいです。少しでも田川さんのお役に立てたならよかったです」「少しだなんて。歩夢さんにはたくさんたくさん励ましてもらいました。私、すごく……幸せでした」「そんな大げさですよ、幸せだなんて。これから先、あなたにはたくさん幸せなことが待っていますから」「そうですかね……。私にも何か良いことありますかね」「もちろんですよ。絶対あります。田川さんは、退院したらやりたいこととかあるんですか?」田川さんは、小柄で女性らしいふんわりとした印象のある、とても可愛らしい人だ。しかも、性格が良い。趣味の話や、テレビや食べ物の話など、いろいろなことを話している中で意気投合することも多かった。きっと、こんな人と結婚したら毎日楽しんだろうなと、ほんの少し思ったりもした。「……やりたい事はたくさんありますよ。映画も見たいし、ショッピングもしたい。キャンプに行ってバーベキューもしてみたいし、夜空の星を見るツアーにも参加してみたい。あっ、遊園地にも行きたいですね。あとは……う~ん、まだまだやりたい事がいっぱいあってまとまりません」必死に語る田川さんが可愛く思えた。「いいじゃないですか。楽しみがいっぱいですね」「でも……」「でも?」「どれもこれも1人では寂しいです。2人でなら楽しいことばかりですけど……」田川さんは目を閉じて、そして、何かを想像するかのように微笑んだ。「ん?仲良しの友達がいるんですか?」「……友達はいますけど……そういう楽しいことを一緒にしたいと思うのは、やっぱり……」田川さんは、急に僕から視線を外し戸惑

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1【after story 】歩夢の幸せ

    「歩夢、いい加減、そろそろあなたも結婚とか考えたらどうなの?いつまでも1人じゃ寂しいでしょ」伯母の中川師長にまた同じ質問をされた。もう何度目だろう。もちろん、伯母さんだって本当は言いたくないだろうけど……「だから、いつも言ってるように、僕には彼女がいないんだから結婚なんてできないよ。相手がいなきゃ、結婚はできないんだからね」「当たり前でしょ。そんなことわかってるわ。ほんとに毎回毎回同じことばかり。歩夢にはその気がないの?」今日の伯母さんはいつも以上に必死だ。「その気がないわけじゃないよ。でも……病院にいたら出会いなんてないよ」「そうはいうけど、今どきネットとか出会いはたくさんああるんでしょ?何か試して前に進んでみたら?この間も、私の知り合いの娘さんが、その……なんて言うのかしら?マッチングアプリ?そういうので、素敵な人と出会ったらしいわよ。いろんな相手がいてね、こちらが興味を示したらボタンを押すんですって。それを見て相手も興味を持ってくれたら、会ったりするんですって~。すごいわよねぇ~」伯母さんの口からマッチングアプリなんていう言葉が飛び出すとは思ってもみなかった。確かに……伯母さんの助言は有難いと思う。だけど、今の僕には誰かと付き合うなんてまだ考えられない。正直、藍花さんと離れて数年、他の誰かを好きになることはなかった。無理して誰かを好きになろうとも思わなかった。僕は……きっとこのまま独身のまま人生を終えるのだと……そんな気がしていた。それでもいいとさえ思っていた。「伯母さんの気持ちは本当にありがたいけど、もう少し今は仕事を頑張っていたいんだ。まだまだ未熟だし、仕事が1番楽しい。もっと勉強して、いろんなことを知りたいから。そうだ、伯母さんこそマッチングアプリとかしてみれば?良い相手が見つかるかも知れないよ」「な、な、何を言ってるのよ!伯母さんをからかわないで。ま、全く何を言ってるのかしらね。私がマッチングアプリなんてするわけないでしょ」かなり慌ててる伯母さんをみたら、さらにからかいたくなった。「伯母さんも第2の人生を楽しんでみたら?イケメンでお金持ちの人もいるかも、僕、断然応援するよ」「私のことはいいのよ、ほんとにもう。歩夢……。あなた、もしかして、まだ藍花ちゃんのことを?」伯母さんにはとっくの昔から僕の気持ちを見抜かれ

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