Share

第241話

Author: るるね
last update publish date: 2026-09-10 23:59:25

 最初に公開された記事には、紗月の名前はどこにも書かれていなかった。

 ところが、いったいどこから情報が漏れたのか、源間の次回作で主演を務めるのが友枝紗月だという情報が、ほどなくして突然ネット上へ流れ始めた。

 ドラマの宣伝用に撮影したはずの紗月のビジュアルまで流出している。

 ただ、掲載されている写真は正式な宣材写真には見えなかった。

 撮影中の紗月を少し離れた場所から狙い、本人に気づかれないよう密かに撮ったかのような、不自然な角度の写真だった。

 騒動への注目が高まるにつれ、「友枝紗月」という名前にも急速に多くの視線が集まり始めた。

 もっとも、紗月の名前が世間へ知られるのは、これがほとんど初めてだった。

 これまで出演作もなく、女優としての経歴さえほとんど知られていない。そのため、ネット上で飛び交う話題の大半は、「友枝紗月とはいったい何者なのか」というものだった。

 やがて、源間が自分の欲望を満たすために、後ろ盾も実績もない無名の素人を主演へ抜擢したに違いないと決めつける声まで増えていく。

 枕営業で役を得たのではないか。

 監督と特別な関係があるから主演に選ばれたのではないか
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第260話

     断られても、慎一は少しも気にした様子を見せなかった。それどころか、どこか面白がるように喉の奥で小さく笑う。「怖いな、お隣さん」 まるで甘えるような口ぶりだった。 慎一がこんなふうに話すこと自体、滅多にない。結婚してからはなおさらで、あまりにも彼らしくない態度に、紗月は思わず面食らってしまった。 ほんの一瞬、どう反応すればいいのかわからなくなったものの、すぐに気を取り直し、表情を引き締める。「私、余計なご近所付き合いは好きじゃないの、お隣さん。これからはお互い、隣には誰も住んでいないと思って過ごしましょう。じゃあね」 それだけ告げて扉を閉めようとした途端、慎一の手が素早く伸びてきた。閉まりかけた扉を押さえられ、紗月は不機嫌そうに眉を寄せる。「……何なの、お隣さん」「貸してくれないなら、それでいい。ただ、引っ越しの挨拶にと思って、手土産を買ってきたんだ。ここのケーキ、好きだっただろう? 挨拶の品くらいなら、受け取ってくれないか」 そう言って慎一が差し出したのは、紗月が昔から好きだった店の袋だった。中には、その店の看板商品であるケーキが入っているらしい。 もっとも、好きだったのは学生時代の話だ。 もうずいぶん長いこと、あのケーキを口にしていない。 当時、そのケーキは数量限定で販売されており、なかなか手に入らなかった。 授業が終わると急いで店へ向かったものの、紗月が到着する頃にはいつも売り切れていて、ショーケースの前で何度も残念な思いをしたものだった。 今も、あの頃と同じように人気なのだろうか。 もしそうなら、慎一は朝早くから店へ並んだのかもしれない。 ふと、高校時代の記憶が蘇った。 あの頃にも、同じようなことが何度かあった。 紗月がどうしてもケーキを食べたそうにしていると、慎一は翌朝早くから店へ足を運び、列に並んで買ってきてくれたのだ。ようやくケーキを手に入れてから慌てて学校へ向かい、紗月に渡してくれたこともあった。 その時の嬉しさを、今でも覚えている。 自分が何気なく口にした願いを慎一が覚えていてくれたことも、わざわざ早起きをしてまで叶えようとしてくれたことも、当時の紗月にはたまらなく嬉しかった。 ただ、自分のためにそこまでして、授業に遅れてほしくはなかった。二度ほど買ってきてもらったあと、もうわざわざ並ばなくてもいいと、慎

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第259話

     その姿を目にした瞬間、紗月の眉間に深い皺が寄る。 どうして、またここにいるのだろう。 昨日、屋敷であれほど嫌な思いをしたばかりだというのに、今度は自宅にまで訪ねてくるとは思わなかった。 紗月は扉を開けることなく、通話ボタンだけを押した。「朝倉社長、何かご用なの?」「先にドアを開けてくれないか?」「……朝倉社長、ご用があるなら電話で伝えてくれれば済むでしょう。わざわざ訪ねてくる必要はないと思うけど」 慎一の声を聞くだけでも、先ほどまで練習に集中していた気持ちが少しずつ削がれていく。 紗月はできることなら、このまま用件だけを聞いて通話を終わらせたかった。 そんな彼女の気持ちなど知ってか知らずか、モニターの向こうにいる慎一は、少しも悪びれる様子を見せなかった。「紗月、どうやら先に自己紹介をするのを忘れていたらしい」 その言葉の意味がわからず、紗月は訝しげに眉を寄せた。 慎一は相変わらず平然とした口調で続ける。「お前の隣の部屋を買った。だから、俺たちは今日から……隣人ということになるな」 わざとらしく一度言葉を切り、まるでごく当たり前のことを伝えているかのように、さらに言葉を重ねた。「その隣人が今、少し困っている。助けてもらいたくて来たんだ」 慎一の言葉を聞いた瞬間、紗月の思考はぴたりと止まった。 何を言われたのか、すぐには理解できなかった。隣の部屋を買ったという言葉だけが頭の中で繰り返され、その意味を飲み込むにつれて、胸の奥にじわじわと嫌な予感が広がっていく。「あなた……」「聞きたいことがあるなら、ドアを開けてくれ。そうしたら説明する」 紗月は何も答えず、しばらくモニターの向こうにいる慎一を見つめていた。 できることなら、このまま通話を切ってしまいたかった。けれど、慎一には立ち去る気配がまるでない。いつまでも玄関先に居座られては困るし、何より、隣の部屋を買ったという話が本当なのか、確かめずにはいられなかった。 長い沈黙の末、結局は紗月のほうが折れ、渋々玄関の扉を開けることになった。 扉の向こうには、薄く笑みを浮かべた慎一が立っていた。 紗月が姿を見せても、彼はすぐに何かを言おうとはしない。意外なことに、勝手に部屋へ入ってこようとする様子もなく、ただ余裕のある表情で彼女を見つめている。「……何の用なの?」「引っ越してき

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第258話

     「わかりました。ありがとうございます」 紗月は家政婦へ丁寧に微笑みかけ、差し出された書類を受け取った。家政婦が一礼して立ち去るのを見届けてから、紗月は手元の書類を開く。 中に入っていたのは、印刷された芸能活動に関する契約書だった。 何枚にも及ぶ分厚い書類を、紗月は一枚ずつめくりながら、ざっと内容を確認していく。 記載されている契約条件も、利益の配分も、驚くほど紗月に有利なものばかりだった。違約金や損害賠償など、彼女に大きなリスクを負わせるような条項も見当たらない。商業的な観点から見れば、これほど好条件の契約を提示される機会など、滅多にないだろう。 慎一が紗月のために、相当な譲歩をしたことは明らかだった。 それでも紗月は、最後まで詳しく目を通すことなく、静かに書類を閉じた。 どれほど条件がよくても、これ以上、慎一との間に新たな繋がりを持ちたくなかった。 ただでさえ、二人を縛りつけている契約結婚の取り決めだけでも、紗月にとっては十分すぎるほど煩わしい。ようやく自分の意思で歩き始めた仕事の道まで慎一と深く結びついてしまえば、これから先、どれほど息苦しい思いをすることになるのだろう。 仕事のたびに慎一の顔色を窺い、何をするにも彼の意向を気にしなければならなくなるかもしれない。 そんな生活へ戻ることなど、想像するだけでも嫌だった。 紗月は閉じた契約書をしばらく見つめていたが、再び開こうとはしなかった。 * その日は昼間も祖父と一緒に屋敷で過ごした。 久しぶりにゆっくり話をすることができ、祖父も終始機嫌がよさそうだった。やがて祖父が日課の書道を始める時間になると、紗月は別れを告げ、自宅へ戻ることにした。 マンションに到着すると、建物の前には大型のトラックが二台停まっていた。 車体には引っ越し業者のロゴが入っており、スタッフらしき人たちが忙しそうに荷物を運んでいる。どうやら、新しい住人が引っ越してきたらしい。 このマンションでは、住人が入れ替わることも珍しくない。 紗月は特に気に留めることなく、いつものようにエレベーターへ乗り、自分の部屋がある階へ向かった。 ところが、廊下へ出た途端、思いがけない光景が目に飛び込んできた。 自宅のすぐ隣にある部屋の扉が、大きく開け放たれていたのだ。 引っ越し業者のスタッフが慌ただしく出入りし、ソフ

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第257話

     紗月が何か言い返すより早く、祖父のよく通る一喝が廊下に響き渡り、慎一の動きがぴたりと止まった。「慎一!」 振り返ると、階段の前に祖父が立っていた。どうやら、ちょうど上がってきたところらしい。慎一と目が合った途端、その顔に浮かんでいた怒りがいっそう険しいものへ変わった。「……じいさん、まだ休んでなかったのか」 慎一の声は、相変わらず淡々としていた。祖父が現れても怯む様子はなく、紗月の手首を掴む力はむしろ強まり、放そうともしない。「今から寝ようとしていたところだ。お前の声が聞こえたから来てみれば……いったい何をしている! お前と紗月は、もう離婚したんだぞ。わしに言われなければ、そんなことも思い出せんのか!」 祖父は怒りを露わにしたまま、大股で二人のもとへ歩み寄ってきた。慎一が紗月の手首を掴んでいるのを見るなり、躊躇うことなく、その手の甲をぴしゃりと強く叩く。 乾いた音が廊下に響き、慎一の手の甲には、たちまち赤い跡が浮かび上がった。祖父が少しも手加減しなかったことは、一目でわかるほどだった。 それでも、慎一はすぐには手を放さなかった。 祖父に睨みつけられながらも、紗月の手首を掴んだまま、数秒ほど頑なに動こうとしない。 さすがにこれ以上祖父を怒らせるわけにはいかないと思ったのか、やがて不承不承といった様子で、ようやく紗月の手首から指を離した。 紗月もまた、祖父があまりに感情を高ぶらせ、心臓へ負担がかかってしまうのではないかと心配していた。 自由になった手をそっと引き寄せ、どうにか笑顔を作ると、祖父の傍へ歩み寄って宥めるように声をかけた。「大丈夫ですよ、おじいさま。私と慎一は、少し話をしていただけですから」「話をしていただけだと? それなら、どうしてあんなふうに無理やり引っ張る必要があるんだ。紗月ちゃんは人がよすぎるんだ。そうやって何でも大目に見てやるから、この馬鹿にいいように振り回されてしまうんだぞ」 二人が離婚に至った本当の理由を、祖父は知らなかった。 それでも、慎一のせいで紗月が流産したことだけは、今でも忘れられずにいる。あの時、紗月がどれほど苦しんだのかを思い出すたび、胸が痛んで仕方がなかった。 ようやく離婚して、慎一の傍を離れることができたというのに、今度はこうして無理やり手を掴み、引き止めようとしている。 そんな姿を目の当た

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第256話

     こうした話になると、慎一の声音には、本人にそのつもりがなくとも、隠しようのない傲慢さが滲み出る。 慎一には、本気で理解できなかった。 紗月が芸能事務所と契約したいのなら、自分の会社を選ばない理由など、どこにもないはずだった。 ヴァレンティス・プロダクションなら、あらゆるリソースを紗月一人へ優先的に注ぎ込むことができる。紗月が望みさえすれば、デビューしたその年から賞を獲らせることすら、不可能ではない。 何しろ、事務所の背後には朝倉グループが控えているのだ。その資金力と影響力を惜しみなく使えば、紗月が一人でどれほど努力しても、生涯かけて辿り着けるかどうかわからないほどの高みへ、彼女を押し上げることができる。 慎一はすでに、紗月を売り出すためのイメージ戦略まで考えていた。 これまで由衣を担当していた社内屈指の専門チームにも、ほかの仕事をすべて中断させ、紗月のために待機するよう命じてある。スタイリングから今後の活動方針に至るまで、必要な準備はすでに整っていた。 あとは、紗月が「わかった」と一言答え、頷くだけでよかった。 その返事さえあれば、慎一はすぐに指示を出し、すべてを動かすことができる。 それほどの環境を用意しているというのに、紗月はよりにもよって、得体の知れない三流事務所へ行こうとしているのだ。 株式会社ルミエール・エージェンシー。 調査にかけられた時間が短かったため、現時点で判明しているのは、紗月がこの会社のマネージャーと接触していたという事実だけだった。会社の詳しい事業内容や、背後にどのような人物がいるのかまでは、まだ突き止められていない。 ただ、設立されたばかりの会社だというのに、初日から大々的に他社の所属タレントを引き抜いて回っていることだけはわかっていた。 業界内での立場も、既存の大手事務所との関係も、まるで意に介していないかのような振る舞いだった。 そのあまりにも派手で挑発的なやり方に、慎一はどうしても、ある気に入らない男の顔を思い浮かべずにはいられなかった。「紗月。本気でこの道へ進みたいなら、俺の言うことを聞け。素性もわからない会社と、軽々しく契約するべきじゃない」 その言い方が、紗月にはたまらなく不愉快だった。 もともと、今回の審査を受けることに、それほど強いこだわりがあったわけではない。まだ何も決まっていないの

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第255話

     久しぶりに紗月が帰ってきたことを、祖父は心から喜んでいた。 普段はこの広い屋敷で一人きりで暮らしており、子どもたちも傍にはいない。 久しぶりに帰ってきてくれた孫娘が愛おしくて仕方がないのか、食事の間も祖父は何度となく紗月へ話しかけ、嬉しそうに笑っていた。 せっかく会えたのだから、今夜はこのまま帰してしまいたくないのだろう。「紗月、今夜はここに泊まっていきなさい。ここはお前の家なんだから、遠慮することはないんだぞ」 祖父の言葉に、紗月は嬉しそうに笑って頷いた。「はい、おじいさま」 その返事が終わるか終わらないかのうちに、それまで黙って食事をしていた慎一まで口を開いた。「それなら、俺も今夜は泊まる」 先ほどまで満面の笑みを浮かべていた祖父の顔が、途端に露骨な嫌そうな表情へ変わった。「慎一、お前は毎日毎日、忙しいと言っているくせに、こういう時だけ暇になるのか。じいちゃんが帰ってきてほしかったのは紗月だけだ。お前など呼んでおらんぞ」 そこまで言われても、慎一はまるで聞こえていないかのように平然としていた。紗月へ一度だけ視線を向けると、祖父の小言など意にも介さず、何食わぬ顔で食事を続けている。 その態度に祖父はますます腹を立てたものの、どうすることもできなかった。呆れたように深く息を吐くと、慎一を相手にするのは諦め、紗月へ向き直った。「気にするな、紗月。この小僧がどうしても居座ると言うなら、わしらは相手にしなければいいだけだ」 ここは慎一にとっても自分の家なのだ。本人が泊まると言い張る以上、祖父も本当に追い出すわけにはいかなかった。 紗月も祖父の言葉に従い、慎一のことは気に留めず、久しぶりに祖父と過ごす時間を楽しむことにした。 せっかく帰ってきたのだから、余計なことに心を煩わせたくはない。慎一が同じ部屋にいることなど忘れたように、祖父との会話に耳を傾け、穏やかな時間を過ごしていた。 祖父との久しぶりの時間を、慎一のせいで台無しにしたくはなかった。 食事を終えたあとも祖父の傍にいて、近況を話したり、他愛のない会話を楽しんだりしているうちに、時間は穏やかに過ぎていった。 慎一が何を考えているのかは知らない。紗月も、わざわざ気にかけるつもりはなかった。 夜も更け、そろそろ休もうと祖父に挨拶を済ませ、自分の部屋へ戻ろうとした時だった。 そ

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第5話

     由衣を連れて地下駐車場まで下りると、慎一はようやく、自分にぴたりと寄り添っていた彼女を少し強めに引き離した。 今度ははっきりと力を込めており、由衣がこれ以上まとわりつくことは許さない。「次からは、断りもなく来るな」「えー、社長ってひどい。利用したらそれで終わりなんて。奥様、顔色すごく悪かったですよ? 今ごろ上でこっそり泣いてるかも」 由衣はにこにこと笑いながら、両手で慎一の腕を掴み、甘えるように揺らした。 だがその言葉には、どこか底の見えない悪意が滲んでいる。 慎一はそんな彼女を見つめ、ふっと笑

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第4話

     翌朝、紗月が目を覚ますと、昨日よりもさらに体調が悪かった。 全身に力が入らず、めまいがして、手足は冷えきっている。歩くだけでも、身体が小刻みに震えているような感覚さえあった。 キッチンで薬を飲んでいると、ちょうど慎一も部屋から出てきた。アイランドキッチンに置かれた薬をちらりと目にしたが、彼はほんの一瞬視線を流しただけで、気にかける様子はまるでない。 紗月は彼がすでに出勤用の服に着替えていることに気づく。 まだ時間は早いのに、彼は今すぐにでも出ていきたいというように、どこか落ち着かない様子だった。この家に一秒でも長くいたくな

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第3話

     距離が近づくにつれ、紗月の纏う香水の匂いと、肌から伝わってくる異様な熱が、慎一の眉を思わずひそめさせた。「……気持ち悪い匂いだな」 彼女が体調を崩しているのか、それとも本当に病気なのか。そんなことは一切気にも留めない。 男の手つきには、微塵の情けもなかった。その触れ方は、欲望によるものですらない。ただ鬱積した感情をぶつけるための、乱暴な接触にすぎない。 紗月は彼の触れた感覚を受け止めながら、ゆっくりと目を開けた。 視線が合った瞬間、胸が締めつけられるように高鳴り、思わず口づけを求めるように身を起こそうとする。 その気配はすぐに見抜かれた。 慎一は露骨に嫌悪を滲ませ、顔を背ける

  • 愛し続けた彼を、私は手放すことにした   第2話

     電話を切ってから四時間後、ようやく慎一は酒席を切り上げ、家へ戻る気になった。 すでに時刻は深夜十二時に近い。 それでも席に残っていた者たちは、立ち上がった慎一を見て、忘れたようにおべっかを並べる。「社長、もうお帰りですか? 奥さまのところへ急いで戻られるんですか?」 その一言をきっかけに、周囲も次々と追従し、慎一の“良き夫”ぶりを持ち上げ始めた。 今がどれほど遅い時間かなど、誰も気にしていない。「さすがは社長ご夫妻、相変わらず仲睦まじいですね。奥さまが羨ましいですよ、こんなに有能で、しかも奥さまを大切にされている男性と結婚できて」「本当ですよ。社長は毎月、奥さまのためにサプラ

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status