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第3話

Author: 卵焼き
真奈は死亡偽装サービスの責任者・島村慎也(しまむら しんや)の約束の時間を決めると、すぐに立ち上がって向かおうとした。だが、病院の曲がり角で思いがけず航平を見かけてしまった。

彼は背筋を伸ばし、結菜のそばに立ち、まるで宝物のように彼女を気遣っていた。

「結菜、今もまだ体調が悪いか?」

その言葉を耳にした瞬間、真奈はその場に立ち尽くした。爪が掌に食い込むほど拳を握りしめる。

薄暗い廊下の影に身を潜めながら、真奈は結菜が弱々しく航平の胸に寄りかかっているのを見た。

「航平、私は大丈夫。そんなに心配しないで」

結菜の声はか細く、まるで今にも消えてしまいそうだった。その響きには、深い依存と愛情が込められていた。

航平は手を伸ばし、そっと結菜の背中を撫でた。

「結菜、無理するな。医者も安静が必要だって言ってた。結婚式のことはもう手配した、あと数日で挙げよう。

結菜、今回は君に最高のものを全部あげる」

その言葉に、真奈の呼吸が一瞬止まり、鈍い腹部の痛みがまた襲ってきた。

唇を噛みしめ、血の味を感じてやっと、心の奥底でうねる衝動を押さえ込む。

――あの「偽装結婚」の話は全部、嘘だったんだ。

航平は本気で結菜と結婚しようとしていた。

次の瞬間、結菜の病弱な声が再び聞こえた。

「航平、妹はまだ私たちの結婚に反対してるのに、こんなに急に決めちゃって……彼女が知ったらきっと……」

その言葉の途中で、結菜は口元を押さえて軽く咳き込み、視線を角の影に向ける。そこには、真奈の服の端がわずかに出ていた。

「真奈は末っ子だから、ずっと大事に育てられてきた。私は姉として、何でも譲ってあげられる。でもね、航平だけは……どうしても譲りたくないの」

結菜は腕を伸ばし、航平の腰をそっと抱きしめながら、低い声で言った。

「もし真奈が、あなたがずっと私を待ってたことを知ったら……どれだけ傷つくかしらね」

「結菜、君は何も悪くない。今回は、誰にも俺たち愛し合う二人の結びつきを邪魔させはしない!」

――愛し合う二人?

真奈は失笑し、口角を引きつらせながら拳をさらに強く握りしめた。

――結局、航平がずっと好きだったのは、最初から結菜だったんだ。

少し離れたところで、結菜がまた咳き込むと、航平はすぐに心配そうに声をかけていた。

「結菜、もう他人のことなんて気にするな。今はとにかく、君の体をしっかり治すことが先決だ」

真奈は深く息を吸い込み、その場を静かに後にした。

その後、彼女は慎也と直接会い、出発の日時を最終決定した。

そして航平との家に戻ると、ただ着替えるつもりだったのに、クローゼットの隅で見慣れない茶色の大きなギフトボックスを見つけた。

箱を開けると、中には大量の封筒がぎっしりと詰まっていた。

一通目の手紙を開くと、そこには航平の躍るような筆跡が記されていた。

【結菜、いつから君を好きになったのかは自分でも分からない。でも、君を好きだってことは確かだ】

二通目の手紙では、航平の字は明らかに整っていて、より丁寧に綴られていた。

【結菜、君が好きだ。君にふさわしい男になれるよう、頑張ります】

三通目を開くと、まず一枚のスケッチ画がひらりと落ちた。

描かれていたのは結菜だった。長い髪が風になびき、穏やかな笑顔を浮かべる姿は、優しさそのものだった。

その下には、こう書かれていた。

【結菜、君のためにデッサンを習った。これは一番うまく描けた一枚だ。これからも、たくさん描き続けるよ】

……

茶色の大きなボックスの中には、そうした手紙がいくつも入っていた。

真奈は最後の一通を読み終えるころには、すでに涙で顔が濡れていた。

最後の手紙には、航平の筆跡が勢いよく綴られていて、どれほど気持ちが昂っていたかが伝わってきた。

【結菜、君を待って六年……ようやく、君とずっと一緒にいられる】
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