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第6話

Author: 落々
「元妻との婚姻関係が継続中であったにもかかわらず、彼女と不貞行為を重ねておりました。

彼女の昇進に関わる不正行為につきましても、現在調査を進めており、判明次第、厳正な対処を行う所存です。

私の軽率な行動により傷つけてしまった全ての方々に、深くお詫び申し上げます」

そう言い終えると、彼は深く頭を下げた。

続けて、私がどれだけ探しても見つからなかった、あの監視カメラの映像が流された。

プライバシー保護の処理がされているとはいえ、生々しい情事の様子は見るに堪えないものだった。

彼は初めて自分の体面をかなぐり捨て、世間からの激しいバッシングを一身に受けたのだ。

このスキャンダルは瞬く間に南都中で大騒動となった。

すぐに大手取引先が次々と瀬川グループとの契約解除を発表し、株価は暴落した。

二人の愚行は、世間に知れ渡ることとなった。

噂では、玲奈が怒り狂って会社に乗り込んだ際、蓮に突き飛ばされて、腹部が机の角に強くぶつかったらしい。

病院に運ばれた時には、お腹の子供はすでに助からない状態だったという。

蓮は医師に「麻酔なしでやれ」と命じ、そのまま掻爬手術を行わせたそうだ。

その日、処置室からは絶え間なく悲鳴が響き渡っていたという。

彼が私への償いとして、彼女に同じ苦しみを与えたのだと分かった。

けれど遅すぎる。今の私には、もうどうでもいいことだった。

それ以来、マンションの近くで彼の姿を見ることはなくなった。

目障りな人間がいなくなり、私の生活は平穏で充実したものに戻った。

月末、私はいつものように病院へ行き、周藤湊(すとう みなと)先生に薬を処方してもらった。

すると、待合室のベンチにひどく憔悴した男が座っていた。

蓮だった。

私は彼を無視して通り過ぎようとしたが、彼はすぐに気づいた。

「アン……」

彼は慌てて立ち上がり、居心地が悪そうに言った。

「いつ来るか分からなくて、ずっと待ってたんだ。会えてよかった」

そう言って、彼は機嫌を取るように笑った。

「ニュース、見てくれたか?」

私は手元の受付票に目を落としたまま、冷たく返した。

「それが何か?」

「お前を傷つけるつもりじゃなかったんだ」

彼はすがるように一歩近づいてきた。

「これだけで許されるとは思ってない。でも、俺がどれだけ償いたいか、その決意を知ってほしい。
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