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第121話

Author: みそ煮
last update publish date: 2026-09-15 11:54:53

翌日の朝、由利は薄井家で義理の両親――そして涼介と四人で食卓を囲んでいた。テーブルの上には、豪華な食事が並べられている。

もちろん、全て薄井夫人の手作りだ。

「今日で夏目家に帰っちゃうだなんて……とっても寂しくなるわね」

「短い間ですが、お世話になりました。お義母さん」

当然、由利もできることならずっとここで暮らしたかった。しかし、そんな彼女の願いは認められない。両親は由利を毛嫌いしているが、なぜか家を空けることは極度に嫌った。

(母さんからしたら、家事を手伝う人がいなくなるのが困るのよね……)

そんな理由で家にいることを望まれているとは、何とも切ない。スクランブルエッグを口に運んでいた由利に、夫人が何かを思いついた様子で声をかけた。

「そうだ、由利ちゃんに渡したいものがあるのよ。朝食が終わったら、私の部屋に来てくれるかしら?」

「渡したいもの……ですか?」

***

朝食後、由利は約束通り夫人の部屋を訪れた。彼女が与えられた部屋と同じくらいの広さで、室内には夫人の趣味であろうアンティーク調の家具が設置されていた。

まるで異世界ファンタジー漫画に出てくるヨーロッパの貴族の部屋のようで、
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    翌日の朝、由利は薄井家で義理の両親――そして涼介と四人で食卓を囲んでいた。テーブルの上には、豪華な食事が並べられている。もちろん、全て薄井夫人の手作りだ。「今日で夏目家に帰っちゃうだなんて……とっても寂しくなるわね」「短い間ですが、お世話になりました。お義母さん」当然、由利もできることならずっとここで暮らしたかった。しかし、そんな彼女の願いは認められない。両親は由利を毛嫌いしているが、なぜか家を空けることは極度に嫌った。(母さんからしたら、家事を手伝う人がいなくなるのが困るのよね……)そんな理由で家にいることを望まれているとは、何とも切ない。スクランブルエッグを口に運んでいた由利に、夫人が何かを思いついた様子で声をかけた。「そうだ、由利ちゃんに渡したいものがあるのよ。朝食が終わったら、私の部屋に来てくれるかしら?」「渡したいもの……ですか?」***朝食後、由利は約束通り夫人の部屋を訪れた。彼女が与えられた部屋と同じくらいの広さで、室内には夫人の趣味であろうアンティーク調の家具が設置されていた。まるで異世界ファンタジー漫画に出てくるヨーロッパの貴族の部屋のようで、何だか胸が躍る。「夫人……渡したいものって一体……?」「うふふ、それはね……」薄井夫人はニッコリ笑うと、クローゼットからあるものを取り出した。箱の大きさや形から察するに、おそらくそれは指輪だろう。夫人は由利の前に箱を出すと、中身を彼女に見せるように開けた。開けた瞬間、由利は中に入っていたそれに目を奪われた。「わぁ、とっても綺麗……!」箱から姿を現わしたのは、大きなダイヤモンドをあしらった指輪だった。シルバーのリングの中央に、ペアシェイプのダイヤモンドが豪華に飾られている。「かなり前に買ったものなんだけどね……将来息子の妻になった人にあげたいと思ってずっと取っておいていたのよ」「これを私にですか……?」碧斗から貰った婚約指輪も、ここまでの大きさではなかった。というか、こんな大きなダイヤの指輪を着けてる人なんてほとんど見ない。「ええ、ぜひ受け取ってちょうだい」「ありがとうございます、夫人」夫人は由利の右手を取ると、人差し指にそっと指輪をはめた。ダイヤモンドが大きすぎるせいか、指にズッシリとした重みを感じる。(すごく綺麗……)人差し指でキラキラ白い光を放つダイヤモ

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    いつもより重い空気の夏目家に対し、由利のいる薄井家では。薄井社長夫妻と由利が三人で夕食を摂っていた。料理好きな社長夫人が、由利のためにこれでもかというほど豪勢な手料理を特別に振舞ったのである。「由利ちゃん、とっても美味しいわよ。あなたもどう?」「ありがとうございます。いただきます」夫人お手製のローストビーフを一口食べた由利は、思わず顔を綻ばせた。実母の淳子はあまり料理が得意な人ではなく、由利は失敗作を食べさせられることも多くあった。「とっても美味しいです、お義母さん」「あら、由利ちゃんにそう言ってもらえるだなんてとっても嬉しいわ」夫人は感激したとでもいうかのように笑みを浮かべて喜んだ。由利は斜め右前にいる社長に視線を移した。「お義父さんも、今日は私のために時間を取ってくださってありがとうございます」「何を言っているんだ。可愛い義娘が久しぶりにウチに来ているんだ。当然のことだろう」「可愛い義娘だなんて……光栄です」実の両親にも言われたことがない言葉だった。当然だ、淳子と洋介は由利を可愛いだなんて思ったことは一度もないだろう。(何だかここにいると、時間を忘れてしまいそう……)辛く苦しいだけの夏目家とは違い、薄井家は由利にとって居心地の良い場所だった。できることならずっとここに住みたいとさえ思い始めてしまう。そして何より、ここには”彼”もいる。「――父さん、母さん、ただいま」「あら、涼介。遅かったわね」ちょうど家に帰ってきたのは、仕事を終えた涼介だった。由利は立ち上がり、彼の前に立った。「おかえりなさい、涼介兄さん」「……ただいま、由利」由利の姿を見た彼の口角が自然に上がった。初々しい二人の姿は、まるで新婚夫婦のようだった。「あら、まぁ、涼介ったら」おそらく薄井夫妻も、長男の気持ちに気付いているだろう。しかし、表立って応援することはできない。由利は次男の妻だったから。二人はそのような複雑な気持ちを抱えながら、二人を見ていた。今まで全くと言っていいほど女の影がなかった涼介の恋を後押ししたい気持ちがないこともないが、離れて暮らす次男碧斗のことがやはり気にかかる。碧斗が由利に対して不誠実な行いをしていることは、彼らも知っていた。時々電話をかけて叱ってはいるものの、彼は紫苑の身体が心配なだけだと聞く耳を持たないし、態度を改めよう

  • 愛人の死に耐えられなかった夫、お前が死ねばよかったのにと言い残し自死ー妻は回帰したー   第7話

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  • 愛人の死に耐えられなかった夫、お前が死ねばよかったのにと言い残し自死ー妻は回帰したー   第4話

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