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第172話

Author: 森の小鹿
この5年で、充と奈緒は夫婦という枠組みを超え、血肉を分け合う存在になっていた。無理やり引き剥がそうとすれば、すべてが切り刻まれてしまうような苦しみを伴うはずだ。

昼間は平静を装えても、深夜という時間には、人の弱さが露わになる。

向かい合って座る充の姿は、以前と何ら変わりないし、彼が差し出す腕も昔のまま。

充から漂うウッディ系の香りが、優しく絡みつく網のように奈緒を包み込んだ。

ほんの少し歩み寄れば、以前のように充の胸の中で呼吸を合わせ、二人で同じ朝を迎える日々に戻れるのかもしれない。

しばらくの間、黙っていた奈緒だったが、その瞳から鋭さが少しだけ消えていった。

「奈緒、おいで」

充の低い声は、あふれんばかりの情愛を含み、まるで魔法の呪文のように耳に溶けていく。

奈緒が抵抗する間もなく、充は力強く奈緒を抱き上げると、再びベッドへと連れ戻した。

そして布団を引き上げ、二人を毛布の中へと閉じ込める。

「俺のことを、少しは可哀想に思ってくれよ。この2ヶ月、ろくに眠れていないんだ。

俺が睡眠にこだわりがあるって、お前も知ってるだろ?これ以上こんな状態が続いたら、本当にこのま
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hime kichi
気持ちが揺れてまた、引き戻されるの繰り返し。1回気持ち切れたら普通戻らんと思うけど。
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