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last update Last Updated: 2025-08-19 06:00:55
「ありがとう。でも、期待させてしまうのも悪いから、待たないで」

「大丈夫です。僕のことは気にしないでください」

 気にするなって言われても…。

 どう話をしようかと思っていたら、遅れていた亜由美がやってきた。

「お疲れさまー! 遅くなってごめーん」

 亜由美がバタバタと入ってきた。明るい笑顔で手を振りながら、席に着く。

「全然大丈夫だよ。お疲れ様」

「坂下君もお疲れ様! もう注文した?」

 坂下君は少し困ったような表情をしていたが、すぐに笑顔を作った。

「まだです。メニューを見ていたところで」

 亜由美が来てからは、場の雰囲気が一気に明るくなった。彼女のおかげで、さっきまでの重い空気が和らいだ。

「じゃあ、とりあえず乾杯しよう! ひかり、今日は飲める?」

「うん、少しなら」

 生ビールで乾杯し、料理を注文した。亜由美がいると会話が弾む。仕事の話、最近見たドラマの話、芸能人のゴシップまで。坂下君も徐々にリラックスしてきたようで、笑顔を見せるようになった。

 でも、時々彼が私を見つめているのに気づく。さっきの告白のことを考えているのかもしれない。申しわけない気持ちが込み上げてくる。

「あ、そういえば、ひかり。なにかいいことでもあった?」

 亜由美の質問に、心臓が跳ねた。

「そ、そんなことないよ」

「でも昨日から明らかに雰囲気変わってる。なんか、生き生きしてる感じ?」

 やばい。亜由美の観察力は鋭すぎる。

「離婚が成立してすっきりしたのかも」冷汗が出た。

「それもあるけどさー。もしかして新しい恋人でもできた?」

 ぎくっ。

 恋人じゃなくて夫だけど…!

「そんなことないって! 離婚したばかりだよ? なに言ってんの!」

「でも、ひかりってモテるからなー」

 坂下君がちらりと私を見た。きっと彼の告白を知ったら、亜由美はもっと騒ぐだろう。

「本当になにもないから。しばらくは一人でいたいし」

「そう言いながら、結婚願望は強いよね。すぐに次の人見つけそう」

 見つけるどころか、もう見つけてしまった。しかも昨日の今日で。

「もうしばらく結婚なんて考えられないよ」

「まあ、そりゃそうか。あの元ダンナ、最低だったもんね」

 亜由美がため息をついた。

 そんな会話をしているうちに、8時半を過ぎた。私は時計を見て、そろそろ帰らなければと思った。蓮司のことが心配で仕方がない。

「あ、ごめん。
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