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第16話

Auteur: 長月
美月はまだ手術が終わっていないうちに、隆司のもとへはすでに凛の所在に関する知らせが届いていた。

彼は萩原グループの動向を長らく注視しており、この二日間は内部情報が錯綜していた。

萩原グループは間もなく全資産を海外へ移転するらしい。

隆司は、凛の部下であり、彼らにとって旧友でもある江口誠(えぐち まこと)を訪ねた。

隆司の顔には深い後悔の色が刻まれ、凛の行方さえ知ることができるなら土下座する覚悟すら滲んでいた。

「頼む、凛がどこにいるか教えてくれ。俺も、翔太も、もう凛なしでは生きていけない。

わかってる……あの時、俺が凛を悲しませ、傷つけた。それでも、俺たちの絆は簡単に断ち切れるものじゃないんだ」

誠は葛藤をにじませ、伝えるべきかどうか決めかねていた。

しかし、同じ男としての同情が勝り、彼はついに真実を明かす決心をする。

「俺たちも上の指示に従うしかないんだ。凛さんは、おそらく海外にいる。どうしても探したいなら、今回俺たちと一緒に行くといい。

俺もあなたたちの結婚式に出席したんだ。今の二人を見るのは……正直、つらいよ」

知らせを聞いた隆司は、子どものように顔を輝かせ、深々と礼を述べた。

急いで会社を飛び出し、ほどなく空港へ到着する。

空港には、かつての同僚たちが待ち構えており、事情を聞くなり口々に引き止めた。

「凛さんは死を偽装してまでお前から離れたんだぞ。どうしてまた追いかける?

そんなことより、美月ちゃんにもっと優しくしてやれよ。あの子は本当にいい子だ。

二人同時に裏切るなんてできるわけないだろ」

同僚たちは必死に説得を試みたが、隆司は狂気じみた固執を見せた。

目は真っ赤に充血し、何日もまともに眠っていないのが一目でわかる。

隆司は胸元を押さえ、息を荒げ、今にも暴れ出しかねない勢いだった。

同僚たちは互いに顔を見合わせ、誰もその場を動こうとしない。

その時、不意に空港の大型ビジョンに凛の広告が映し出された。

生き生きとした凛の姿が現れた瞬間、隆司は呆然と口を開け、言葉を失った。

胸の鼓動を抑えきれず、人混みをかき分けて飛行機へと乗り込んだ。

同じ頃、凛のもとにも隆司の動向が伝えられていた。

長く隠し通せるとは思っていなかったが、まさかこれほど早くその時が訪れるとは。

凛は病院での仕事をひと通り片付けたあと、会社に
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