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真希の挑発

Author: 雫石しま
last update publish date: 2026-04-18 11:25:37

その夜も、私は特別個室のドアをほんの数センチだけ開け、息を殺して中を覗いていた。

前回とは違う日だった。

陸斗は私たちのマンションにほとんど帰って来ない。

来ても、着替えを持ってタクシーに乗り込む。

真希の容態が少し悪化したと言って、陸斗がまた泊まり込んでいた夜。

私はもう、ただ見ているだけではいられなかった。

スマホを片手に、静かに録画ボタンを押した。

画面に映る二人の姿を、しっかり記録する。

音声も、息遣いも、すべて。

陸斗は真希のベッドの横に座り、彼女の細い手を両手で包み込んでいた。

白衣の袖が乱れ、疲れきった顔に深い影が落ちている。

「真希……今日の検査結果、思ったより悪かった。

呼吸筋の低下が止まらない。余命のカウントが、確実に減っている……」

陸斗の声は掠れ、医師としての冷静さを失っていた。

真希は弱々しく微笑み、陸斗の頰に自分の冷たい掌を当てた。

「大丈夫よ、陸斗くん。

あなたがそばにいてくれるだけで、私は生きていける。

私を、もっと近くに感じて……」

真希の細い腕が陸斗の首に絡みつき、ゆっくりと引き寄せる。

二人の唇が重なり、静かなキスが始まった。

前回より深く、熱を
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