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第6話

Auteur: ハッピーハンター
冷たい鉄の錠が下され、佳奈は外の世界から切り離された。

閉じ込められた部屋に窓はなく、天井の真ん中にある裸電球が唯一の明かりだった。

仁の命令により、電球は24時間つけっぱなし。決して消すな、と言われていた。

眠気に襲われるたびに、頭上のまぶしい光で意識が朦朧とする。

時々、ドアの外から見張り番がドアを蹴る。「起きろ!社長の命令だ!寝るな!」

無理やり目を開けて、目の前で揺れる真っ白な光を見つめていると、幻覚さえ見えてきそうだった。

部屋にはカビ臭い匂いも充満している。食べ物も水もなく、おまけに72時間も眠らせてもっていない。そんな佳奈は、骨と皮ばかりに痩せ細っていた。

意識が遠のきかけたその時、見慣れた人影が佳奈に話しかける。

「佳奈、俺は今までお前を甘やかしすぎてたようだ。どうだ?少しは反省したか?」

逆光の中に立つ仁の、非の打ち所のないスーツ姿。それに引き換え、地面に転がる自分は、まるで泥の塊のようだ。

佳奈は必死に首を横に振る。声がひどく掠れ上手く言葉にならない。「私は間違ってなんか……ない……」

仁の目が険しくなる。骨が砕けるのではないかというほどの力で、佳奈の顎を掴んだ。「まだ言い返すか?」

佳奈は顔を上げたかった。でも、頭が鉛のように重くて、どうしても持ち上げることができない。

佳奈が唇の端をゆがめると、そこから血がじわりとにじみ出る。

自分は間違ったことなんか一度もしていない。

それに、あの女を庇っているんだから、今更自分にこんなことを聞いて何になるというのだ。

「私が犯した間違いは、たったひとつだけ……

それは、岩崎をもっと早くに殺さなかったこと!」

佳奈はか細い息で、そう唇を震わせる。

しかし、この一言でその場の空気が凍りついた。

仁は眉をひそめ、目の奥の影を一層深くさせる。

「反省のかけらもないみたいだな」彼はそう吐き捨てて背を向けた。「このまま閉じ込めておけ!」

鉄の扉が閉ざされ、部屋は再び地獄となった。

佳奈は糸が切れたように床に倒れ込む。汗と血で体がべとべとになり、不快だった。

まぶたが勝手に下りてくる。このまま、永遠に眠ってしまいたい……

しかし、すぐに隣の部屋から聞こえてきた女の甘い声で、彼女は目を覚ます。

「んっ――」

若葉が甘えた声で笑っている。「仁、隣に聞こえちゃう……」

「好きに聞かせておけ」

かすれてた仁のその声は、欲情を隠そうともしていなかった。

女の甘い声一つ一つが佳奈の耳に突き刺さる。

彼女は強く拳を握りしめた。手のひらに爪を食い込ませ、痛みでなんとか意識を保とうとする。

カチャリ――

その時、ドアの鍵がかすかに音を立てた。

誰かが静かに入ってきて、さっと佳奈の後ろに姿を隠した。

「誰?!」佳奈は警戒しながらあたりを見回す。

「しーっ、佳奈さん。俺だよ!」

その聞き覚えのある声に、佳奈ははっとした――

かつての相棒、中村正人(なかむら まさと)だった。

虫の息の佳奈を見て、正人は思わず目頭を熱くさせた。

「佳奈さん、組織はあなたからの緊急信号を受けてから、すぐに救出作戦を立ててくれたんだけど……一歩遅かったみたいだね……」

そう言いながら、彼はまるで壊れやすい蝶に触れるかのように、慎重にロープをほどいていく。

懐かしい顔に、佳奈も興奮を隠しきれない。「あなたなの?本当によかった。それと、兄の情報は何かあった?」

正人はうなずき、真剣な表情で言った。「ああ、見つかった。今、組織が救出の準備を進めているところだよ」

佳奈の目がぱっと輝く。「本当に?」

「間違いない」そう言いながら、正人は懐から一枚の写真を取り出した。「松尾グループが密輸品用に使っている港に移されるのを、情報屋が見たそうだ」

彼は立ち上がろうとする佳奈を支え、なだめるように続ける。「お兄さんの救出は俺がやるから、手に入れた鍵を俺にくれないか?あなたは先に逃げて!」

佳奈は首を横に振り、きっぱりと言い切る。「嫌、私も一緒に行く!」

「あなたは……」

彼女の決意が固いのを見て、正人はため息をつく。「わかった。じゃあ、まずはここから撤退だ!」

部屋の外では、数人のボディーガードが気を失って倒れていた。

正人は佳奈の手を引き、地下室の裏口から素早く外へ出た。

外には黒いSUVが一台停まっており、すでにエンジンがかかっている。

「乗れ!」

次の瞬間、SUVは矢のように飛び出し、砂埃を巻き上げながら走り去っていった。
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