LOGIN奴隷の中の一人の少女の鑑定を行ってみる。その鑑定の中身には驚くべき一つのスキルと一つの称号が書かれていた。
「ケンセイ」
「イセカイテンイシャノシソン」片方は剣聖、もしくは拳聖、後は健聖という可能性もあるが、あまり健康そうには見えないので最後のはありえないだろう。どちらにせよ何かしら強そうなイメージが与えられる。問題はもう一つのほうだ。
異世界転移者の子孫。これはあれだろうか。俺以外の異世界転移者がこの世界に過去に存在していて、その転移者が残していった種が畑に植えられて、実った結果、ということなのだろう。おそらくはこの子は借金奴隷なんだろうな。母親が食うに困って売った、というところだろう。
同じ異世界転移者として気になるな。しかし、俺が助けたところでどうにかなるものなのか。俺だってあと319日たてば自分の世界に帰るのだ。そこまで責任を取れと言われても難しいし、しかし、これを見逃すのも……同じ有休消化者として、それはもっと難しい。
檻に近づいてその子をじっと見る。俺を見返すその子の目は深く沈んでいて、悲しみをたたえるだけになっていた。どれだけの間この子は奴隷として過ごしてきたのだろう。そして、いったいどれだけの間、この子に銀貨一枚の価値すら見出さず、普通の奴隷として売ろうとしてきたのだろう。
ほんの銀貨1枚。それだけの費用をかけるだけで、この子は剣聖か拳聖としての素質を見込まれて、より高い金額で販売されている可能性もあったわけだ。逆に言えば、それだけ期待をかける奴隷商がいたならば彼女は俺の前に現れることはなかったということでもあるな。そして異世界転移者である俺でなければ、彼女の価値を見出すこともなかったということになる。
これは、買えといわれているのと同じではないか。こんなイベントまで用意されているのだとしたら、神崎さんは趣味が悪いが、確かに異世界あるあるではないか。彼女を購入するためにはどうすればいいんだろう。
「なあ、こいつらはいつ売りに出されるんだ? 」
「明日の朝には。今は見せの時間だ。どうしても欲しけりゃ明日の朝一で店に来な。そうすりゃせめて人に見せられる服装をさせて店先に並べてやる」
「……そうか」
奴隷の前に立つ男と短い会話を挟んだ後、その場を去る。今ここで俺ができることはこれ以上何もないし、明日だというなら明日まで待とう。今できることはもうやったのだ。
「タカナシさん、奴隷買うんですか? 」
「ちょっと興味のある奴隷を見つけたんだ。鑑定でね」
「そうですか……でも、忘れないでくださいね。時間が来たらタカナシさんは帰ってしまう人なのです。だからこっちに心残りがあっても迎えに来ることはできない。それを忘れないでください」
「その心残りを救い上げるために俺に鑑定の能力が付与されているのだとしたら俺のやってることは、多分人として間違ってないと思うんだ。だから大丈夫、まーかせて」
さて、本来の仕事に戻るか。冒険者ギルドで仕事を探すんだったな。再び中央広場に戻ってきて、南東側の剣と盾の看板が掲げられた中に入る。どうやら昼間からギルド内で飲酒に及んでいる冒険者もいるらしい。酒場も兼ねてる、というより、酒場の機能を後から持ってきた、という具合らしい。料理こそ出ないが、酒だけは並べてある、という様子が見て取れる。
カウンターではなく掲示板のほうへ行く。こっちには常設依頼がずらりと並ぶ。薬草採取、モンスター討伐、迷子の猫探し……大体想像するものは何でもあるな。
「とりあえず、薬草採取と行くか。薬草はどれだけあってもこまらないだろうしな。初日の利益は気にせず、やれることをやって費用対効果は後で考える。まずは慣れることが大事だな」
「ねえタカナシさん、本当に働くんですか? お休み中なんですよね? 」
「ああ、だから副業ってことになるな。俺は副業冒険者ということになる。本業はお休み中だ」
「うーん、会話がかみ合ってない気がします。でもまあ、今日はお付き合いするので問題なく戦えるように装備を整えてから行きましょう? 私も家へ一回戻って冒険用の装備で来ます」
イアンちゃんは案内人だけあって、冒険用の装備も整えて行けるらしい。俺のほうは……何もないな。せめて薬草採取なんだから、草刈り用の鎌ぐらいは欲しいところだ。
ホルム草:一束銅貨8枚
ハププ草:一束銅貨15枚 三日月草:一束銀貨1枚 満月草:一束銀貨5枚薬草にもいろいろ種類があるらしい。一束がどのぐらいの規模かわからないのでカウンターで聞くことにするか。とりあえずこの四種類がこの近くでは取れるらしい。なんとなくだが、三日月草と満月草は夜じゃないと取れないような雰囲気がするな。三日月の頃にだけ光り輝く草、とかで。
カウンターで一束の基準について聞くと、パスタ一人前ぐらいが一束の基準らしい。ちなみに三日月草と満月草は束とは書いてあるもの、花とセットで一輪でこの価格らしい。よほど貴重な薬草なんだろうな。
「よし、大体覚えた。後はなんとかなるだろ」
「じゃあ私、装備をそろえてから来ますので……そうですね、30分後に南門前でいいですか? 薬草採取に行くなら南門側のほうがたくさん生えているんですよ」
「わかった。迷子にならないように頑張って向かう」
一旦イアンちゃんと別れて、さて……せめてモンスターに襲われても問題ないように、武器だけはしっかり持っていきたいところだな。初日だからそれなりの出費が多いが、服を売ったお金でも工面するには十分だろう。いきなり群れのモンスターを倒しに行くわけでもないんだしな。
カウンターでお勧めの中古の武器屋を教えてもらうと、30分の約束の時間に遅れない程度の距離にあるギルドおすすめの武器屋に到着する。
「……中古か? 」
俺の面を見て、一言だけ質問してくる店主。
「ああ、薬草採取で身を守れるだけのものがあればいい」
「なら、その立てかけてある奴から体に合うのを選びな。どれも値段は同じだ」
傘立てみたいなところに放り込んである武器類から、取り回しの良さそうなショートソードを選ぶと、握りの合うものを更に厳選して銀貨5枚を払う。鞘はセットではないのでアイテムボックスに放りこんでおくことにしよう。どうせ出すときはアイテムボックスから出すんだろうし、裸で腰に差してて自分を刺しても困るからな。
side:アザーワールド社 イアンから提供されたアンケートはその日のうちに会議にかけられ、アザーワールド社内でも問題となった。即座に銀行口座に対して照会がされ、小鳥遊が金銭を稼ぎ副業として立派に稼いでいることと、その金額が十分に大きいことがクローズアップされ、話は更にややこしくなった。「ふむ、では小鳥遊氏は満喫していることは確かなのだな? 」「それは間違いないでしょう。ただ、休みに行ってるというよりは出稼ぎついでに休んでいる、という形になっている可能性が大きいと考えられます。本人満足度が非常に高いのが返って不思議なのですが」「有休を320日も溜める男なんだ、普通に休んでいる感覚で仕事をしているのか、もしくは仕事と私生活が不可分な御仁なのかもしれないな」 社内ではそれぞれ会議内で意見が出され合い、この事態をどうするかについての協議がなされた。小鳥遊が稼いできた金額は二十日で彼の平均賃金のおよそ三カ月分以上。 有給休暇中にこれだけの資金を稼ぐのは明らかに副業である、という判断ができるだけの金額になっているため、厚生労働省に問い合わせるまでもなく、彼の有給休暇時間は再考の上で延長される可能性は高いとみられている。「10日のうち、真面目に休んでいるのは2日だけ、ということか」「おそらくは、現地で生活するための資金を稼いで、その余裕を貯蓄の形で回したのだと思いますが、何をしたかまでは今回アンケートの内容に含まれていないため、抜け落ちや不足があるものだと思われます」「神崎君、現地監視員からの詳細報告を求めることはできるかね? 」 上司からそう質問された神崎は、正直に答える。「今回のアンケート結果について、場合によっては有給休暇の延長が認められる可能性がある、という話については既に小鳥遊さんも知っている、ということですので、それを前提としたアンケートを再度行って、正式な事実として積み上げることは可能ですが、この様子ですと、ここ19日の有給休暇、そして18日間の異世界行きの時間に対して、比率換算すると4日しか休んでいない、という計算に行き当たります」「ふむ…&hellip
メリーさんのところへ行き、次の10日分の宿泊代金である大銀貨1枚を払う。「順調に稼いでるようで何よりだねえ。その調子でいつも通り長く居てくれると嬉しいね」 メリーさんがそろそろ更新日付だということを覚えていてくれたので、次の区切り日までの延長ということになった。メリーさんとしても、親父さんとしても、マヨを安く仕入れることができるということでメリットはあるはずだ。「あと、桶をいくつか借りるね。ちょっと今日は全身ピカピカにしてみたいもんで」「今の時間ならいいさね。お湯を沸かす時間までに帰してくれれば自由に使ってくれていいよ」 許可を得たので、井戸で水を汲んで部屋に持ち込み、部屋の中で火魔法でぬるい湯にまで温度を高める。気持ちいい温度になったところで、服を脱いで全身に水をなじませた後、石鹸で体を洗い始める。「うん、ちょっとビリッとくるが、このぐらいは許容範囲かな。レンモの香りもするし、泡立たないのはそれだけ体が汚れてるってことだろう。スポンジみたいなものがあればより良かったかもしれないな」「すぽんじ……とはなんですか? 」 スポンジを知らないのは当たり前か。ここの周辺には海もないし、海綿も珍しいものになるだろうから説明が難しいか。「泡を立てるのに便利なもの……かな。石鹸を泡立ててから体を磨いたほうが効率的に体を綺麗にできるんだがな。手ぬぐいより便利なものが今のところ手持ちにないから、諦めておくしかないかな」「ぬるぬるしますが、このぬるぬるが大事なんですよね? 」「ちゃんと水で溶いて、泡立ちを……と言いたいが、俺もセルフィも体がそれなりに汚れてるから泡立たないのかもしれないな。毎日定期的に綺麗にしてると、泡が立ってなかなかに気持ちいいんだが」「むぅ、そうですか。じゃあせめて全身綺麗に洗って、その後洗い流してレンモの香りがするようにしましょう」「それだけできれば十分かな。さて、そろそろ洗い流すか……って、桶を複数個借りてて正解だったな。垢で桶の中が凄いこ
どうやら、俺がゴブリンの耳を査定にかけた段階で第一報はフェリクスさんに伝わっていたらしい。そして、査定とカウンターで報酬の支払いと相談をしているうちに情報が伝わって、あらかじめ事前情報を共有。そこまではできているらしい。仕事が早いな。「えっと……このあたりで一匹、その後このあたりでもう一匹、それからここで一匹、この時点で戻ったのでこの先は不明ですね」「なるほど。つまり、この間には巣がある可能性は低い、というわけですね」 俺が通ったルートをたどり、フェリクスさんが書類の上に魔石を置いて場所を絞り込んでいく。「セルフィが一緒に居るので、もし巣に誘い込んで俺を引き離して襲おうとしていた場合、もっと早く仕掛けてくる可能性があったはずです。なのでここまでは安全ゾーンであると考えます」 アライ草を採りに行っていた範囲を丸っと安全圏ではないか? と判断する。巣があるとしたらその先の可能性が高いだろうと意見を具申する。「確かにそうですね。だとするとこの先にあるかどうか、探しながら行かなくてはなりませんね。本来ここにはゴブリンは生息していないんですよ。仮に住み着いたとしても、街に近すぎますので、駆除対象にしなくてはいけません。これがもっと遠くや、薬草群生地の近くでなければ問題はなかったのですが」 ゴブリンの発生場所について詳しく教えてくれている。今後も似たような場所にゴブリンが出た場合には参考にしろ、ということなのだろう。フェリクスさんのほうをちらっと見やると、こくりと頷く。そういうこと、ということなのだろうな。「一つ質問があります」 早めに聞いておこう。この後数日かけての作業になる可能性もあるからな。「なんでしょうか」「ゴブリンの巣の特定が必要になった場合、我々も特定のためにギルドの指示を仰がなければならないのでしょうか? 」「そうですね、手伝いをしてくれるなら一番ありがたい、というのが正直なところですね。やはり一度現地を知っている人物が追い込みや索敵、追跡をしてくれるほうがありがたいのが確かです」 こっちは初めて出かけた場所だから詳しくない
カウンターへ行く前に、今度はモンスターの査定を行う。ゴブリン二匹分だけだが、金になるならこれもちゃんとした収入。それに、あんまりアイテムボックスに入れておきたいものでもない。 査定カウンターにゴブリンの耳を持っていき、渡す。「ゴブリンの耳ですね……これをどこで? 」 査定嬢の目がぎらつく。ゴブリンがすぐそばに繁殖しているというなら大ごとだろうし、そうでなくても街の近くにいたという話だけでも大事なことだろう。「西門から南西に30分ほど行ったところでゴブリンが最低3匹はいることは確認しています。その内の2匹の分ですね」「残りの1匹はどうされたんですか? 」「こちらを警戒して罠を張ってる可能性があったので、下手に会敵したり戦闘をしないうちに撤退してきました。できるだけ警戒して帰ってきましたが、付いてくる様子はなかったので気づかれなかった可能性のほうが高いですね」「なるほど。その話、帰ってきてから誰かにしましたか? 」 査定嬢が更に確認を重ねてくる。報告はしたか、ということだろう。「ここで話しているのが最初です。誰に報告したらいいのかもわからない新人なので、専門の部署があるならそこへ相談しに行くのですが」「わかりました……と、カウンターで支払いを受ける際にこれをついでに渡してください。担当部署への引継ぎのサインになります。細かいお話はそちらでお願いします」 査定嬢からは耳二つ分の査定金額が記された査定結果書をもらう。 ゴブリン 2 どうやら、シールドゴブリンと普通のゴブリンに差はないらしい。いくらになるかは受け取るまで分からないってところだな。まあ、ダンジョンのモンスターより安いということはないだろう。 カウンターへ行って薬草の査定結果を渡す。カウンターでは薬草査定結果を確認して、銀貨7枚と大銅貨1枚を渡される。これで今日の稼ぎは銀貨9枚と大銅貨1枚となった。最近の稼ぎからすれば多くはないが、7日分の宿泊代金と考えれば安いものだ。 ゴブリンの左耳はどうやら一匹当たり銅貨5枚と
ここまでで出てきたゴブリンは二匹。そもそも偶然ゴブリンが出現した、という可能性はまだ否定できない。初心者冒険者がゴブリン二匹と出会ったからと言ってそれを元に巣ができたかもしれない、と引き返してくるのはありがちかもしれない。 だからといって、このまま次のゴブリンを探して彷徨ってる間にゴブリンの計略にはまって囲まれて……という可能性もある。ここは深追いせずに、薬草採取のついでにゴブリンを探す、という方向を続けているほうが良いな。 もうちょっと街に近い位置にまで戻ってアライ草を探す。そして、そこでゴブリンがもう一匹出てきたら、これはゴブリンが街の近くで繁殖している可能性が高い、と冒険者ギルドに報告する流れのほうが良いだろう。 こっちは二人しかいないんだ、集団戦に持ち込まれたらあっという間にのされてしまうだろう。いくら剣聖だとしても、ゴブリンが十数匹、数十匹と現れてくるような状況では限界もある。まだ剣聖としてのレベルが高いとは言えないセルフィでは手に余るだろう。 そして、ゴブリンによって攫われてあーんなことやこーんなことに……うむ、許せん。ゴブリンはすべて殲滅しなければならないな。そのためにはきちんとした手順を踏まないといけない。 俺とセルフィの力をもってすればゴブリンなどたかが低級モンスター……と言い切れるほど腕に自信があるわけでもない。世の中の流れや手順、ルールにはできるだけ従うべきである。 もしも、ここで討伐をしなかったり巣を放置したせいで少なからず損害が出るんだとしても、街の西側なら何もないし、あえて言うなら採石場があるのみ。 ゴブリンが石に興味を示すとは思えないので、ゴブリンがより繁殖してから襲ってくるか、通りかかる民衆を襲うのがせいぜいだろう。 その前に短期決戦でゴブリン退治をする、というほうが期待に応えることができるだろう。その為には報連相、無理に自分たちだけで解決しようとせず、冒険者ギルドに報告する。 そして、俺たちより使える安全なパーティーが偵察を行い、ゴブリンの巣を発見して駆除の流れをきちんと作ってもらうほうが大切だ。
西門にたどり着き、外に出る。出るときに衛兵がいつも通り話しかけてきた。「冒険者が西門に用事があるのか? 」「薬草を採りに行くんですよ。西門からのほうが近くて」「そうか、夜の鐘には遅れないようにな」 納得したらしく、そのまま見送ってくれた。ちゃんと仕事をしていてえらい。そのまま西門から南西方向に道を外れて、採石場とは道を挟んで反対側に行く。 まだ採石場として稼働していないが、今稼働している採石場から石を取り切ったら、こっち側が今度は採石場になるんだろうな、というようなイメージの岩場を歩く。道はないので適当に岩に昇って……そして、岩陰にこっそりと生えている草を鑑定する。 草からは「僕アライ草です、こんにちは。良く育ってます」と返事が返ってきた。アライ草はこんなに近くでも取れてくれるのか。ただ、鑑定で調べる感じ……と、お? 今ので鑑定のレベルが上がったらしい。 範囲鑑定ができるようになって、周辺の地形の中にどんなものがあるのかが遠距離でもわかるようになってきた。ついでに、さっきの鑑定結果のアライ草の返事を見る感じ、状態変化も把握できるようになったらしい。「セルフィ、鑑定のレベルが上がったぞ。これで離れててもどこに薬草が生えてるのかわかるようになった。いちいち近づいて見たり抜いて観察しなくていいのは楽だな」「おめでとうございます。これで楽に稼げますね」「そうだな、しっかり育ったアライ草だけを抜いていくことにしよう。アライ草の育ち具合も見られるようになったからそこも楽になった」「鑑定だけで食べていけるようになったんじゃないですか? これでお休みを増やしてもいい感じになりましたね」 セルフィはニコニコと嬉しそうにしている。お休みが増えるのを楽しみにしているらしい。確かに、自分の自由になるお小遣いも増えたし、お休みに買い食いするとか楽しみたいことはそれなりにあるだろう。「それだと鑑定やってる婆さんの商売敵になっちゃうしな……鑑定で飯を食っていくつもりはないよ。それに、レアなスキルを持っ
コボルトファイターは武器も立派な割に動きのほうがついてこれてない。それが分かっただけでも儲けだ。もし、こちらのほうが確実に早く動けるならば一方的にボコることができるので美味しいモンスターだと言えるだろう。 だが、コボルトスカウトは斥候と名前がついている以上、素早いモンスターである可能性が高い。ナイフも持っているようだし、それだけ危険であるかもしれない。苦手なのはこっちかもしれないな。 しばらくコボルトファイターを倒して三層をうろうろしていると、コボルトと同じぐらいの大きさでナイフを持った、コボルトっぽいものがタタタッと駆け寄ってきた。自然に出てきたので普
教えたがりのおじさんから情報を得て、食事も無事にし終えた。どうやら四層ではコボルトフェンサーやコボルトバーサーカーなど、より戦闘意欲と武器の鋭いモンスターが襲ってくるらしい。とりあえず三層に降りてみて、そこで戦えるかどうかを確認したほうがいいだろうな。「さて……二層の地図も出来上がったし、三層まで行ってみるか」「大丈夫ですか? 三層のモンスターはより強いとさっき聞きました。ご主人様はまだいけますか? 」「二層でも大丈夫だったし、三層もきっと大丈夫だろう。とりあえず行くだけ行ってみて、ダメそうなら戻ればいいさ。今
次のコボルトを探す。探さなくてもその辺にうろうろしているが、この中で一番近いコボルトを探す。できれば同時に三匹以上の集団には出会いたくない。こっちは二人、同時に相手にできるのは二匹が限界だ。 もっとこなれてくれば複数モンスターにも対処できるようになるかもしれないが、こちとら戦闘はまだ三日目なんだ。そこまで手慣れたベテランでもないし、もしかしたら戦闘開始三日目でダンジョンに潜るというのも無謀な話だったのかもしれない。しかし、実際にできてしまっていることを考えたら決して無謀な策ということでもないらしい。 さて、俺の番だ。コボルトは決して大きい体格をしていない
パナメラのダンジョンに入場する。入った先では人が幾人もいて、臨時パーティーの募集やそれぞれの持ち物の確認、今日の探索予定などを確認していたりする。ダンジョンの中で確認していてもいいのかとも考えたが、どうやら第一階層はモンスターが出てこないらしい。さすが初心者向けダンジョン、緩いものだな。 実際に活動するのは一層の途中から、ということらしい。楽しみにしすぎて地図も何も持ってこなかったおかげで、自分で地図を作りながら進まなくちゃならないな。「とりあえず奥へ行くか。この辺はまだ安全というより何も出ないらしい。モンスターが出るところまでまず行こう。戦ってみてから







