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第6話

ねんねん
エレベーターのボタンを何度も押しているあいだも、電話の向こうで茉莉は泣いていた。

「遥那さん、本当に行っちゃったの?私のせい……?

ごめんね、渉。私、また余計なことしちゃった。ミルクレープも、あのドリンクも、買わなければよかった。

もうやだ。私なんて、いないほうがいいのかも……」

茉莉は、いつもグループの中心で笑っているような子だった。

そんな彼女がここまで弱った声を出すのを、渉は聞いたことがなかった。

エレベーターの階数表示が、一階で止まった。

遥那はもう下まで降りたのだ。

今すぐ追えば、まだ間に合うかもしれない。

それなのに、そのとき渉の頭を占めていたのは、電話の向こうで泣き続ける茉莉のことだった。

茉莉が本当に何かしたらどうしよう。

そう思った瞬間、渉は遥那を追うことを諦め、車の鍵を手に取って茉莉の家へ向かった。

茉莉が無事だと分かっても、不安は消えなかった。

結局、夜が明けるまでそばにいた。

帰り際、茉莉が渉の手をつかんだ。

「渉、遥那さん、本当に戻ってこないの?」

渉は一度目を伏せてから、答えた。

「戻ってくるよ。今は意地になってるだけだ。落
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    エレベーターのボタンを何度も押しているあいだも、電話の向こうで茉莉は泣いていた。「遥那さん、本当に行っちゃったの?私のせい……?ごめんね、渉。私、また余計なことしちゃった。ミルクレープも、あのドリンクも、買わなければよかった。もうやだ。私なんて、いないほうがいいのかも……」茉莉は、いつもグループの中心で笑っているような子だった。そんな彼女がここまで弱った声を出すのを、渉は聞いたことがなかった。エレベーターの階数表示が、一階で止まった。遥那はもう下まで降りたのだ。今すぐ追えば、まだ間に合うかもしれない。それなのに、そのとき渉の頭を占めていたのは、電話の向こうで泣き続ける茉莉のことだった。茉莉が本当に何かしたらどうしよう。そう思った瞬間、渉は遥那を追うことを諦め、車の鍵を手に取って茉莉の家へ向かった。茉莉が無事だと分かっても、不安は消えなかった。結局、夜が明けるまでそばにいた。帰り際、茉莉が渉の手をつかんだ。「渉、遥那さん、本当に戻ってこないの?」渉は一度目を伏せてから、答えた。「戻ってくるよ。今は意地になってるだけだ。落ち着けば、きっと帰ってくる」そのときの渉は、本気でそう思っていた。けれど今、テーブルに残されたミルクレープを見ていると、その自信が少しずつ揺らいでいく。もし、本当に戻ってこなかったら。……三日後、雨が降った。渉は朝から窓の外ばかり気にしていた。遥那が帰ってきても、見逃したくなかった。けれど会社から電話が入り、溜まった仕事の件で出社を求められた。仕方なく、渉は隣の部屋の住人に、遥那が戻ったらすぐ連絡してほしいと頼んだ。隣人は不思議そうな顔をした。「喧嘩でもしたんですか?水原さんが帰ってきたら、本人から連絡が来るんじゃないですか?」渉は苦笑した。「ブロックされてるんです」その日、渉は仕事中もずっと落ち着かなかった。何度も隣人にメッセージを送り、そのたびに「まだ帰ってきていません」と返ってくる。窓の外では、雨脚がさらに強くなっていた。遥那は車を運転できない。空港に着いたあと、タクシーがつかまらなかったら。雨の中で、濡れたまま待っていたら。考えれば考えるほど、じっとしていられなくなった。渉は結局、仕事を途中で抜け、

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