Share

第10話

Author: 霧乃吟
征司に振り回されている場合ではない。

今考えるべきことは、自分の力で立ち、玲衣に少しでも不自由のない毎日を送らせることだ。

ちょうどこの日、知之は近くで医療AIのトークイベントに出ていた。

澪はついでに顔を出してみようと思い、近くまで来たところで、知之にメッセージを送った。

しばらくすると、ビルの入口あたりが急に騒がしくなった。

澪が騒ぎのほうへ目を向けると、ちょうど紗耶が大勢の人に囲まれてロビーから出てくるところだった。

紗耶の周りには一斉に記者が集まり、入口前はすぐに人で埋まった。

その光景だけ見れば、彼女こそ今日の主役のように見えた。

紗耶は慣れた様子で微笑み、記者たちに向かって穏やかに声をかけた。

「皆さん、あまり押さないでください。順番にお答えしますので」

そばを行き交う人々の声が、嫌でも耳に入ってくる。

「あの紗耶さん、かなりすごい人らしいよ。まだ二十七なのに、慢性疾患の治療薬開発に関わってるんだって。西洋医学にも漢方にも詳しいなんて、将来どこまで行くんだろうね」

「テレビの取材も年明けまで埋まってるらしいよ。配信に出たときも、きれいだって結構バズっ
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第345話

    いずれ報復されるなんて生易しい話ではないかもしれない。何しろ、自ら敵陣へ足を踏み入れたようなものなのだ。七年間連れ添った元夫である征司が、どこまで冷酷になれるのか。澪は自嘲気味にそう思った。征司と紗耶にしてみれば、澪が悪意を持って邪魔立てしたように映っているだろう。だが、彼らにどう思われようと、今の澪にはどうでもいいことだった。征司はあっという間に澪の歩調に追いつき、前を見たまま、何を考えているのか分からない声で言った。「澪、お前は今、ずいぶん気性が荒いな」夜の中で聞くその声は、ひどく冷ややかだった。そこに皮肉が込められているのかどうかも、澪には分からない。澪は彼の顔を見ようともしなかった。だが、それは紗耶を将来の義理の姉妹だと世間に公表した一件を言っていることくらいは分かっている。「あなたたちの不倫の事実を公にしなかっただけでも、十分優しいことだと思っている。隠してやってるんだから、感謝されてもいいくらいよ」澪の言葉は相変わらず容赦がない。そこでようやく、征司は目を伏せて澪を見た。ちょうど二人は屋敷の入口に着いた。使用人が恭しく歩み寄り、二人のコートを受け取った。今日の食事会には、珍しく多くの顔ぶれがそろっている。前会長の時雄と和幸。まだ出所していない朝斗を除けば、ほとんどの者がそろっている。森宮家のダイニングは広く、いくつものテーブルに分かれる必要などない。澪たちは、当然のように一番奥の大きなテーブルへと案内された。今の澪はもう、以前のように森宮家の年長者たちの顔色をうかがい、気に入られなければ生きていけないような立場ではない。表面上の愛想を振りまく気すら起きない。美佐子たちにひと言声をかけただけで、そのまま席についた。千佳子は不満そうに澪を一瞥した。「自分のためなら、こっちに厄介事を押しつけるのね。澪もなかなか抜け目がないじゃない」澪が紗耶と森宮家の関係をわざと世間にさらし、紗耶と征司が結ばれる道を断ったのだと彼女は考えている。もっとも、紗耶のように一度別の男と縁談がまとまっていた女を、朝斗が妻に迎えたいと思うはずもない。澪は水の入ったグラスを手にしたまま、顔も上げずに答えた。「そうですね。あなたのような方々と関わっているうちに、ストレスで体にひどいしこりが

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第344話

    この鮮やかな一手で、澪は名実ともに勝利を手にした。もともと紗耶は、瑞穂メディカルが今回の件で少なくともここ一か二年は深刻な打撃を引きずり、低迷を余儀なくされるだろうと踏んでいた。おまけに澪の経営手腕はお粗末なものだ。いずれ会社は衰退し、取るに足りない存在に成り下がるはずだった。それなのに今は――頭の中で、ぐわんぐわんと耳鳴りがしているようだ。幼い頃から見下し、貧しい田舎へと追いやったはずの澪に、こうもあっさりと出し抜かれるなど、紗耶のプライドが許すはずもない。その最中、彰人からメッセージが届いた。【一体どういうことだ?】彰人のほうにも、すでにこの話は伝わっていた。紗耶は深く息を吸ってから返信した。【一杯食わされたの。澪さんはかなり私を恨んでる】傍らでそのメッセージを見た薔子は、何かを思案するように口を開いた。「少なくとも、征司の友達はまだあなたの味方よ。蓮さんも彰人さんもついてるじゃない。澪は味方がないんだから。彰人さんたちとは、これからも上手くやっていきなさい。いずれ必ず、あなたの力になってくれるわ」特に藤堂家は、各方面に強い影響力を持ち、千鶴子も控えている。蓮に関しては、彼にとって紗耶が「命の恩人」であるという揺るぎない繋がりがあるため、今は心配する必要はない。ただ、彰人のことになると、薔子は何かを思い出したように一瞬目を泳がせた。それでも、念を押すように強調して言った。「彰人さんとの関係は、きちんと大切にしなさい」今のように森宮家との関係がこじれているときこそ、ほかに安定した後ろ盾が必要になる。紗耶は落ち着かない様子で言った。「彰人さんなら、いつも私のことを気にかけてくれる。でも、藤堂先生はどうも私のことをお気に召さないみたいなの。先生に恩を売れれば手っ取り早いんだけど、私にできることなんて何もないわ。その行方知れずの孫娘でも見つけ出さない限りね」薔子は、ふいに尋ねた。「孫娘?」「藤堂家のお嬢さんが二十数年前に行方不明になったらしいの。この前その話になった時、最高級の翡翠のお守りを持っていたって聞いた。でも、藤堂家の力を使ってさえ見つからない人を、私にどう探せっていうのよ」薔子は眉をひそめ、何か思い当たることがあるのか、探るような声で尋ねた。「そのお守りって……どんなも

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第343話

    澪の「釈明」は、瞬く間に世間に広まった。ゴシップ好きの連中は早くから彼女のSNSをチェックしており、その投稿のスクショは、無数のグループチャットへと次々に拡散されていった。征司もそのスクショを目にし、無意識のうちに澪のアカウントを検索した。だが、画面には何も表示されない。澪はとっくに、彼をブロックしていたからだ。一方、蓮はひどく驚いていた。「澪、どうかしてるんじゃない?あんなことを言ったら、これから征司と紗耶はどうやって結婚するんだよ」実の姉妹でありながら、将来は義理の姉妹にもなる――わざわざそんな複雑な関係性を強調して、わざと二人を困らせるとしか思えない。嫌がらせにしては計算高く、あまりにもえげつないやり方である。当の征司は、澪が投稿した「義理の姉妹」という言葉を、何かを考えるようにじっと見つめていた。やがて、ふと眉を上げてつぶやいた。「瑞穂メディカルは、しばらく忙しくなりそうだ」征司は、瑞穂メディカルの公式アカウントが出した声明も確認していた。澪は姉妹関係を明らかにし、将来的な親族関係にも触れた上で、さらにフェイのことまで引き合いに出している。複数の方向から手を打ち、瑞穂メディカルの危機を解消している。今の瑞穂メディカルは、もう昔とはまるで違う。蓮は、まだ信じられない様子だった。「征司は、澪には紗耶が姉だって説明するだけでいいって言ったんだろ?これじゃ話を広げすぎじゃない?」征司はお酒をひと口飲むと、意外そうな様子もなく、軽い口調で言った。「もともと、あいつは素直に言うことを聞くような女じゃない。少しでも付け入る隙があれば、きっちりやり返してくる」征司が澪に紗耶は姉だと公に説明するよう求めれば、澪はその関係を逆手に取り、別の形で反撃する。蓮は、征司が驚きも怒りも見せないことに戸惑いながら、後を追った。「じゃあ、この件はどうするんだ?紗耶のほうは……」征司は足を止めずに答えた。「なるようになる」スクショは広く拡散され、当然、紗耶のところにも届いた。週末、自宅でくつろいでいた彼女だったが、知人から送られてきたその投稿を目にした瞬間、さっと血の気が引いた。薔子のもとにも、この話はすでに届いていた。いつも麻雀を共にしている裕福な奥様方が、皮肉たっぷりに探りを入れて

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第342話

    伊織は鍋の中に肉をサッとくぐらせると、パンと勢いよく箸を置いた。「征司のやつ、単にあなたを困らせたいだけじゃないの?外に紗耶を澪のお姉さんだって説明しろなんて、それじゃあの女の不倫疑惑を晴らしてあげるようなもんじゃない!」澪はごまだれをかき混ぜながら、上の空で答えた。「征司が、紗耶が悪く言われるのを黙って見ていられるわけないでしょ」「冗談じゃない!夢見ないでよ!」伊織は憤りを隠せない。「森宮家の連中、全員であなたから搾り取るつもり?権力も金もあるような一族なんて碌なもんじゃないわよ。あんな連中と関わってたら、骨の髄までしゃぶり尽くされちゃう!」澪はこめかみを押さえた。「今の私には、弱みを全部あの人たちに握られてる」離婚届受理証明書も、朝比奈家の骨董店も。「じゃあ、このまま紗耶の思惑通りにさせちゃうの!? 不倫の疑いが晴れるだけじゃない。そのうち本当に征司と結婚する話になったとき、世間が事件を忘れた頃を見計らって、実は姉妹じゃないって言えばいいだけの話じゃない。そうなったら、知らん顔で征司と結婚して、いいこと全部持ってかれちゃうよ!」澪は少し考え込んで言った。「……もちろん、あの女の思い通りになんてさせないわ」伊織は箸の先をくわえたまま尋ねた。「何か考えがあるの?」澪は俯いて、肉を一口で頬張った。「明日のことは明日考えるわ」 翌日。澪は自身のSNSアカウントを「公開」に切り替え、一つの文章と画像を投稿した。【もう憶測は不要です。白石紗耶は私の姉です。姉が義弟の会社に勤め、頻繁に出入りしているのは、その大半が業務上の理由によるものです。私たちは姉妹というだけでなく、いずれ親族になる間柄でもあります。紗耶は森宮家の親族と婚約しており、将来は私と征司にとって義理の姉妹にあたる人です】そこに添付されたのは、澪が長年「フェイ」の名義で運用してきた公式メールアドレスの画像だ。そのアドレスの存在は、業界内でも広く知られている。澪はそのアドレスを通じて、正式な声明文を発行した。WAKANナビでは、データベース関連の共同開発を進めており、その窓口は紗耶個人であって、瑞穂メディカルそのものではないこと。そして何より、今後フェイは瑞穂メディカルとの協業関係を最優先に強化していく旨が明確に記されていた。紗耶に

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第341話

    自分の聞き間違いかと思って、澪は一瞬呆然とした。胸の奥を強い力で握りつぶされたような気がして、信じられないという顔で、征司を見上げた。「あなた、本気なの?」その瞬間、彼女は征司の胸を切り開いて、本当に血の通った心臓が入っているのか確かめてやりたい衝動に駆られた。自分と白石家の因縁を、征司はよく知っているはずなのに。征司は澪に答えず、身をかがめて女の子に優しく声をかけた。「あっちでミニケーキを配っているみたいだぞ。一つ食べてきたらどうだ」女の子の目がたちまち輝いた。澪に手を振ると、楽しそうに跳ねるようにしてそちらへ向かっていった。征司はそこでようやく立ち上がり、澪と目が合った。そこにあるのは、自分への紛れもない憎悪だ。長年の夫婦としての情など、もはや跡形もなく砕け散ってしまったような目だ。征司はしばらく黙っていたが、やがて微かな笑みを浮かべた。「お前も分かってるだろ。最近はいろいろな噂が立ってて、そんなの誰にとっても得にはならない。ひと言説明するだけのことだ。そんなに難しい話でもないだろう」「紗耶がどうなろうと、私には関係ない」澪の目には、あからさまな嘲りが浮かんでいる。怒っていないはずがない。征司は紗耶の名誉と体面を守るためなら、何だってする。たとえ澪の心を深く抉ろうとも。被害者の澪自身に、不倫相手という紗耶の汚名をそそげと要求しているのだから。征司は澪の刺々しい態度を気にした様子もなく、声を荒らげることもない。相変わらず落ち着いた口調で言った。「お前にとっても不利益な話ではない。朝比奈家の骨董店の名義変更も、遅くとも来月には完了する。その前にすべてが滞りなく片づけば、お前にとっても都合がいいだろう」澪は頭がくらりとして、信じられないという目で征司を見つめた。朝比奈家の骨董店を取引材料にするつもりなのか。あのとき署名した協議書には、骨董店を一年後に澪へ譲り渡すと書かれている。ただし、澪が再婚しないこと、また離婚した事実を外に漏らさないことが条件だ。それが今になって、征司にとっての交渉材料になっている。「征司?」ちょうどそのとき、紗耶がやって来て、張りつめていた空気を強引に断ち切った。もっとも、怒っているのは澪だけなのかもしれない。紗耶は遠くから、澪

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第340話

    病に苦しむ子どもたちの資料を見て、澪は胸の奥が締め付けられるように痛んだ。賢一は人生の半ばを医学の世界に捧げ、こうした子どもたちを数え切れないほど診てきた。すでに慣れっこになっているはずだったが、それでも澪の肩を軽く叩き、静かに言った。「資金さえあれば、少しずつ良くなっていく」紗耶の薄っぺらい謝罪を手放すだけで、これほど多くの幼い命を救えるのだ。むしろ、これでいいと澪は自分を納得させた。賢一は澪が何を考えているのか察し、小さく息をついて話題を変えた。「瑞穂メディカルはどうだ?ひととおり落ち着いたか?」この時期の瑞穂メディカルが、穏やかでいられるはずがないことは、賢一にも容易に想像できる。澪は資料を置き、首を横に振った。「まだまだ整理が必要なんだ。進行中の案件や受注がかなりある。紗耶の特許の件は、結局、完全に隠し通せるものではない。他人の成果を盗むような真似は業界で最も嫌われるから、取引先の多くが様子を見ているの。そのせいで、支払われるはずの代金が入ってきていない案件も多い。でも瑞穂メディカルは生産ラインが複雑で、どの工程にも膨大な資金が必要なんだ。取引先からの入金が滞れば、全体が立ち行かなくなる」取引はどれも数十億円規模のものばかりだ。一つが滞れば、次の工程にも連鎖的に影響が出る。そして澪は、「紗耶を守る」という条件を呑んだ以上、今この段階で紗耶を会社から放り出すわけにもいかない。「まずは信用を立て直す手を打たないと」と、賢一が言った。「世間の見方を変えるための勝負だ」それに加えて、紗耶自身も今は不倫騒動の渦中にいる。取引先としては、世間への影響を考えずにはいられない。澪も、その道理は理解している。ただ、まだ事態を好転させるための決定打と、どの方向からアプローチすべきかが見えていない。今日の催しには、業界の関係者も大勢招かれており、基金の支援を受け、容体が大きく改善した子どもたちも一部参加している。澪はもともと子どもが好きで、子どもたちの集まるエリアに行って、一緒に過ごしていた。その中に、一人の小さな女の子がいる。どこか玲衣の面影を感じさせる、細くて小柄な子だ。澪はすぐに、いつもバッグに忍ばせているミルクキャンディを取り出して渡した。女の子は恥ずかしそうに「ありがとう」と言っ

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第4話

    征司は紗耶のものをこの家へ運び込むことを許した。それは、森宮家の妻である澪がどれほど惨めに敗れたのかを、家中の者に見せつけるのと同じだ。離婚するつもりでいるとはいえ、澪はまだ征司の妻だった。征司がどれほど急いで紗耶を表に出したがっていようと、離婚も成立していないうちから、自分がここまで踏みにじられる筋合いはない。澪は作業員たちを静かに見渡し、運び込まれた家具を一つずつ指さして言った。「どれも高いものですよね。全部譲りますよ。中古で売っても、いい値段になると思いますから。お手数ですが、外へ運び出してください」作業員たちは、ただ雇われて来ただけの人間だ。そんなうまい話を聞か

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第3話

    澪と征司の結婚生活は、最初からうまくいかなかった。征司はほとんど家に帰らなかった。夫婦の営みも、月に二度あれば多いほうで、普段の会話などなおさらない。結婚して一年が過ぎる頃、征司はA国の支社へ赴任することになった。森宮家の実権を少しずつ握るための重要な基盤となるものだそうだ。征司がA国へ出発する前の日の夜、接待で酔った彼は、初めてその晩だけ避妊しなかった。あの夜の征司は、まるで別人のようだった。彼はひどく酔っていて、相手が誰かも分からなかった。普段のように自分を律する余裕もない様子で、歯止めが利かないほど激しかった。征司が出国して二か月ほど経った頃、澪は自分が妊

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第2話

    若い看護師ははっと口をつぐみ、気まずそうな顔をした。まさか澪が、夫の弱みをあんなに平然と口にするとは思わなかったのだ。けれど同時に、それは本当なのだろうとも思った。そうでなければ、結婚して七年も経つのに子供がいないなんて、どう考えてもおかしい。そのせいで、彼女の澪を見る目にはさらに同情が増した。澪は、本当の理由までは口にしなかった。征司は最初から澪との間に子供を持つつもりなどない。結婚した最初の夜、彼は氷のように冷めた声で、澪にこう告げた。「仕事が忙しい。子供のことまで考える余裕はないし、持つつもりもない。だから、期待するな。相談しようとしても無駄だ」あの頃

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第1話

    結婚して七年。朝比奈澪(あさひな みお)は夫の森宮征司(もりみや せいじ)に知られずに、ひそかに娘を産み育ててきた。娘の穂積玲衣(ほづみ れい)は今年五歳になるが、征司はその存在さえ知らない。父親になる機会を、澪が最初から与えなかったからだ。夜勤の休憩に入ると、澪は隣のS県でひっそり育てている娘から届いたボイスメッセージを再生した。「ねえママ、私、なんでパパに会ったことないの?私のパパって、もう死んじゃったの?」まだ舌足らずな、甘えた声が流れてくる。澪は一瞬、本気で考えた。生きてはいる。でも、父親としては死んだも同然だった。最近、玲衣は少しずつ自分なりの考えを持つよ

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status