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第11話

Author: 霧乃吟
「紗耶さんと征司さんって、並んでるだけで絵になるよね。完璧すぎる組み合わせじゃない?」

「征司さんがわざわざ迎えに来るなんて、紗耶さん相当大事にされてるよね。羨ましいな」

人々の声は嫌でも耳に入ってきた。澪は聞き流そうとしたが、どうしても気になってしまう。

七年も夫婦でいたのに、征司が自分を迎えに来たことなど一度もなかった。

人前で並んで歩いたことも、自分のことを妻として紹介したこともない。

考えてみれば、自分はずっと、名ばかりの森宮夫人という立場にいた。

征司は当たり前のように紗耶に優しくしている。

迎えに来ることも、人前で隣に立つことも、周囲に誤解されても訂正しないことも。

自分が七年かけて一度も手に入れられなかったものを、紗耶はこんなにも簡単に受け取っていた。

「森宮夫人」という誤解を、紗耶はあえて否定しなかった。

澪にだけちらりと視線を向けると、それから何事もなかったようにこちらへ歩いてくる征司に微笑みかけた。

征司は紗耶の柔らかな笑みを見て、応えるようにほんの少し口元を緩めた。

それを見た若い女性が、思わず頬を押さえて声を上げた。

「待って、これ本物
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