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7話

作者: 水沼早紀
last update 公開日: 2025-12-26 11:09:50

✱ ✱ ✱

それからしばらく経過した時のことだった。

「透子ちゃん、大丈夫?なんか体調悪いの?」

「……いえ。その、なんていうか……。ちょっと最近、熱っぽい感じがちょっと続いてて」

高城藍と一夜を共にしてしまったあの日の夜から、高城藍から連絡が来ることはなかった。

そしてその時に気付いた。やっぱりわたしは、彼にからかわれていただけ、なのだと。

「大丈夫? 病院行ってきたら?」

「はい。……そうします」

そしてわたしを弄《もてあそ》ぶためにあんなことをしたのだと気付いて、猛烈に腹が立った。 ぶん殴ってやりたいくらい腹が立った。 

あの日の夜のことは、忘れることにした。そして彼とは絶対に、金輪際二度と関わらない。

……そう決めていたはずだった。

なのにあの時のあの言葉の意味を分かる日がくるなんて、思ってもなかったーーー。

「藤野透子さーん、診察室へどうぞ」

「あ、はい」

その日の夕方、わたしは早めに早退させてもらい病院に診察に来ていた。 何日か微熱が続き、風邪っぽい症状があったためだ。

誰かに移したりしたら大変だと思い、ちゃんと診てもらおうと思ったのだけれど……。

まさかそこで、あんなことを告げられることになるとは、思ってもいなかったーーー。

「おめでとうございます。ご懐妊ですね」

それは診察室に入り、問診票を見て診察した先生からの衝撃的な一言だった。

「………。はい?」

【おめでとうございます。ご懐妊ですね】

え、ちょっと待って! 今なんて……?

「ちょうど今、妊娠ニヶ月目ですね」

「……え、妊娠?」

妊娠ニヶ月って……。あの、妊娠? 

わたしに、赤ちゃんが出来たってこと……?

え、え? ええっ……!?

「に、妊娠っ!?」

ウソ……!ウソでしょ……!? 妊娠って……わたしがっ!?

「はい、間違いありません。藤野さんは今、妊娠されていますね」

そう言われて、先生からエコー写真を見せられたけど……。

これって、間違いじゃないの……? 何かの夢じゃないの……? 

いや、でも確かに生理が遅れていた。 単純に元々生理不順だと思っていたから、そうとばかり思っていたけど……。

「これって、夢ですよね……?」

そう問いかけてみたものの「何言ってるんですか? 夢では、ありません。現実ですよ?」と答えが返ってきた。

本当に……? 本当にわたし、妊娠してるの……?

え、じゃあなに?それってまさか……。わたしは、あの男の子供を妊娠したってこと……?

「……妊娠?わたしが?」

「はい。そうですよ」

ーーーし、信じられない……! 

あの日の夜のセックスで、わたしはあの男の子供を妊娠してしまったの……?

な、なんてこと……。たった一回だけの関係なのに、そんなことが起こるなんて……。

「そんな……」

わたしはあの男と二度と関わらないと誓ったのに、まさかこんなことになるなんて……。

わたしは一体、どうすればいいのだろうか……。

「はああ……」

思わず深いため息が漏れる。

冷静になって、記憶を頼りに思い出してみる。 あの日の夜、あの男が言った言葉を……。

そうだ……。あの男は確か【透子は必ず、俺のものにする】そう言っていた。 

「……っ!」 

え、ちょっと待って。まさかーーー。

あの男は最初から、こうするつもりだったってこと……?

わたしをからかってるんじゃなくて、本気でわたしを自分のものにするために、わたしを利用したってこと……?

まさかあの日の夜、酔った勢いでわたしを抱いたのも、最初から子供を作るためだったってことなの……?

それを見越して、わたしを誘ったってこと……? そういうこと、だよね?

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