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第23話

Author: 清水雪代
智美が悠人を待っていると、祥衣からLINEメッセージが届いた。

【智美ちゃん!あの世界的に有名なピアニストで、あなたのアイドル、高橋翔太(たかはし しょうた)が帰国するらしいよ!しかも大桐市でコンサートを開くらしくて、チケットは争奪戦になるって!】

そのメッセージを見た瞬間、智美は喜んだ。

翔太は幼い頃からの憧れの天才音楽家で、ずっと一度でいいから彼の演奏を生で聴いてみたかったのだ。

【チケット販売が始まったら絶対取るんだ!】

【一緒に行こう!】

ちょうど祥衣とやり取りしているところで、悠人が現れた。

彼の姿を見て、智美は急いでスマホを置き立ち上がった。

「待たせてしまってごめんない」と悠人が穏やかに笑った。

「いえ、こちらこそ急にお願いしたので……すみません」と智美も慌てて返した。

二人は一緒にエレベーターで階下へ行った。

「何か食べたいものありますか?」と智美が聞いた。

「中華料理はどうですか?」

「いいですね。中華料理をお好みになる方は、意外と少ないですよね?」

「うん、大学のころからすっかり舌がそっち寄りになったんですよ」

そうして、二人は近くの評判の中華料理店へ向かった。

店に着くと、悠人が椅子を引いてくれた。

「ありがとうございます」

そしてメニューを手渡してきた。「先に好きなものをどうぞ」

智美は遠慮せず、食べたいものを真剣に選び、メニューを悠人に返した。

「今日は私の奢りだから、好きなだけ頼んでいいですよ」

彼女が選んだのは海鮮料理を二品、野菜料理を一品、シーフード炒飯と魚のスープ。

悠人はさらに肉料理と点心を二種、そしてお粥を追加した。

二人で食べるにはちょうど良く、無駄もなさそうだ。

食事が来る前に、悠人はお椀や箸を熱湯で湯通しし始めた。

それだけでなく、智美の分も丁寧に湯通ししてくれた。

「これって岡田さんの食習慣なんですか?」と智美が笑って聞いた。

悠人は真面目に作業を続けながら、「これをやらないと落ち着かないんです。必須の工程ですよ」

その真剣な顔つきがどこか可愛くて、智美は思わずスマホでこっそり写真を撮った。

そして撮った写真をしばらく眺めては、内心で微笑んだ。

悠人はあまり写真映えするタイプではないが、その一枚には不思議と雰囲気があって、彼女のお気に入りとなった。

「そんなに
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