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第327話

作者: 清水雪代
「その必要はないわ。私には、あなたを変えさせる立場も資格もないもの」智美の態度は相変わらず冷淡だった。

礼央はやり場のないように顔をこすり、焦りを滲ませた。「じゃあ、どうすればいいんだよ?俺が甘やかされて育った御曹司だってことくらい分かってるだろ。多少の欠点があるのは当たり前じゃないか。俺は本気なんだ、信じてくれよ」

その低姿勢ぶりに、周囲はさらに驚愕した。

さっきまで豪快に大金をはたいて店を買い取った男と、今智美に懇願している男が、同一人物だとは信じがたい光景だった。

智美は格が違うのだと、人々はようやく理解した。

既婚だろうと離婚歴があろうと、裕福だろうと貧しかろうと、彼女の魅力は揺るがない。

麻弥は嫉妬で顔が歪んだ。

そこへ彼女の運転手が車で到着し、慌てて駆け寄って謝罪した。「申し訳ございません、奥様。遅くなってしまいました」

運転手が来なければまだよかった。

だがその姿を見て、人々はすぐに気づいた。運転手が乗ってきたマイバッハは、かなり古い型のものだ。

祐介や礼央の最新モデルの高級車とは、格が違いすぎる。

麻弥は今すぐ地面に穴を掘って潜り込みたい気分だった
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