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36. 緊迫≪Sense/Of/Urgency≫

Auteur: Mr.Z
last update Dernière mise à jour: 2025-09-22 22:26:01
 歩くだけで勝手に付いていた電気がどれも灯らず、スアがスイッチを押しても付きそうな気配が無い。

「⋯⋯おかしいな、私が来る時は自動で付いてたのに。ザイが来る時は付いてた?」

「付いてた。なんか最近の夜はこんなのばっかりだな。"ホテルの時の停電"といい⋯⋯」

 各々のL.S.と、"海銃"に変異したハイスマートグラスのライトを頼りに、まずは1階リビングへと徐々に歩いて行く。

 なぜか自動ドアは普通に動いており、開いた瞬間に大きなリビングが視界へと広がる。

 そこにはスアのドローンで見た通り、誰もいなかった。

「⋯⋯このまま地下に行くぞ」

「うん⋯⋯」

 つい先程までとは違った真逆の緊張感が、さらに全身を伝う。

 あのまま寝ていれば、どれだけ幸せだったのだろうと後悔さえしてしまう。

 だとしても、それを拭ってでも皆を守らなければいけないという、言わば使命感のような気持ちの方が優先順位は上。

 スアとの時間は後でゆっくり取ればいいのだから。

 にしても、師斎家はあまりに広すぎる。歩くだけでも高揚感があるのが良かったのに、それが恐怖感へと塗り替わっているのが信じられない。

 通りがかる他部屋へも常に警戒しながら、地下への階段へと足を乗せる。

 この家のさらに変わったところは、"階段がエスカレーターのようにオートで運んでくれる点"だ。

 どうやらこの階段の機能も動作しているようで、どこに電気が通っていてどこに通っていないのか、もはや意味不明すぎる状況となっていた。

 そして降りた先、なんと地下は当然のように明かりが灯っていった。

「⋯⋯ここはいつも通りってこと⋯⋯?」

「訳分からん⋯⋯」

 試しに真横の"モアがいる寝室"を確かめる。

 ⋯⋯うん、しっかりオートロックが掛かっている

 確認後は、いつものリビング方面へと向かった。

 みんなの寝ている場所はちゃんとオートロックが外れておらず、そう簡単に入られそうにないため、可能性の高そうなそっちを見た方がいいと判断したからだ。

 リビング前の自動ドア前に立つと、何事も無いかのように開いていき⋯⋯

「エ、エンナ先輩!? 起きてたんですか!?」

 そこには一人ソファに座って水を飲みつつ、L.S.で何かを見ながらゆったりしている先輩がいた。

 俺とスアは速攻で"かいじゅう"を隠す。

Mr.Z

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