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第673話

Auteur: 栄子
綾は、彼に異常に気づかれないように、うつむいた。

そして頷き、またうどんを口に運んだ。

誠也は傍で見守っていたが、彼女が三口目を食べるところで、ようやく異変に気付いた。

慌ててかがみ込むと、彼女の目から涙がこぼれ落ちていた。

その涙は、うどんのスープの中に落ちた。

誠也は胸に痛みを感じ、「綾?」と声をかけた。

綾は手で涙を拭い、「大丈夫......」と呟いた。

誠也は彼女からお味噌汁を受け取り、テーブルに置いた。

「綾、本当にすまなかった。今まで、辛い思いをさせてしまった」彼は片膝をついて、沈痛な面持ちで言った。

彼女がなぜ泣いているのか、彼は分かっていた。

このうどんが、彼女の記憶を呼び覚ましたのだ。

あの五年間、彼女は何もかも初めてのことだらけの中、生まれたばかりの赤ん坊を一人で育て、ひたすら尽くした。そして、その見返りが、彼の裏切りと、その子供からの恨みだったのだ......

それから四年後、再会したにも関わらず、またしても彼は彼女を傷つけた......

それらの出来事が、彼女の心に消えない傷跡を残した。

彼女が過去を水に流したと言ったのは、もう過去の
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