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第371話

Author: 花野めい
三久はバッグへ伸ばした手を引っこめ、仕方なく席に戻って食事を続けた。

静かな空間に、食器の触れ合う小さな音だけが響いていた。

三十分ほど、二人は一言も交わさず、食事を終えると申し合わせたように立ち上がった。

外に出ると、久留美がすでに会計を済ませていたことを知った。

「今度お前が久留美さんに食事を奢って、この借りは返しておけ」

由樹が言いつけた。

三久はその右斜め後ろを歩き、廊下の突き当たりを曲がる時、その言葉に頷いて応じた。

「はい、社長」

言い終わった瞬間、ふいに腰を抱き寄せられ、体が由樹の胸の中へと引き込まれた。

曲がり角の先には個室があり、店員が皿を持って足早に通り過ぎていく。

三久がぶつかりそうになるのを見て、由樹が咄嗟に彼女を抱き寄せたのだ。

だがその店員は、すぐ手元の扉を開けて中へ入っていき、そもそもこちらへ向かってきたわけではなかった。

三久はびくりとして、片手でお腹をかばいながら、顔を由樹の胸元に押しつける格好になった。

ほんの少しの沈黙の後、三久は由樹を押しのけて体を起こし、驚いた顔で彼を見上げた。

「今、誰か来てたから」

由樹は素っ気
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