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第99話

Author: 花野めい
社長の秘書から、末端の総務部員への異動が、「通常の異動」などと呼べる会社がどこにあるだろうか?

「……信じないわ」

瑠美は振り返り、夫の年生を見た。年生を見ているようで、実はトップである由樹に暗に問いかけているのだ。

年生はやむなく瑠美に目で合図しながら、由樹に向かって愛想笑いで言った。

「酒井社長、妻が少々奔放なところがありまして。それに早坂さんのことを随分と気に入っているんです、どうかお気になさらず」

由樹はそこに立って、いつも通りの冷たい顔で言った。

「構いません」

三久を気に入っている?

千歳の貼りつけた笑顔が崩れかかった。

朝早くから完璧に身支度して、自分を世論の渦に巻き込んだ元凶である瑠美を、わざわざ空港まで笑顔で出迎えに行ったのだ。

その結果、瑠美は会うなり千歳には興味も示さず、「早坂さんはいないの?」と聞いたのだ。

千歳はもう少しで怒りで倒れそうだった。車中でもずっと笑顔を貼りつけて瑠美に接し、とっくに忍耐の限界を迎えていた。

それがここでまた忌々しい三久と鉢合わせるとは。三久がわざと自分の惨めな姿を瑠美に晒しているに違いない!

「瑠美さん。彼
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