Share

197話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-05-05 18:30:29

一方、もみじ。

もみじは不動産屋立ち会いの元、新しい家にやって来ていた。

契約内容を確認し、契約手続きを完了する。

不動産屋から鍵を渡されたもみじは、帰って行く不動産屋の担当を見送ってから部屋に戻り、室内をぐるりと見回した。

さほど広くもなく、狭すぎる事もない1LDK。

「──うん。仮住まいとしては十分だわ」

声を弾ませつつ、もみじは寝室になるであろう部屋に向かい自分の荷物を置いた。

まだ、何の家具も無くただ広い空間が広がっているだけだ。

「……今日、家具屋に行って必要なものを買ってこようかな。配送も頼まなくちゃいけないし、そうしよう……!」

もみじは弾む足取りで貴重品と車の鍵だけをバッグに入れ、他の荷物は仮寝室に置いたまま仮住まいの家を出た。

その間、もみじは1度も自分のスマホを確認する事は無かったので、誠司からの着信にも気が付かなかった。

都内の家具店にやって来たもみじは、1人用の小さなテーブルと椅子を購入した。

大型家電などは配送を頼み、数日後に家電は家に到着する。

「今日はご飯を買って帰っちゃおうかな」

家具屋の近くには美味しいご飯のお店が
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   197話

    ◇ 一方、もみじ。 もみじは不動産屋立ち会いの元、新しい家にやって来ていた。 契約内容を確認し、契約手続きを完了する。 不動産屋から鍵を渡されたもみじは、帰って行く不動産屋の担当を見送ってから部屋に戻り、室内をぐるりと見回した。 さほど広くもなく、狭すぎる事もない1LDK。 「──うん。仮住まいとしては十分だわ」 声を弾ませつつ、もみじは寝室になるであろう部屋に向かい自分の荷物を置いた。 まだ、何の家具も無くただ広い空間が広がっているだけだ。 「……今日、家具屋に行って必要なものを買ってこようかな。配送も頼まなくちゃいけないし、そうしよう……!」 もみじは弾む足取りで貴重品と車の鍵だけをバッグに入れ、他の荷物は仮寝室に置いたまま仮住まいの家を出た。 その間、もみじは1度も自分のスマホを確認する事は無かったので、誠司からの着信にも気が付かなかった。 都内の家具店にやって来たもみじは、1人用の小さなテーブルと椅子を購入した。 大型家電などは配送を頼み、数日後に家電は家に到着する。 「今日はご飯を買って帰っちゃおうかな」 家具屋の近くには美味しいご飯のお店がある。 確かテイクアウトもしていた筈だ、と思い出したもみじは家具の購入もそこそこにお店を出て、ご飯屋に向かった。 中途半端な時間帯だからだろうか。 ご飯屋は空いていて、すんなりと注文が済み、後は出来上がりを待つだけ。 テイクアウトのご飯が到着するまでの間、そこでようやくもみじはスマホを取り出した。 「──あれ」 誠司から沢山の着信が入っている。 それに、今までにないほど沢山のメッセージも入っている事に気がついたもみじは、メッセージを開封して内容に目を通す。 1つ目のメッセージを確認したもみじの口からは、乾いた笑いが漏れてしまった。 「──はっ、……ふふっ、私に胡桃のお世話を……?冗談じゃないわ」 誠司が胡桃を連れて帰国した事。 それと、胡桃の具合が悪く、家に連れて来た事。 そしてその世話をもみじにさせようとしていた事がメッセージから分かった。 このまま無視してしまおうか。 そう考えたもみじの耳に、注文していたご飯の準備が出来上がったのだろう。 店員の呼び出しが聞こえ、もみじはスマホをバッグにしまい、慌てて受け取りカウンターに向かった。 ◇ 「もみじー!

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   196話

    胡桃は自然と出てしまった笑みを急いで引っ込めると、慌てたような表情を浮かべ、誠司の胸元に抱きついた。 「ど、どうして!?どうしてお姉ちゃんがいないの!?誠司、お姉ちゃんに電話して……っ!」 「あ……、あ、ああ……っ、分かった……!」 胡桃に急かされた誠司は、自分のスマホを取り出すともみじの名前を探す。 もみじの名前を探していると言うのに、動揺しているからか。 誠司の目は中々もみじの名前を見つける事が出来ない。 動揺しているそんな誠司の姿を見た胡桃は、内心舌打ちしたくなった。 (──はぁ!?どうしてもみじがいなくなっただけで、こんなに動揺するわけ!?私の事の方が好きなんじゃないの!?あんな女がどこに行ったってどうでもいいじゃない!) 胡桃は胸中で叫ぶ。 だが、こんな事を誠司に言えるはずのない胡桃は、表面上は心配したような素振りを見せつつ、悲しそうに呟いた。 「どうしよう……お姉ちゃん怒ってるのかな……。私が誠司をずっと独占してると思って、お姉ちゃんが嫉妬してるのかもしれない……。誠司、お姉ちゃんを探してあげて。私は、家に帰るわ」 「──だが、胡桃のご両親は今家にいないだろう!?誰が胡桃の看病をしてくれる!?家で、1人の時に倒れたらどうするんだ!?待ってろ、今すぐもみじを呼び出すから──!」 ようやくもみじの名前を見つける事が出来た誠司は、迷いなく発信する。 呼び出し音が誠司の耳に何度も届くが、もみじが誠司からの着信に応答する事は無い。 「──くそっ、何をしてる……!」 「いいわ、大丈夫よ誠司……。私はタクシーでも呼んで家に帰るから。お仕事が忙しいんでしょう?私の事は気にせずお仕事に行って?」 「胡桃──……」 誠司の困ったような表情を見て胡桃は笑顔を浮かべると、自分のスーツケースを引いて歩き出す。 胡桃の後を追った誠司は、スーツケースを奪うと自らそれを引いて歩き出す。 「……せめて、家までは送る。仕事が終わったらそっちに顔を出すよ。明日の朝も迎えに行くから、家で安静にしているんだぞ?」 「うん、分かったわ誠司。忙しいのに煩わせちゃってごめんなさい」 「そんな事は気にするな。もみじがいないのが悪いんだからな……」 誠司はそう口にすると、胡桃の体を引き寄せて額にキスをした。 そして、胡桃を自ら車で家まで送り届けた誠司は、急

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   195話

    「おいもみじ!帰ったぞ……!」 「お、お邪魔します、お姉ちゃん……」 玄関を開けるなり、誠司は大声でもみじを呼び付ける。 だが、誠司と胡桃が家な中に入り、いくら玄関で待っていようとももみじがやって来る気配は無い。 時刻はお昼少し前。 まさかまだ寝てやいないだろうな、と誠司は苛立ちを滲ませつつ胡桃にそこに待っているように伝えてリビングに向かった。 ドスドス、と足音荒くリビングを通り過ぎ、誠司はもみじの部屋の前までやって来る。 リビングは、もみじの荷物が無くなっていたが誠司はその事には全く気が付かなかった。 もみじの部屋の前に着いた誠司はすうっと息を吸い込み、扉を壊さんばかりの強さで叩いた。 「おいもみじ!まだ寝ているのか!?起きろ!」 ドンドン、と誠司は扉を叩き大声で呼びかける。 だが、扉の向こうからは何の返答もなく、何かが動く気配も何も感じない。 「ふざけるなよ!開けるぞ!」 もしかしたら、部屋の鍵が閉まっているかもしれない──。 そんな考えが一瞬誠司の頭に過ぎったが、ドアノブを掴んで思い切り力を入れた。 すると、意外にもすんなりと扉が開き、誠司は呆気なく感じてしまう。 「おい──」 部屋に入った誠司は、もみじを起こそうと声を上げた所でぴたり、と止まった。 部屋の中はガラン、としており人の気配も何も無かった。 そして、もみじの私物がごっそりとなくなっているのを見て誠司は目を見開いた。 「──は?」 私物のみならず、もみじ本人もそこにはおらず誠司の思考が停止してしまう。 そうこうしていると、背後から近付いてくる足音が聞こえ、胡桃の声が響く。 「誠司……?どうしたの、お姉ちゃんはいた?」 胡桃の声に誠司ははっとして弾かれたように振り向く。 「胡桃……いや、もみじは……」 「どうしたの──?」 胡桃はゆっくりリビングを通り、誠司がいるであろうもみじの部屋に向かう。 すると、リビングを通りかかった時。 テーブルの上に置いてある書類が目に入った。 「──っ!?」 胡桃の目は、思わずテーブルに置かれている二枚の書類に釘付けになる。 【離婚届】と【離婚協議書】の文字が目に入った胡桃は、思わずテーブルに足早に近付き、書類を急いで手にした。 「──胡桃?どうした?」 「……なっ、なんでもないわ!お姉ちゃんはいた?

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   194話

    ◇ あっという間に時間は過ぎ、もみじが退院してから5日が経過した。 もみじは誠司と暮らしていた家の荷物の片付けを進めていた。 恐らく、自分が家を出て行けば誠司は胡桃をここに連れ込み、一緒に暮らすようになるだろう。 誠司は自分の身の回りの事に無頓着だ。 胃腸が弱いのに、食事は無茶な事をするし、家事なども恐らく何も出来ない。 今まではもみじが専業主婦として家の事を全てやってはいたが、もみじが出て行ったあと。 胡桃が誠司の家にやって来て一緒に住むようになったとしても、2人とも仕事をするだろう。 だからきっと家事は疎かになる。 「……まあ、ハウスキーパーを入れれば何も問題はないわね」 今でさえ、もみじは誠司の部屋の掃除や洗濯物に関しては外注していた。 もう、誠司の身の回りに関する世話を何一つしたくなくなったのだ。 だが、外注してしまえばそれはとても楽で。 時間が空いたお陰で、もみじは今十分にデザインの仕事に充てる時間が確保出来ていた。 もみじは、綺麗に物が殆どなくなった自分の室内をぐるり、と見回して満足気に頷いた。 「──うん、綺麗になった。駅近の物件がすぐに見つかって良かった。仮住まいだから、これから本格的に家を買わなくちゃいけないけど……今はあの部屋で十分だもんね」 即入居可の物件を見つけたもみじは、運命を感じてすぐにそこを契約した。 そして、粗方の荷物を荷造りして引越し業者を手配したのだ。 引越しの日は、明日。 誠司が胡桃の元に向かってから、1度も連絡は来ていない。 「私が家を出て行った事に気付けば、流石に連絡が来るでしょう」 もみじはそう呟くと、手荷物を1つだけ手にして部屋を出る。 次にこの家に帰ってくるのは、引越し業者がやってくるその日。 もみじは万が一誠司が帰って来た時のために自分の署名入りの離婚届と離婚協議書をテーブルに置き、その後は1度も振り返らずに家を出た。 ◇ もみじが家を出て、数時間後。 奇しくも誠司は胡桃を伴い帰国した。 胡桃の体調がここ数日、悪化していたのだ。 そのため、なるべく早く帰国して慣れた母国で診察をしたかった。 「胡桃、大丈夫か?もう少しで家に着く」 「うう……ごめんなさい、誠司……。何だか最近お腹が変で……」 「1度大きな病院で詳しく検査をしてもらおう。明日、1番に診察の

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   193話

    「嬉しい……っ、凄く嬉しいわ、誠司……!だけど……本当にそんな事をしてもらってもいいのかな……」 「何を遠慮しているんだ?胡桃は素晴らしいデザイナーだ。だが、まだ学生の身で伸び代はまだまだある。そこを、プロのデザイナーに見てもらえば、胡桃はもっと素晴らしいデザイナーになれるだろう?」 誠司の言葉に、胡桃は嬉しいけど悲しそうな表情を浮かべて見せた。 「……だ、だけどお姉ちゃんが……」 「──もみじ?」 胡桃の口から、怯えたようにもみじの名前が紡がれて、誠司は不快そうに眉を寄せた。 「お姉ちゃんだって、デザイン学科にいたじゃない……だけど、誠司との結婚で大学を中退したわ……お姉ちゃんもデザイナーを目指していたのに、私だけ誠司に……」 「そんな事は気にしなくていい。もみじには所詮そこまでの実力しかなかったんだ。実力があれば、俺と結婚した後だって独学でデザインの勉強は出来る。立派なデザイナーにだってなれているはずだ。だが、もみじにはそこまでの能力も才能もなかったんだよ。所詮、そこまでの女だったんだ」 誠司は鼻で笑うように吐き捨てると、胡桃を抱きしめる。 「でも……この事がバレたら、私怖いわ……。私がお姉ちゃんが通っていた大学を受験した時だって……」 「──ああ、確かもみじが邪魔をしたんだったな……。受験票をわざと隠されたり、家の力を使って受験当日の試験の得点を改ざんしようとしたんだろう?」 「うん……。だから、私が誠司にこんなに良くしてもらっているって知ったら、またお姉ちゃん……」 「大丈夫だ。もみじには今はもう実家の力は使えないだろう?それに、もみじに余分な金は渡していない。金に物を言わせて、胡桃を陥れるような真似は絶対に出来ないから安心してくれ」 誠司の言葉に、胡桃はそっと上目遣いで誠司を見上げた。 「ほ、本当……?私、お姉ちゃんを怖がらなくていいの……?」 「ああ、大丈夫だよ胡桃。俺が絶対に胡桃を守ってやるからな」 胡桃の大きな瞳には、溢れんばかりの涙が溜まっている。 誠司の言葉を聞いた瞬間、その大きな瞳からは耐えきれなくなった涙が零れ落ち、胡桃は声を上げてしまわないように声を殺して泣いた。 その姿が酷くか細く、今にも倒れてしまいそうなほど儚く見えて、酷く庇護欲を誘う。 誠司は胡桃を掻き抱くように腕に力を込めて胡桃の体を引き寄

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   192話

    ◇ 場所は変わって、E国。 胡桃が入院している病院。 バタバタと慌ただしく走る音が廊下から聞こえてきて、胡桃はにんまりと口端を持ち上げた。 「胡桃!大丈夫か!?」 「──誠司ぃ!」 胡桃が入院している病室に、血相を変えて誠司が駆け込んで来る。 その瞬間、胡桃は瞳にじわりと涙を浮かべ、走り寄ってくる誠司に向かって自分の腕を伸ばした。 誠司は胡桃の電話を受けてから相当急いで出国したのだろう。 衣服も乱れ、普段はキッチリとセットされている髪の毛も無造作に乱れていた。 「ごめんなさい、誠司。お仕事で忙しいのにこんな事で呼び戻しちゃって……」 「気にするな、胡桃。それより体は?大丈夫なのか?」 「うん、さっき検査結果を聞いたところよ。腹痛は、ストレスだろうって……。慣れない環境での勉強やご飯が体に合わなくて、ストレスが溜まってお腹が痛くなっちゃったんだろうって、お医者様が……」 「そうか……可哀想に、胡桃」 ほろほろ、と静かに涙を流す胡桃を誠司は自分の胸に抱き寄せると愛しげに目を細め、頭を撫でた。 そして誠司は胡桃を抱きしめたまま、行きの飛行機の中でずっと考えていた事を胡桃に話す事にした。 「胡桃。飛行機の中でずっと考えていたんだけどな……?」 「うん、なあに?」 涙で濡れた瞳が、誠司を見上げる。 誠司は思わず胡桃にキスをしてから言葉を続けた。 「俺も、ずっとこっちに居る訳にはいかないだろう?会社もあるし……」 「ええ、そうね……。だから、誠司がお仕事を頑張っている間、私はこっちで──」 「だが、また今日みたいに体調を崩してしまったらどうする?重要な会議や、取引があった場合、胡桃の元にすぐに駆け付ける事が出来ない」 「で、でも最初はその予定だったのだし、私1人でも頑張れるわ。昨日はパニックになっちゃって、誠司に電話しちゃったけど、次からは大丈夫よ。私1人ででも──」 「いや、胡桃に何かあった時に俺が傍に居られないのが耐えられないんだ。胡桃の身に万が一の事があったら?その時俺は仕事で何も知る事が出来なくて……胡桃が1人で苦しんでいると後から知ったら……辛すぎて、どうにかなりそうだ」 「誠司……!」 誠司の言葉に、胡桃は感動したように涙を零し、自分の口元を両手で覆う。 そんな胡桃の肩に手を置いた誠司は、迷いのない目で真っ直

  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   43話

    ◇ その日の、夜──。 もみじを病室まで送り届けた髙野辺は、もみじにまた明日と挨拶をして部屋を出た。 そして、髙野辺はそのまま病院を出る事なくある場所に向かって歩いていた。 髙野辺が向かったのは、病院の「院長室」 院長室のドアをノックすると、院長自ら扉を開けた。 「髙野辺様!」 「院長、急にすまない」 「いいえ、いいえ!髙野辺様でしたらいつでも!いつもご支援いただき、本当に感謝しております!」 室内に案内された髙野辺は、促されるままソファに腰を下ろした。 院長が髙野辺の目の前にコーヒーの入ったカップを置くと、不安そうに視線を向けてくるのを感じる。 髙野辺は淹れてもらっ

    last updateLast Updated : 2026-03-24
  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   28話

    ◇ 場所は変わって、もみじが入院している病室。 ベッドに横たわりながら、もみじは病室の真っ白な天井をぼうっと見つめつつ、ころりと寝返りを打った。 じっとしていると、昼間の事が思い出されて、もみじはぐっと強く目をつぶった。 (……誠司は、胡桃を優先した) あの時の光景を思い出して、もみじの唇が震えてくる。 (私が倒れても、誠司は見向きもせずに……胡桃を大事そうに抱えて……) そもそも、そんなに胡桃が大切なら。 どうして誠司は自分と結婚したのだろう、ともみじはどんどん暗くなってしまう。 (結婚しても……、誠司とはまだ本当の夫婦になっていない……。それに、結婚指輪だって──。会

    last updateLast Updated : 2026-03-21
  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   16話

    どさり、ともみじの体が倒れ込んだ先は、男性の腕の中だった。 ふわり、と香る男性の香水。 鼻に届いたのは、どこか刺激的だけど爽やかでもあって、もみじは急いで男性から離れようとした。 「すみませ……っ、ありがとうございます」 ぐっ、ともみじが男性の胸を押すと、素直に男性はもみじの体を離した。 だが、離れた事でもみじの顔が良く見えるようになり、そこでもみじの額を流れる血を見て更に慌てたように声を出した。 「額から血も出ていま

    last updateLast Updated : 2026-03-18
  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   11話

    「わざわざ会社まで押しかけて、何のつもりだ?」 社長室に向かい、入室したもみじを迎えたのは、誠司のそんな心無い冷たい言葉だった。 呆れたように額を手のひらで抑え、溜息を吐き出す誠司。 そして、誠司の後ろにあるソファには胡桃が当然のように座っていて。 もみじは、まさか開口一番、誠司にそんな言葉を言われるとは思っていなかった。 「何のつもりって……。どうして私が誠司の会社に来ただけで、そんな事を言われなくちゃ……」 「俺は仕事で忙しいのに、どうして俺を煩わせる?話があるなら、帰ってからでもいいだろう?急ぎの用事なんてもみじには無いだろうに……」 はあー、と深い溜息

    last updateLast Updated : 2026-03-17
More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status