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第99話

Author: 笹しぐれ
剛造は、母方の祖父の右腕であり、瀬戸グループを古くから支えてきた重鎮だった。

幼い頃、祖父と母、そして静江を除けば、夕凪を誰よりも可愛がってくれたのが剛造だった。

けれど、どこかおかしい。

夕凪の記憶にある剛造は、祖父の片腕とも言える存在だった。祖父も剛造を厚く遇していたため、身につけるものも暮らしぶりも自然と上等で、立ち居振る舞いにも人目を引くような品格があった。

だが、目の前にいる清掃員は、髪がすっかり白髪になり、顔には深いしわが幾重にも刻まれている。肌は日に焼けてどす黒く、身につけた作業服はひどく汚れ、擦り切れて古びていた。

夕凪には、目の前にいるみすぼらしい清掃員と、記憶の中の洒脱で活力に満ちていた剛造の姿が、どうしても結びつかなかった。

「堂島さん……?本当に、堂島さんなんですか?」夕凪は戸惑いながら尋ねた。

誰かが剛造になりすましているのではないか。そんな考えすら頭をかすめた。

「はい、お嬢様。私です。堂島でございます。

……お忘れですか?小さい頃、お嬢様がいちばんお好きだったお菓子は、瀬戸グループのビルの近くで年配の女性が売っていた栗の焼き菓子でした。お
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